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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

僕に仕えるメイドは世界最強の英雄です

婚約者に毒を盛られて追放された第一王子ですが、王妃になった元婚約者の王国を滅ぼしました

掲載日:2026/03/14


「やめてください!その子はあなたの子なんですよ!」


王妃の絶叫が王城の大広間に響いた。


剣を構えた若き王子と、その前に立つ男。

両者の間には鋭い殺気が満ちている。


「……親子で争う気なのですか!」


王妃は必死に叫ぶ。


その瞬間、男は冷たい目で王妃を見た。


「ふざけるな」


低い声が広間に落ちる。


「何が親子だ」


そしてゆっくりと王子を指差した。


「そいつは俺の子でもなければ、国王の子でもない」


広間が凍りついた。


「その男は、お前とお前の護衛騎士の子だろう」


王妃の顔から血の気が消えた。


王子も膝をつく。


「母上……?」


王妃は震えた。


「なぜ……そのことを……」


男は静かに答えた。


「その反応が答えだな」


そして広間を見渡す。


「つまり、こいつは王族ではない」


「この国の王家は終わりだ」


その瞬間、城の外から軍の鬨の声が響いた。


その日、この国は滅んだ。


十数年前。


俺はこの国の第一王子だった。


だが誰からも望まれていなかった。


容姿は平凡。

武も学も弟に劣ると言われた。


弟は第二王子。


美しい容姿で、父王にも母にも愛されていた。


そして俺の婚約者。


公爵令嬢もまた、弟を見ている時だけ目が優しかった。


それでも俺は十年間、婚約者として彼女と過ごした。


だが結婚式の直前。


彼女は俺に毒を盛った。


「……なぜだ」


俺が問うと、彼女は言った。


「あなたは王になる器ではありません」


そして微笑んだ。


「私は王妃になるために生きてきたのです」


俺は死にかけた。


だが奇跡的に助かった。


その時、俺は誓った。


必ずこの国を滅ぼすと。


死ぬはずだった俺を毒から救った者がいたのだ。


その人は、俺のあまりの境遇の酷さに同情をしてくれたのか、解毒をし、さらには国から安全に出してくれた。


その人は、黒いローブをまとった魔法国家プラチナ帝国を統べる大英雄。


大魔導士イオニーア。


しばらく、俺は小さな村の隅で静かに暮らしていた。


そこへ大魔導士イオニーアが訪ねてきた。


「あなたの元婚約者ですが」


彼女は静かに言った。


「あなたの弟である第二王子と婚約をしたみたいですよ」


まあ、そうだろうな。


そのために俺を殺そうとしたんだし。


その後、王国では事件が起きた。


母親である王妃と護衛騎士の姦通。


弟の第二王子は不義の子だった。


王妃と第二王子は毒杯を賜った。


王家の正当な血筋はいなくなった。


父である国王は慌てて俺の捜索を始めたという。


すべて大魔導士イオニーアから聞いた話だ。


「ふん、誰があんな国に戻るもんか」


先日、俺の居所をつかんだ国王の使者を追い返した。


すると今度は元婚約者の公爵令嬢がやってきたのだ。


「毒殺するようなやつとは怖くて一緒にいられないな」


そう言って追い返した。


後日、大魔導士イオニーアがやってきて、


「あなたの元婚約者が、面白い計画を立てていますよ」


俺は眉をひそめた。


「眠り薬であなたを眠らせ」


「媚薬を使ってあなたの子を身ごもり、そのまま年の離れた国王の元へ嫁ぎ、王妃になる計画です」


俺は吐き気がした。


「どうやら、公爵や国王も公認のようです」


「そんな国は滅ぼした方がいいな」


俺はその時、初めて笑った。


その後、俺の元婚約者は王妃になった。


王の新しい妻として。


王子も無事に生まれたらしい。


そして十数年が経った。


「やめてください!」


王妃は叫ぶ。


「その子はあなたの子なんですよ!」


俺は吐き捨てた。


「お前と子供なんて作っていない」


そして王子を見た。


「顔を見ろ」


「似ているか?」


王子は震えていた。


そこへ国王が現れた。


「その子はお前の子だ」


「王妃はお前と同衾してから嫁いだのだ。どうしてもお前との子が欲しいというてな」


俺は笑った。


「嘘をつくな」


そして静かに言った。


「そいつの父親は王妃の護衛騎士だ」


俺の指摘に周囲の音が消えた。


「な、なぜ、それを・・・・」


王妃が崩れ落ちた。


「あの日、お前が俺の元へやってきて、最後に、と料理を侍女に並べさせた時のことだ。料理に眠り薬を入れ、そして薬で俺の子だねをもらうと見せかけ、お前は本当に愛する護衛騎士と同衾し、孕んで、国王に嫁いだ」


「すべて教えてくれた人がいるんだ」


大魔導士イオニーアの姿が目に浮かぶ。


「おまえは、国王と公爵をもだました最悪の悪女だ!!」


王子も膝をつく。


国王は言葉を失った。


俺は剣を下ろした。


「王族はお前たちだけだ」


「身柄を拘束しろ」


兵が動いた。


その日、王国は滅んだ。


数日後。


護衛騎士は逃亡中に捕まり処刑された。


王国はプラチナ帝国の領土になった。


王と王妃は牢の中で罵り合っていた。


「すべてお前のせいだ!」


「あなたこそ!」


二人は狂ったように叫び続けている。


そこへ看守がやってきた。


「静かにしろ」


看守は吐き捨てる。


「元国王と元王妃が見苦しい」


その言葉に二人は凍りついた。


そして看守は言った。


「処刑は明日だ」


王妃は崩れ落ちた。


「いや……いやよ……」


王は顔面蒼白だった。


だが看守は興味もなさそうに言う。


「安心しろ」


「お前たちの息子も一緒だ」


王妃の絶叫が牢に響いた。


牢の前に一人の女が立っていた。


挿絵(By みてみん)


黒いローブの魔導士。


大魔導士イオニーア。


イオニーアは微笑む。


「残念でしたね」


王妃は震えた。


「あなたの計画」


「最初から全部知っていました」


王妃の顔が絶望に染まる。



あの日毒を盛られた王子はもういない。


いるのは――


国を滅ぼした男だけだ。



この話は、拙著、「僕に仕えるメイドは世界最強の英雄です」シリーズの外伝にあたります。興味が湧けばぜひ、本編もお読みだくさい。

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