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幼馴染の親友  作者: 世羅
2章
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最近、生徒会のお手伝いがとても楽しい。


若宮は、綺麗で素敵なお姉さんで、とてもひとつしか年が違うとは思えない。誕生日は聞いて居ないが、せりかが四月の終わりの生まれなのを考えると、数ヶ月の差かもしれない。



ちなみに玲人は五月の初めでせりかより三日遅い。当然の様に中日(なかび)辺りに両家の合同食事会でお祝いされたが、今年はそろそろだが、どうする気なんだろうか?と思う。去年は高校の入学祝いの食事会をした直後だったので辞退したのだった。いつも、大体、大人の方がお酒を飲んで出来あがってしまうのをタクシーに押し込んで帰る事になる。本当に私達のお祝いだと思っているんでしょうね?!と文句を言いたくなる年も有ったが、決まって、母親が欲しかった洋服だったり、ゲームだったりと、その時の迷惑の掛けられ具合と比例した贈り物をしてくれるので、我慢出来るのだった。



「せりかちゃんも仕事、随分慣れてきたわよね!最初からあまり、飛ばさないでね。嫌になって逃げられたら困っちゃうもの」


なんとも、他人(ひと)の心の(くすぐ)り方を知っているのではないかと思う程、さり気無く褒めて、せりかを必要だと言ってくれる。相手に自分を必要と言って貰える事がこんなに嬉しいものだとは正直思わなかった。


お手伝いの身である為、些細な事をしても過剰にお礼を言われてしまい、多少、恐縮気味だが、年上のお兄さんとお姉さんのお手伝いをするといった感覚は、兄弟のいないせりかには、かなり新鮮で楽しい事だった。


伊藤も時々、労わりの言葉を掛けてくれるのだが、そうすると橘の逆鱗に触れる事になる(先輩相手なのに…)。どうも伊藤の「せりかちゃん」呼びが気に入らないらしい。最近は、怒る橘面白さで軽く肩などに手を置いたりするので、伊藤も橘と同種の人間なのだと悟った。玲人が懐いている訳が何と無く分かりたく無いけど、分かった気がした。


橘は、何もヤキモチを焼いている訳では無く、せりかに嫌な思いをさせたく無いと考えているようだ。今迄は、玲人がべったり傍にいたし、その後は橘や本庄と一緒にいるせりかに「せりかちゃん」と呼んで来る男子などいなかっただけで、特に呼ばせなかった訳では無かった。むしろ、本人達には言えないが、無自覚なアンタたちの所為で、男子に壁作られてるんだからね!と思っているのだが、せりかが、嫌がっていると思っている橘にしてみれば、自分が無理やり連れてきたのに、先輩といえどもちょっかいは、出させないといったナイトぶりで、恥しくなる程だ。伊藤等は、その辺りを薄々察していて、せりかに触ったりして来るのだから性質が悪い。それは、流石にせりかも少し嫌なので、橘が過剰に反応するのをやめてくれれば、そんな事しないのになぁと思う。


やり過ぎな時は若宮の鉄拳が伊藤に飛ぶので、皆で笑ってしまう。適度であれば、問題無いし、嫌じゃないから平気だと言っても、せりかが先輩達に気を使っていると思っている様だった。まあ、最初は本当に気を使っていたので、橘がそう誤解してもおかしくは無いのだが…。



書記の二人の男性の先輩は、伊藤を(たしな)めてくれるし、せりかの事も椎名さんと呼んで適度な距離を置いてくれる。多分、これ以上恐がらせたら可哀想だし、本当に逃げられると思っているらしい。


会計の女性も、若宮の親友で、なかなかオトコマエな人で、たまに伊藤に対して蹴りまで入れてくれる。お姉さん達二人にこんなに守られているんだから、本当に大丈夫だから、先輩に暴言吐くのやめようね!って言いたいのだけど、皆にコミ二ケーションの一環だから橘を止めなくてもいいと言われている所を見ると、どうやら、皆も面白く思っているに違いない。なんだかこういう種類の人間が生徒会をやっていくものなのかなぁと思ってしまうが、会長、副会長が友達を連れて来たのだから、類友なのだと答えは直ぐにでた。



そんな穏やかな日常の中で事件が起きた。前に遊びにいった時、玲人と真綾が撮られた写真が、ファッション誌に載ってしまったのだ。


何組かのカップルにインタビューとファッションチェックをする内容なのだが、玲人と真綾をメインに配置したページは他の小さく載っている人達とは格段に違う扱いだった。


見出しには『ナチュラル系イケメン彼氏に姫系彼女、初めてのデート』とある。ナチュラル系って何!?と思うが、あまり飾らずにすっきりした着やすいものを好む玲人のファッションの事だと思うが明らかに美化しすぎだろう。姫系もあの日、ピアノのレッスンの後、着替える時間が無くて仕方無く、していた格好で本人は普段はあっさりした服を好んできているのに、この雑誌を見ると真綾にあやかってゴスロリ&姫系特集も組まれていた。


これでは反響が大きいのも当然と言えた。玲人と真綾を知らない人達まで一組の扉のところに来て雑誌を片手に見物者で一杯だった。


中には、玲人のファンの子達が、皆で雑誌を握りしめながら泣いていて、泣いている友達を慰める子まで付いて来て真綾を睨みつけていた。此処までわざわざ泣く為に来なくても良いのでは?とハテナで一杯な光景だが、真綾に危害を及ぼさないか心配になった。


騒ぎが大きくなった為、担任に生活指導室に来るように二人が呼びだされて事情を聞かれる事になってしまった。普通だったら、こんな事では呼び出しは喰らわない筈だが、騒ぎが大きいので、周りを黙らすために、二人を教室から隔離したかったようだが、まるで悪い事でもしたかの様に皆の目に映ってしまわないか気になった。


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