表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幼馴染の親友  作者: 世羅
2章
50/128

50

50話迄来たのが驚きです。


今回は楽しい修学旅行編です。最近どろどろして来ていましたので明るめに!

「かわいい~すっごく豪華な振り袖着てる~」


せりか達は例のテディベア館を見に来ていた。みんなそれぞれ一体一体違う顔をしているのが魅力なんだよねぇと好みのクマを見つけては立ち止まり、沙耶とせりかが盛り上がる。


「みんな同じにしか見えねぇけどな?」


「まあまあ、楽しく女の子達が見てるんだから水注(みずさ)すのはやめろよ?…そうは言っても俺もちょっと分からない世界かな~」


しかし、せりかのくるくる動く表情を見ているのは楽しかった。普段落ち着いている彼女がはしゃぐ姿は珍しく、昨日の夕食時といい、旅行は彼女の別の顔がみられるチャンスでもある。


「あの赤い振り袖みたいなの着たいなー!成人式の時に…」


「もう用意してるって言う子の話も聞くけど私は寸前でいいかなって思ってるの」


「最近は結構着物にも流行りがあるもんね!沙耶ちゃんは何色の着物がいい?」


「私も赤かピンクがいいわ!だって成人式の時にしか着られないじゃない?年齢が相応になってから着れる色もあると思うから、若い時だけっていう思い切ったのがいいかな」


脇で聞いていた橘は、赤やピンクの着物を着た二人を思い浮かべるが、二人ともクールな青か紫の方が断然似合うと思ったが、それこそ水を注す行為なので口には出さなかった。


「橘君、一緒に写真撮らない?」


沙耶からの申し出に後ろに糸を引く存在を感じるが、断りづらい。玲人がこんな時だけ気を利かせて、せりかにも一緒に入る様にいって、両手に花、バックにクマの状態でパチリと撮られた。


沙耶とせりかは『やったね!』と顔を見合せた。せりかは橘の醸し出す邪悪な空気を少しでも変えようと、沙耶と玲人を違うクマの前に立たせてポーズを取らせた。後ろに渦巻く黒いオーラをちょびっと感じて痛い……いや、…ちょっとじゃ無くて、だいぶ痛いかもしれない……。


沙耶から言われたら断れないかも?と思ったら案の上うまくいった。サッカー部関係で委員の仕事を肩代わりしてくれる沙耶には、玲人同様、橘も、とても弱い。相手が高飛車にやって上げてるのだから感謝しなさいよ!というような感情が一切沙耶に無い事が、余計に二人を弱くさせてしまう原因だろう。


これから、困った時は沙耶頼みだなっとほくそ笑む。そうすると橘がやって来て「なかなか、やるね?!椎名さんは、流石に違うなぁ」とにっこりと笑ったが、笑顔が怖すぎてせりかにはとても直視出来なかったが、駄々漏れたフェロモンが周りにいた女性客の頬を紅く染めさせた。


せりか以外の女性には、稀有(けう)な美丈夫の(あで)やかな笑顔は、充分に効果を無駄に振りまいて発揮されていた。


それを見ていた玲人と沙耶は、「世の中って上手くいかないね…」といる場所には似つかわしく無い言葉を口にして二人して溜息を吐いた。




それから、教会を見て回るが、童話にでも出てきそうな尖った青い屋根の建物はメルヘンチックだが、説明書きを読むと由緒あるロシア正教の教会らしい。日本人のせりか達は、信仰に関しての感情がいまいち分かりづらい所もあるのだが、ここで昔から祈りを捧げてきた人達の息吹は少しだけ肌で感じる事が出来たような気分になった。


港町は、外国人の往来も多かったから、教会も多いのだと思う。外人墓地や異国情緒溢れる古い建物も沢山あり、旧領事館など見てまわるが、徒歩圏内に観光名所の多くが固まってあるのが嬉しい!


朝早くに行った大沼公園のソフトクリームが有名だと聞いていたので、お店が開いていなくて残念に思っていたら、そこの物と同じものを売っているお土産屋さんが存在していたので、皆でアイスを食べながら少し休憩する事になった。


その公園の後に連れていかれた朝市で玲人と一緒に吟味に吟味を重ねたお土産を二軒分一緒に購入して、せりかの家に送る事にしたので、母に玲人の家に半分持って行って貰う様にメールを打った。


母から直ぐに『ありがとう~♡玲人君によろしくね♪楽しんで来てね♡』というラブリーなメールが届いたので、そのまま玲人に見せるとぷっと吹き出した。


「ソフトクリーム食べてる時に笑わせるなよ!」


「宅配代が得になるから一緒に送ったお土産の事、メールしたら速攻でこのメールが返って来たのよ!」


「小母さん相変わらず面白いなぁ~!この間の誕生日宴会も大騒ぎだったもんな」


「あれは、来年は受験生だから勘弁して欲しいよね。私達の誕生日をだしに宴会してるだけじゃんね!もう蟹も食べちゃってもいいから両家でかにすきでパーティとかならないと良いけどね…」


「旅行から帰って疲れてる所に企画されると流石に厳しいよなぁ。かといって土産送らないと怒られるしな!」


「今回は二人で、なんとか回避しようね。怪しい動きがあったらメールするから、そっちも目を光らせてね?」


「分かった。逐一報告メール入れるから!!」


二人でやや愚痴大会になった後、決起集会を終えて頑張ろうね!と頷いた。



その様子を微妙な顔で橘と沙耶は見ていたが、堪え切れず二人が笑い出した。


「っ!気管にアイスが入りそう!めちゃめちゃ面白いね。せりかちゃんと玲人君ちって!」


「ははっ!聞きしにまさるってこの事だな。たいした事なさそうな事に、二人が超必死なのが余計に可笑しいって!!」


二人が笑うのを遠い目をした玲人とせりかが見たが、余計にツボに入った二人が更に笑ったのは言うまでも無い。


酷い~!と玲人に言うと、そうだな!二人とも俺達の身になったら笑えないよな~!と二人で慰めあったが、それが更に可笑しかったが、流石の二人も今度はぐっと笑うのを堪えた。


しかし、せりかと玲人は仲が良いよなぁと沙耶と橘は思うが、苦労も多そうで更に少し面白い関係に羨ましいような、そうでも無いような…と、とにかく微妙な感じがした。


せりかが割と大変だと話していたご近所関係が垣間見えた瞬間だった。そういえば、ダイエットの事を玲人病だと言っていたのも田村君の告白で昨日聞きそびれたが、この関係に繋がっている話なのかもしれないと、昨日のせりかの憂鬱な言い方を思い出して沙耶は思った。



せりかは、コクがあるのにさっぱりしてるね♪とソフトクリームの味を褒めた後にお昼ご飯の話をし始めた。


沙耶はダイエットの話を思い出した後なので、大丈夫なの?と思うが時間を見ると、とうに昼食を取るのには遅い時間になっている事に気が付いた。


男性陣二人に気を使って、(テディベアで恩義を感じているし)デミグラスオムライスが美味しいと言われている大正時代の建物で有名なお店に観光も兼ねて行く事になった。


やはり、さっぱりした海鮮ものばかりでは辛いだろうという配慮からだったが、お店も趣があって、滅多に地元ではお目にかかれない様な建物の中で食べるオムライスは味の方も最高だった。


その後、元町公園に散歩に行くと港が一望出来て、爽快な気分になった。昼間の景色も海がキラキラと光って綺麗だった。


集合時間が近くなったので、早めにバスが待機している駐車場に向かう。


もう集まっていた皆はお土産を買ったようで、手に袋を沢山持っていたが、お土産屋さんに行ったのに、ソフトクリームだけを食べて何も買わなかった手ぶらな自分達を見て、四人は可笑しくなって顔を見合わせて笑ってしまった。次の街では食べ物以外のおみやげもゲットしなくては!と笑いながらもお土産をあげる予定の親戚や友達や先輩達の顔を思い浮かべた。



黒い手を使って写真撮影成功の巻です。今回は珍しくせりかの勝ちです。橘を見習う内に知略に長けるようになってしまったせりかに涙です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ご投票くださる方は下のタグをクリックお願いします。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ