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幼馴染の親友  作者: 世羅
2章
36/128

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結局、玲人の無茶振りを無視した訳では、ないが、YESと言える訳も無い。せりかが、唐突にあんな話をしだしてしまったので、(しかもインドカレーを食べながら出来る話じゃ無かった!)玲人もいきなり自分達の関係を考えるような話になってしまうとは思って居なかっただろうから、動揺してあんな事を言い出したのだと思い、少し落ち着いてから、玲人のほうから話を撤回してくれるのを待っていた。なのに何故?!教室でいきなり、


「せりー、忍が付き合ってくれるってー!」


声も高らかに、クラスの皆さんに橘くんとのお付き合いが決まった事を知らされなければならないのだろう?


「橘君、玲人が変な事言ってるみたいだけど?…どうして?」


「うん。玲人から、大体のところの話は聞いたから、いいよって言ったんだけど?」


「いいよっ?!てそんなに簡単にオッケーしちゃだめでしょう?!もうちょっとちゃんと!!ものごと考えようよ!」


「だってー、玲人公認で、小舅様から、直々に椎名さんをお願いって言われたのに、せっかくのチャンス断る訳が無いでしょう?」


このぉー!腹黒王子なにを企んでやがる?!目ジカラで訴えるが、王子はどこ吹く風だ………。


「橘くんが何を聞いたか分からないけど、そんな無理な話、断ってくれて大丈夫だから!」


少し、私達の遣り取りを見守っていた美久が声を掛けてきた。


「どうしたの?橘くんとせりかが付き合う事になったの?!」


「なってないから!!美久!玲人と橘くんが冗談言ってるだけだよ!」


「し・い・な・さん?照れて否定しなくてもいいから……」


今の言い方は、余計な事を言うなと言っている。しかし、ここで肯定しては、私の新たな『普通の彼氏を探そう計画』が、益々遠のいていってしまう。


「でも……」


「はいはい、せりは黙って言う事聞いて?せっかく忍が良いって言ってるんだから付き合っちゃえよ。な?」


玲人、あんた、何時からそんな性格に…。一昨日の事が、大きく影響してるのは分かるけど、娘に見合い持ってくるお父さんじゃ無いんだから!お前の相手は俺が決める!みたいなのっておかしいでしょう?どう考えても……。


確かに私は玲人に家族愛のような関係を以前に強要してしまったし、今も出来たら、そうして欲しいっていう気持ちもある。でもそれはプチお父さんになって自分が認めた彼氏を連れてきて欲しかった訳じゃない。私達の関係を見直そうっていう話だった筈だ。


橘は、いったいどういうつもりなのか?狸の考えている事が読めない……。


「じゃあ、玲人君がキューピットで、橘くんとせりかちゃんが付き合うの?」


「そう!せりは男を見る目が無いから、俺が、ちょっと強引にくっつけてやったんだ!」


それは、玲人も橘くんも断ってしまった私に、男性を見る目がないのは、確かだろう。しかし…。


「玲人、そのジャイアンみたいな発言はどうかと思うんだけど……」


今、玲人に対して強く出られないせりかは、遠慮しながら、発言にクレームをつけさせて貰う。


隣に来た沙耶に少し困った顔を向けると、理由はよくわからないが、玲人の強引な行動に、橘は置いておいて、私が困ってしまっているのは、分かってくれた様だ。


「玲人君の強引な勧誘に、せりかちゃん困ってるよ~!いくら幼馴染でも、彼氏に自分の友達を推薦するのは、おかしく無―い?もちろん橘君だったら文句の付けようは無いと思うけど…」


後半部分は、橘に気を使って言った言葉だろう…。沙耶ちゃんありがとう!わたしが言いたかった事をそのまま言ってくれた!と心の中で拍手を贈る。


「沙耶だって忍なら、文句無しなわけだろう?それで、うまく纏まったらいいんじゃないのか?俺だって、せりが片付かないと心配で、彼女もおちおち作れないよ」


「…それは、勝手に作ってくれて良いから……その、心配性なプチお父さんみたいなのやめてよ。自分の事は自分でするから…橘君だって巻きこまれて迷惑してるでしょう!」


「別に、俺の事は気にしなくていいから。せっかくの玲人の推薦だし、修旅前で、俺もそろそろ彼女が欲しいなぁと思ってたから、気にしないで!」


あんたが気にしろ!と睨むが、さわやかに微笑む、腹黒の年季の入り方も違う橘に、口で敵う訳も無い。玲人より、やっかいなのが来てしまった。玲人には、色々な罪悪感から強く言えないだけで、後から話せば何とかなるだろうと思ったのだが。(玲人を馬鹿にしている訳ではない。むしろ裏に含む所がないからなんとかなると言うのは、良い意味であったりする)


「そんな…気にするよ!そんな安易に決めなくても…ねぇ?」


「安易って訳じゃないから!俺だって誰でも良い訳じゃ無いし、椎名さんとは気ごごろしれてるから、ベストかな~ってちゃんと考えてるから大丈夫だよ?」


気ごごろ知り過ぎだから、『此処で逆らわない方がいいよ』って言う裏のお言葉が聞こえて、眩暈(めまい)がした。彼にまかせておけば大抵の事はうまく行くって分かっているけど、大丈夫なんだろうか?って大丈夫な筈、今回に限っては無いでしょ!!


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