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幼馴染の親友  作者: 世羅
2章
19/128

19高校二年生一学期

二年生になり、クラス変えがあった。せりかは、やはり本庄と一緒のクラスだといいなという希望はあったが、流石にそれは誰にも言えなかった。


ところが蓋をあけてみれば、本庄ばかりで無く、真綾や橘や玲人や美久や弘美まで一緒のクラスだった。少し不可解な物を感じたが、橘がせりかに説明してくれた。


「この一組は成績優秀者で構成された、進学クラスなんだよ。国立の進学率とか上がった方が学校側もいいから公立の学校でも進学クラス作るって聞いてたから、椎名さんや玲人とは同じクラスになれるだろうとは思ってたんだよね」


「そっか~。私立だけかと思ったよ。そういうアカラサマな事するのは……」


「公立は表立って言わないだけだよ。結局結構はっきりしたクラス割りしてるよ」


「でも、そのおかげで皆一緒のクラスになれたんだったら嬉しいね!」


「そうだね。俺もそう思うよ。特に二、三年はクラス変えが無いから良いクラスになって良かったよね!」


「そうなんだぁ~!!受験とかあるから何と無くそうかなって思ってたけど部活とかしていないから先輩とかと繋がり無くてそういう話題入ってこなかったんだよね」


「俺は、兄貴がいるから、どっちかっていうと裏情報含めてそっちからの情報なんだけどね」


「そっかー。一樹(いつき)さん、この学校の卒業生だって言ってたものね」


二人で話し込んでいると何気に周りの注目を浴びていた。やはり隣の美少年はどうやっても周りの注目を集めてしまうらしい。それにしても元五組だった人数が多い事に驚く。かなり偏ってしまっているのではないだろうか?八クラスあるのに、三分の一位は元のクラスの面々が見えるのはどうなんだろうか?


「なんだかクラス変わった感じしないね。前のクラスの人多過ぎない?嬉しい事は嬉しいけど」


「うん。うちのクラスって優秀だったんだな~!ばっさり成績順のクラスらしいからね。兄貴の話によると」


「多分、橘君が試験前にみんなに勉強会して教えてくれてたでしょう?あれの成果なんじゃないのかな?」


「そうだと嬉しいけど元々、元五の奴らって基本的に出来のいい奴多かったよ。何故だかね…」


橘ははっきりは言わなかったが、学年首席の彼の入るクラスは最初から比較的優秀なクラスに成る様に組まれたクラスだったようだ。道理で何と無く出来た人間が多いと思っていた。特に女子は橘に言い寄るような子が居なかった事を思えば内申も考慮された特別なクラスだった事が覗える。


「もしかして、このクラスでも委員長になったりしないよね?」


せりかはともかく、橘は学年首席で充分可能性が有った。その橘とよく一緒にいるせりかもセットに見られるのではないかと不安になった。


「…それは、言い辛いけど多分そうなると思う。この後、生徒会もやるつもりなんだから、なって置いて損は無いから今年もよろしくね。でも、このクラスって玲人みたいに委員やってた奴ばっかりな筈だから、仕事は手伝ってくれると思うよ?元五の子達も後半は結構やってくれてたから、入学当初みたいには大変じゃないんじゃないかな?俺も一年の時より部活も融通効くからさ」


「まだ決まっても居ないのにおこがましい心配かもしれないわね…。橘君とだったら一緒にやりたいって言う子もこのクラスなら居そうだしね…静観させてもらうわ」


「ちょ、ちょっと待って!見捨てないでよ。やり辛い子と一緒じゃ精神的消耗が激しいよ。唯でさえこの視線で少しぐったりしてるのに…頼むよ、一生のお願い!」


「この貸しは高くつくからね!何て言っても一生のお願いで下手したら二年分やんなきゃならないんだから」


「椎名さんのお願いは大抵の事は聞くから!!本当に頼むよ。椎名さん以外だと面倒事にならないまでも地で話せないから気を張りそうだし」


「わかったわ。なるべく推薦してもらえるように根回ししておく。元のクラスの子に王子に泣きつかれたって言っとくわ。橘君の性格みんな知ってるから納得してくれるんじゃないかしら」


「結構怒ってるね。椎名さんから王子呼びが出てくると結構ヒヤヒヤするよ。如実だよね。呼び方で機嫌分かるからマジで恐いよ」


「いいのよ。お願い殆んど聞いてくれるのはかなり魅力的な申し出だもの。それに親友にそれだけ必死に頼まれたら断れないわ…親友じゃなくて悪友だったかしら?」


「出来たら、分類的には親友にして欲しいかな。悪友は否定出来ないけどね。よく本庄や玲人に椎名さんを悪の道に引き摺りこむなって言われてるからな~」


「悪の道って……戦隊ヒーローものじゃ無いんだから!言い過ぎだし、二人ともずれてるわよね。玲人もまだ過保護が抜けないのかしら?そんな事橘君に言うなんて」


「本庄が言うのは気にならないんだ?」


「…意地悪な事言うのね。私がちょっと嬉しいの分かってるくせに!結局本音を言えるのは私も橘君だけみたいね。…もしかしてそれを判らせる為にわざと憎まれ口をきいたのね?」


「椎名さんが親友だって言ってくれたから、嬉しくなって調子に乗っただけ。ごめんね。嫌な事言って」


「ううん。そんな事で喜ばれると罪悪感が湧いて来そうよ?交換条件なんて無くても良いって言いたくなるけどそれは勿体ないから言わないで置くわね。……半ぶん狙ってたでしょう?橘君の事だから」


「ははっ!流石、付き合い長く成るとカンが良くなるよね~。でも言った事は本心だからね♪」


「分かってるわ。橘君は無駄に嘘は言わないものね。特に私には!って自惚れてるの」


「相棒だからね♪信頼関係は大事でしょう?」


「そうね。私も橘君の信頼を裏切らないように頑張らなくちゃ」


「これからも長い付き合いになりそうだけどよろしくね。椎名さん」


ふんわりと彼が微笑むと、その妖艶な美しさに見ていた周りがどよめいた。彼の秀麗な容姿は笑顔になると知的なものから途端に色香を放つものに変わってしまう。せっかく微笑んでくれたのに、それを指摘するのは躊躇われた。笑うなというのは酷な話だし、周りがそれに慣れてくれるのを願うばかりだった。


その後のクラスの自己紹介後の委員決めはやはり、橘が皆の推薦でやる事になり、副委員は立候補したさそうにしている女子が数人いたが、根回し通りに推薦でせりかに無事決まった。


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