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幼馴染の親友  作者: 世羅
2章
38/128

38

すみませんが話の都合上、主人公は出てきません。

「なあ、若宮、せりかっちのあの価値基準、放っておいても大丈夫だと思う?やっぱり、やばいんじゃなのかな?」


いつもの自信満々な態度からは、程遠い程、伊藤は迷っているようだった。


「だってさー、まず、女いる奴を好きになっちゃう時点で危ういだろう?!相手がいい奴だったから良かった様なものの、悪い場合は、彼女との別れをチラつかされて遊ばれちゃうか、もしくは彼女を捨てて、せりかっちに乗り換えられたら、それこそ修羅場で大変だったわけじゃん?」


「そうね、誰もがそうとは限らないけど、せりかちゃんから告白されたら、彼女と両天秤にかけてもおかしくは無かったわけよね」


「そうなんだよ!俺も、もうこの年齢の女の子に玲人が無理やり、彼氏を決めるって!そりゃあ、完璧に玲人がイカレてるって最初聞いた時は思ったから、部で、他の奴らに加勢したんだ。自由意思で行動する、最たるものだろう?恋愛って…」 


「まあね。部内で留められただけでも、私は伊藤君を評価するけど、玲人君達の気持ちも解る位、せりかちゃんって恋愛方面、突っ込み処有り過ぎなのよね~!今日はこっちが無理に聞き出したような物だったから、何も言えなかったけど、同級生の友達だったら肩ゆすって早く目を覚ませ!って言ってあげてるわねー。なんだか将来、ダメンズを渡り歩きそうよね~。他が、しっかりしてる分、余計にそのへん顕著よねぇ。今迄、玲人くんとか橘くんが守って来たのが分かる無防備さなのよね!やっぱり、他の男なんて近づけられないわ!」


「でもなぁ、守り強化ってなると、せりかっち裏切る結果でしか成立出来ないよ?今日だって、あいつらの事、めちゃめちゃ怒ってたじゃん?少なくとも、あいつらと手を組まないと変な男撃退って無理だし、でもそれが知れたら、せりかっちも、もう怒って生徒会も関わってくれなく成るかもしれないじゃん?」


「それは、心配しなくて良いと思うわ。責任感強い子だし、いい加減な事が出来る子じゃ無いわ。今日だって、彼女は橘君も来ると思ってたのに、こちらの呼び出しに応じてくれたのよ?あんなに怒ってる相手と角付き合わせて仕事しなくちゃいけない状況でも、快く来てくれたんだから、それは、杞憂だと思うわ…。大体、一生懸命やってくれてる彼女に失礼よ!」


「じゃあ、話せば解ってもらえるのかなぁ?俺達が、せりかっちの為を考えて裏切るような行動に出たとしても……でも嫌われたくないんだよなぁ!最近やっとあの事件のお蔭か俺にも懐いてきてくれたじゃん?」


「そこなのよね~!わたしもせりかちゃんに嫌われたら、悲しくなっちゃうわよ!伊藤君もすごくせりかちゃんのことお気に入りで、弄りすぎて嫌われてたのやっと最近払拭できて喜んでたのに、ここでまた、元に戻っちゃったら、ショックよねぇ」


「はっきり、言い過ぎだろう?嫌われてたとか!」


「事実でしょう?!やっと懐かなかった猫ちゃんに懐かれた時の伊藤君の頬の緩み具合、可笑しくて百合と大爆笑だったのよ?」


「……別に緩んでなんかねぇよ!お前ら、裏でそんな事言ってたのか!ひでぇよなぁ。高みの見物しやがって!もうちょっと若宮が俺のボジティブな情報入れてフォローしてくれたら、最初から苦労しなかったのにさっ!!」


「あら、珍しい!私にフォローを期待するなんて、伊藤君のイメージが崩れちゃうわよ?」


「余計な事はいうのになぁ……」


と伊藤がぼやくと流石に若宮も、「今度は、きちんとフォローするから、せりかちゃんの事をお願い!」と真剣な顔になった。




「如何したもんかなぁ~!俺の納得する奴を連れて来たいけど、それじゃ、玲人とまるっきり同じになっちゃうもんなぁ。ネジ跳んだとか言って玲人に悪い事したな……」


「せりかちゃんの好きな人ってどの人か判れば好みも判るけど、調べる?」


「調べなくても、橘に聞けば、すぐに判るんじゃないのか?もう、あいつらの方に付くっていう結論になったんだから、橘とは、少なくとも修学旅行前に密談する必要があるだろう?たしか、来週だろう?」


「そうね、早速、手を打たないとね!でもあっちも、せりかちゃんに避けられながらの護衛は難しいんじゃないかしら?」


「橘のことだから、その辺は如何にか出来るんじゃないか?今日、部活の後、話せたら少し話して見るよ。若宮は、せりかっちと明日も生徒会室で一緒にお昼にしといてくれよ?」


「えー!橘君と話すチャンスが無いじゃないの!色々言ってやりたい事もあるのに!」


「……部活前に時間取るよ。部長にも生徒会で少し貸してくれって頼んでおくから……」


「じゃあ、了解!ミッションスタートね!『うちの子猫ちゃんを守れ!』作戦かしら?!」


「まあ…おおまかには、そんな感じだな…」



なんだかんだと、せりかを過保護にしてしまう自分達に伊藤も若宮も苦笑いだった。せりかには、そういう保護欲を掻き立てる何か不思議な力があるのではないかと二人は思った。


段々と守りが固くなっていってしまって、せりかはこのままで大丈夫なのか作者も不安です。

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