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幼馴染の親友  作者: 世羅
2章
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修学旅行最終日は文字通り帰るだけだった。折角来たんだから旭山動物園とかにも行きたかったのに!とせりかは思うが自分達の移動した所を地図で見ると、それはかなり難しいのだと分かる。


「今日で沙耶ちゃんとお別れかと思うと寂しいよ!」


「せりかちゃん…学校で会えると思うよ?しかも毎日…」


「そうなんだけど、結構色々と沙耶ちゃんには相談に乗って貰ってたから、姉妹が居ない私には寂しいのよ」


「ああ、一人っ子だもんね。私は妹が居るけど、恥しくて身内に相談なんて絶対出来ないわよ?ちょっとした事でも根ほり葉ほり聞かれるから面倒だし」


「そうなんだ?居ないと結構夢見ちゃうだけどね。なんでも相談してるのかなぁとか…」


「無い無い!少なくともうちは其処までは話さないわね~」


「橘君のところはお兄さんがいて、結構仲が良さそうだったわよ?」


「あれくらい可愛い弟ならねぇ~」


「まあね!なんだかとても可愛がられているのは分かったけど、長男タイプじゃない?橘君って。だからちょっと意外だったのよ」


魔王様は確かに末っ子タイプには見えないが、話を聞いているとお家では、もしかして魔王降臨は、無く御家族は知らないのでは?と沙耶は思うがせりかにそれを聞くと色々とマズイので何と答えようか迷う。


「そうねぇー。でも外と家では違うのかもしれないわね」


「そんな感じでも無かったけど、みんな多かれ少なかれはあっても外の顔はあるかもね」




朝食後、チェックアウトをして新千歳空港に向かう。


昨日は橘達の部屋にクラスの男子が殆んど集まってしまい、とても寝れなかったらしく王子様は眠い様だったので、窓側の席を譲って少し寝る様に言うと頷いたが、神経質な性質(たち)らしく乗り物では滅多に眠れないらしい。


「昨日は質問攻めで参ったよ!とうとう椎名さんが落ちたのかって言うから、それは如何言っていいのか悩むとこだから『どうなんだろうね?』って言ったら首絞められるし、玲人にも肯定しておいてくれって頼まれちゃうしで、もう大騒ぎ!『俺達のせりりんに手を出すなよ』とかっていってくる椎名さんのファンの奴もいて、付き合ってるのに手を出すなって言われてもって感じだし、俺たちのってそれは絶対に違うだろう!だし、もう滅茶苦茶だったよ」


「……そうなんだ?大変だったね!私の所為で迷惑掛けちゃってごめんね。小樽を二人で回ったらそういう風になるのが判っていたなら、班行動で良かったのに」


少し眠い所為か、言わなくても良い事をせりかに言ってしまったかもしれない。


「ごめん。要らない事まで言ったかもしれない」


「ううん。橘くんがそういう事言うのって珍しいから面白いよ。サッカー部が大変なのも玲人が大変って言っていたけど、橘くんだって聞いた話では大変そうだったのに、愚痴っぽい事全然言わないで飄々としているんだもん。後、テスト前でも眠そうにしないのに今日はそれも珍しいから、大変だったのに悪いけどもうおかしくて!」


「…椎名さんはそういう人だったよね。そう言えば…」


「人の不幸を笑っている訳じゃ無くて、珍しい橘君が面白いって言っただけだから誤解しないでね?」


「うん。たまに顔を出すSっ気振りを見ると、なんだか安心するよ」


眠さがピークで言葉にオブラードを掛けなくなって来ている事にせりかも気が付くと、どうせ眠れないんなら、もう少し話させたく成ってしまう。


「そう?自分では全くそんなつもりは無いけど、そう言えば家では橘くんって末っ子っぽいの?」


「うーん。割とそうかもね。下が居ないから、椎名さんが玲人に甘えるの見ると少し羨ましいかも…」


「あっちも甘えてるから、お互い様だけど、玲人は橘君に懐いてて甘えて来るじゃ無い?」


「玲人でも可愛いと思わない事も無いけど、今迄、年下の子とかと付き合った事が無いから、願望的には女の子に甘えられてみたいかな…」


なんだかこのまま喋らせると本当にヤバイ事まで喋ってしまいそうだとせりかは思うが、玲人の事でも甘えれば可愛いと思っているとは驚きだった。ちなみにせりかは誕生日が早いので、橘よりも同級生とはいえ、年下では無い。橘は仲良くなった時には誕生日が来ていたので、何時なんだろうか?と思うが、今聞いてしまうと完全に覚醒してしまって面白く無いので、後で、玲人に聞けばいいだろう。


この後も聞くと、いつもだったらかわされそうな質問も簡単にするすると答えてくれてかなり面白かった。




新千歳で一時間弱くらい飛行機を待つ間、最後は自分の記念に残る自分用のお土産をゲットして、飛行機で羽田に向けて飛び立った。飛行機でも橘が隣だったが、バスの時の様な朦朧さは無くなっていたので、かなりがっかりしたが、先程聞いた甘えられたい願望等、面白かった事を思い出してにやりとせりかが笑うと「なんだか不気味なんだけど?」といつもの橘に戻っていて油断出来ないなと思った。


羽田に着いたのはお昼ぐらいで、皆、直接帰るか、お昼御飯を食べるか迷ったけれど、せりかと玲人は家の方面に向かうバスが直ぐにでるのがあったので、二人で抜けて、皆に手を振った。

荷物は玲人が持ってくれるので、悪いのでお土産の袋をせりかが持ってバスに乗った。空いていたので荷物も預けずに近くの座席に置かせて貰う。目的地までノンストップだから良いよね?と言うと玲人もそうだなと言った。




「ただいま~!疲れたよ~!」


「おかえり!楽しかった?北海道は」


「楽しかったよ。これお土産のお菓子―」


「あら、これって有名なバタークッキーサンドじゃ無いの。お母さんも大好きなのよ!お茶入れてくるわ」


「お昼食べて無いから何でもいいからご飯にして」


「チャーハンでいいわよね?ちよっと待ってて」




昼食後やはり疲れていたのか昼寝してしまって起きたらもう夕方だった。


「明日は送ってきてくれた蟹でお隣とうちで食事会するからね!」


えー!!玲人―!防ぐ前にもう決定してたよ。私が冗談で囁いた事が本当になってしまった。




翌日の夕方から始まった、かにすきパーティ(暑いのに!)は、写真をみせたり、旅の話を聞かれたりと、いつもよりは、宴会の要素は低かったが、お酒がすすんでくると今回は、両家で三世帯住宅に将来はしようか?という話になった時には、さすがに玲人と青くなった。


「せり、彼氏いるから、それは無理だよ」


玲人が言ったのも無理からぬ事ではあった。


「「「「えー!!」」」」


皆が驚いてせりかの方を見た。


「一応彼が出来たので、小母さんやお母さんの期待を裏切って悪いけど、三世帯住宅計画は無理だから」


「えー!せりかに恋人が出来たなんてお母さん聞いてないわ」


「修学旅行中に出来たから…」


「如何言う人なの?」


「前に、シンデレラの王子様だった玲人の友達」


「「えー!あのイケメン?!」」


「まあ、綺麗な人だよね」


「今度連れて来て~!お願い」


「いや、小母さん、付き合い始めたばかりだから無理だから…」


「玲人の友達なんでしょう?玲人が連れて来なさいよ!」


「えー!連れてくるの?本当に?!」


「今度はうちでバーベキューにするから、玲人が呼んで来てね」


「忍には一応声を掛けて見るけど、判らないから!」


「せりちゃんの彼氏なんだったら断わらないわよ。ね?」


「それは、判らないですけど、一応聞いてみます……」




こうして、玲人の家で行われるバーベキューにせりかの彼氏が招待される事になった。



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