表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/115

第24話 高音域

第24話 高音域


高音域。

それは楽器をする上で憧れの存在である。

しばしば、奏者間でも「上はどこまで出るか」で優劣を競う時もあり、演奏する曲を選ぶ上でも、高音域が出てくる曲はやはり難易度が高くなる。特に旋律で出現する場合は、その曲自体選ぶことができなくなる。

それはある意味聖域かもしれない。木管楽器ではリードミスを誘発し、金管楽器では音自体が出ないか下手をすると口を潰すリスクを背負う。

では一体どの辺りから高音域と呼ばれるのか。

管の特性により、各楽器でそれは異なるが、大体がハイB♭(チューニングB♭のオクターブ上。トランペットでは上のド、ホルンでは上のファ)が目安になるかであろうかと著者は思う。

特に初心者にとっては、このハイB♭が出るか出ないかが一つの壁になるであろう。


「三浦~、お前上の音どこまででる?」

小路は三浦に聞いた。

「上か・・・そうやな、Aかな?コンクールの曲自体そこまでしか楽譜に記載されてへんから。お前は?」

「いっこ上まででるねんな、俺はGまでしか出えへんねん。」

その二人の会話を後ろで聞いていた島岡は言った。

「まぁ、ラッパとホルンやったら管違うからな。一概にそうとは限らんで~。俺に言わせたらどっこいどっこいやな」

「そうなんですか?じゃぁ難易度的にはどのくらいの音で並ぶんですか?」

三浦は島岡の言葉を聞くと再びそう尋ねた。

「そやなぁ~、ホルンのハイDとペットのハイB♭くらいが同じくらいちゃうか?難易度。俺もラッパ吹いてるわけちゃうからそこまで詳しくないけどな。」

それを聞いた小路は、島岡の高音がどこまで出るのか興味が沸き、聞いてみた。

「へ~~、んじゃ、島岡先輩は上どこまで出るんです。」

「出すだけやったらハイG・・・う~ん、ハイA♭?・・・いやいや、ダブルハイB♭まで試したかな?よう覚えてへんわ。まともな音としてならハイFまでやな。」

どこまでも規格外イレギュラーな男である。

「でも小路、俺に聞くよりもお前んとこにはあの柏原おるやん。あいつダブルハイB♭なんて屁みたいにおもっとるさかい、あいつに聞いた方がはやいで~。まぁ、ハイトーンはほどほどにな。」

島岡がそう言い終わった頃、開始のミーティングが始まった。


パート練習の為、教室に入ったホルン5人。

楽譜の用意をしながら三浦は、ミーティング前の事がやはり気になった。

「島岡先輩、ハイトーンの練習方法なんですが・・・」

島岡も楽譜の用意しながら答えた。

「なんや、やっぱり気になるんか。まぁ、俺もお前んくらいの時は気にしてたがな。ねえ、石村さん。」

だが、石村はその言葉に呆れる・・・

「そうやったな~、ちょうどこの時期くらいやったな。っていうても、お前はハイC当てるつもりでハイD出して、『ハイCの音判りませ~ん』、なんてふざけたこと言ってた気がしたが・・・」

「そうでしたっけ?覚えてないなぁ・・・まぁともかくや、ハイトーンはロングトーンみたいに長く吹く必要はあらへんねん。長時間高音吹くと口潰すしな。」

「じゃぁどうやって出す練習するんです?」

「音階使うんや。この前教えたやろ。オクターブ下やが。でな、それを上でするんや。FからF、F♯からF♯って半音づつあげていくねん。ちょっと見本見せたるわ。」

そういうと島岡はホルンを構え吹き出した。

Fからのドレミファソラシドを吹き、次にF♯のドレミファソラシドを、次にGと半音づつあげていく。最後はFからハイFをして終了する。

「とまぁ、こんな感じや。ハイB♭だしたいんやったら、チューニングB♭の音階まででええで。この方法やったら口慣らしながらやからあんまり負担にならんし、音階やからあんまり音はずさへんからな。」

「いっそのこと今せえへんか?最近基礎練で取り入れてへんし。」

石村はそう提案すると、島岡は「ほな、FからB♭までしましょか。」というとメトロノームを動かし始めた。

「さんしー」の合図で音階が始まる。

その練習方法のお陰か、三浦はハイB♭まで出すことができたのである。


パート練習終了後、教室から音楽室に帰る途中、三浦は島岡に聞いてみた。

「なんで上の音階練習、基礎練から外したんです?」

「これは俺の持論なんやけどな・・・」

島岡は前置きを言い、続けた。

上の音(ハイトーン)ちゅうんはちゃ~んと下の音で練習してたら、必要に迫られても自然と出るもんやねん。前に息の速さで音が変わるねんで~って教えたやんな?」(第11話 なんか違うんですが・・・参照)

「ええ、そう聞きました。」

上の音(ハイトーン)も一緒でな、息の速さが速いとちゃ~んと出るねん。それがうまいことでけへんから、口先だけで上の音(ハイトーン)出そう思って無理して、結果口潰すことになるねん。それに腹から息出さんで、口先だけの息しか出さへんから、音もスカスカやしな。」

「はぁ」

三浦は理解できたのかできていないのか微妙な返事を返す。

「せやから俺の基礎練では、下をきっちりやったら上もきっちり出る思おて、今までそういった練習せえへんかってんやけどなぁ・・・明日からF~B♭の音階だけでもしよか。」

島岡メニューにもう一つ練習メニューが増えた瞬間であった。


初心者最初の難関を無事突破した三浦。しかし、コンクールは目の前に迫っていたのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ