表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/8

『丸太小屋』

「ジャック」

ジャックを出迎えた大男は、大きく分厚い、木製と思しきの門の前に立つと、振り返らないままにジャックに声をかけた。

「今日からここは、お前さんの家になる。お前さんがどんなにこの在り方がいやになって、逃げだしたくなって、死んだ方がましだって思うことになったとしてもだ」

ジャックは表情を動かさないまま、黙ってローレルの話を聞いていた。

「『樵』になるってのは、外で生きるっていうのは、そういうことだ。たとえお前たちが俺たちを遠ざけようとしても、『樹』がそれを許しちゃくれない。お前が「中」で暮らしていたときに出会ったどんな人間よりも、『樹』の方がお前の身近な存在になるんだ、連中を全部切り倒してしまうまではな。月並みな言い方になるが、その覚悟はできているか?」

 二人の男の前に立つ重厚な扉は、ローレルが手を触れると、見た目にたがわず重々しい音を立ててひとりでに開いていった。

「…っていい」

「なんだって?」

 大男は振り返った。相も変わらずジャックの表情はサボタージュをおこしたように微動だにしなかったが、

「どこだっていいんです、あの夢を見なくて済むんなら、どこだっていい」

「その悪夢が日常になったとしてもか?」

「手に武器があるのだとしたら、いくらでも伐りようがあるはずです。あなたも、親父もおふくろも、そうしてきたはずだ」

 少年の視線が一瞬、下を向いた。

「口汚く罵って終わりなんてのは、もうこりごりだ」

同時に、瞳に怒りが宿った。その瞬間を、大男は見逃さなかった。

「お前、本当にハウリーのガキかと疑っていたんだがな」

「『悪くない』。『丸太小屋』はお前さんを歓迎するぜ、ジャック。俺はローレルだ。『丸太小屋』2代目の管理官(Adiministrator)を務めている」

 ローレルと名乗った大男は少年に大きな手のひらを差し出し破顔した。

「ありがとう、ローレル管理官」

 口元だけを器用に動かして、ジャックは目の前の大男に感謝の意を伝えた。

「ローレルでいい。敬語もいらん。まぁ強制はしないが。何しろここに入った以上、お前は俺の息子みたいなもんだからな。管理官(Ad)じゃどうも味気ないからな、お父さん(Dad)って呼んでくれてもいいんだぞ?なんてな、しかしその不愛想なのだけはどうにかしろよ」

わっはっは、と大笑しながらずんずん先に進むローレルの背中をながめ、ジャックは

「少々面倒な人だ」

と正直な感想を抱いた。それと同時に、ローレルが口にした言葉が思い出された。

「悪くない」

「お前さんを歓迎するぜ」

「悪くない、ね」

 「あんたの言葉にふさわしいぐらいの働きはできるよう努力するよ。管理官(Ad)」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ