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第1話 血まみれの花嫁

舞台:異世界ユウメイカイの街セルヴィナス。霊脈が渦巻き、強力な悪霊が現れる除霊師の聖地。夜霧漂う石造りの街並み、青白い魔光ランプが怪しく光る。市場ではスパイスパンやスモークフィッシュが売られ、ギルド「星灯騎士団」の酒場は冒険者で賑わう。

登場人物:

• アリア:17歳、ギルド「星灯騎士団」の魔力神クラスの除霊師(Sランク相当)。ピンクの髪に星形リボン、青いローブがトレードマーク。浄化の呪術と光の魔法を操るが、制御が下手でドジっ子。数年除霊を続けたベテランだが、ポンコツな性格で愛嬌たっぷり。口癖は「マジありえないんだけど!」。アリアでしか祓えない強力な悪霊が相手。

• リオナ:20歳、先輩除霊師(Aランク)。金髪ポニーテール、炎の魔法が得意な豪快な姉貴分。アリアを「神ちゃん」と呼んでからかうが、信頼してる。

• カイト:18歳、ライバル除霊師(Bランク)。黒髪イケメン、風の呪術を使う。クールぶってるが、アリアに負けたくない。


セルヴィナス、ギルド「星灯騎士団」の酒場

夕暮れ、木のカウンターでスパイスワインを眺め、わたし、アリア、17歳、除霊師、ため息。

数年悪霊と戦ってきたけど、昨日も訓練場で光の魔法を盛大にミス。魔力神クラスなのに、制御下手すぎて魔法がズレる!

「マジありえないんだけど! 除霊師って、こんな貧乏でダサい生活なの!?」

カウンター向こうで、リオナ先輩がワイングラス掲げてニヤニヤ。

「よぉ、神ちゃん! またグチグチ? 魔力神クラスでもポンコツだな。ほら、新着依頼!」

リオナ先輩、革の依頼書をドサッと投げる。

「廃聖堂の『血まみれの花嫁』。毎夜、泣き暴れる強力な悪霊。アリアの魔力神クラスでなきゃ祓えないやつだ。報酬はスパイスパン一個、30シルバー。クリアしたら報告な!」

「スパイスパン!? 市場の安売りじゃん! フルーツタルトにしてよ!」

酒場の隅から、カイトがクールに近づく。黒髪がサラッと揺れて、ムカつくくらいカッコいい。

「アリア、その悪霊、俺でも祓える。神ちゃんとか過大評価だろ。」

「うっさい! カイトなんかより、わたしが華麗に祓うから!」

リオナ先輩、ゲラゲラ笑いながら肩をバシッ。

「いいね、神ちゃんの意気! でも、聖堂の瘴気はヤバいぞ。ビビんなよ!」

酒場は冒険者の笑い声とグラスの音で騒がしい。

(ライバルだらけの除霊師生活、ほんと疲れるんだけど……)


廃聖堂、夜

セルヴィナスの外れ、苔むした廃聖堂。ひび割れたガラス窓から月光が漏れ、魔光ランプがチカチカ。めっちゃホラー!

わたし、青いローブの裾握り、震える足で扉を開ける。ピンクの髪の星形リボン、緊張でプルプル。

「マジありえないんだけど! 夜の聖堂、怖すぎるって!」

祭壇前に、白いドレスの悪霊。顔、半分血で真っ赤。破れたベールから血の雫がポタポタ。紫の瘴気が渦巻き、血の花びらがギラギラ浮かんでる。

「返して……わたしの、愛を……!」

「ひっ! やばい、めっちゃやばい! 血まみれってガチ!?」

杖を構え、光の魔法を展開。青い光球がふわっと浮かぶけど、制御ミスってチカチカ点滅。

悪霊がググッと近づき、血の花びらがビュッと飛んでくる!

「やだ、斬らないで! マジありえない!」

浄化の呪術を急いで展開! 青い光の結界が花びらを弾くけど、制御下手で結界がグラグラ。

悪霊の声、低く唸る。

「裏切った……愛の、誓いを……!」

(リオナ先輩に笑われたくない! カイトに負けたくない!)

深呼吸して、杖握り直す。

「ねえ! 愛って、なに!? 誰に裏切られたの!? 話してよ!」

悪霊、ピタッと止まる。血まみれの顔がじーっとわたしを見て、ぽつぽつ。

「あの人と、永遠に……暮らしたかった……でも、誓いを破られた……」

(愛のドロドロ系!? わたし、こういうの苦手なのに!)

でも、放っとけない。結界の中で一歩踏み出し、言う。

「そっか。すっごく辛かったよね。でも、愛したかった気持ち、めっちゃ美しいよ。それ、ちゃんと覚えてて。」

悪霊の目、ギラギラが少し柔らかくなる。

「わたしの、愛……覚えてて、いいの……?」

「うん、絶対! そんな素晴らしい気持ち、忘れられないもん!」

突然、悪霊の瘴気がドカーンと爆発!

「まだ、許せない……!」

血の花びらがハリケーンみたいに襲ってくる! 瘴気が紫の炎になって聖堂を包む!

「うそ、話したのに!? こうなったら、魔力神クラスの力でぶっ飛ばす!」

杖を振り上げ、浄化の呪術を全開! 青い光の結界が聖堂を覆い、光の矢がビュンビュン!

花びらがバチバチ弾け、瘴気の炎がゴオオと溶ける。

「愛、ちゃんと持ってけよ!」

光の矢が悪霊の胸を貫き、ドレスが光の粒に変わる。悪霊、かすかに微笑む。

「ありがとう……わたしの、愛……」

悪霊がスッと消え、聖堂が静寂に包まれる。


ギルド「星灯騎士団」、クリア報告

夜遅く、ギルドのカウンターにドロドロのローブで戻る。

「血まみれの花嫁、除霊完了! はい、報告!」

受付の姉貴、ニコッとハンコを押す。

「アリア、さすが魔力神クラス! あの悪霊、アリアじゃないと祓えなかったよ。レート、Sランクキープだね。はい、報酬のスパイスパン!」

ぽんっとスパイスパン(30シルバー、硬め)。

「うそ、スパイスパン!? しょぼすぎ! フルーツタルトがいい!」

リオナ先輩、ワイン片手にゲラゲラ。

「神ちゃん、いいじゃん! スパイスパン、噛めば美味いぞ! ま、わたしなら半分の時間で祓うけど!」

カイト、クールに一瞥。

「次は俺が受ける。アリア、負けないぞ。」

「うっさい! カイトなんかより、わたしの方が派手に祓うから!」

酒場は冒険者の笑い声で騒がしい。

スパイスパンかじりながら、ぼやく。

「マジありえない……何年除霊しても、報酬しょぼいし、悪霊増えるし……」

(でも、あの花嫁、愛した記憶、持ってたんだよね。忘れちゃダメだな)

依頼板に新着。

「クロミスト川の『沈む影』。報酬、スモークフィッシュ20シルバー」

「スモークフィッシュ!? またしょぼい!? フルーツタルト食べたい!」

――何年除霊して来た? いい加減、悪霊増やすのやめてよね!


作者のひとこと

悪霊の未練、愛とか、めっちゃ人間らしい。

でも、わたしには怖さと貧乏の地獄。リオナ先輩、フルーツタルト奢って!

――明日も、除霊だよ!

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