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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
七部・四章 新たな任務

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うさんくさい店主の正体

 サーカスが始まる時間まで、船上ショップ街の見回りを兼ねた調査をして回ることとなった。

 お守りとなる、守護の魔法がかかったくまのぬいぐるみを持つのも忘れない。

 ジェムは今日もお留守番をするようだ。

 いってきます、と声をかけてから出かけることとなる。

 船上ショップ街は営業開始時間になったばかりだからか、人通りが多く賑わっている様子だった。

 一日目に行ったショコラトリーは人気店のようで、行列ができていた。


「早いうちに買っておいてよかったな」

「本当に」


 昨日、レヴィアタン侯爵夫人と一緒にこっそり食べたのだ。


「ホットミルクと一緒に食べたら、とてもおいしかったです」


 うっとりしながら話していたのだが、途中でハッとなる。


「すみません、お仕事をされていたのに」

「いや、いい。心配しながら帰りを待たれるよりは、チョコレートでも食べてどっしり構えておいてほしい」


 レヴィアタン侯爵夫人が言っていたとおり、心配して手つかずになるより、おおらかな気持ちで待ってくれるほうがいいようだ。


 そんな話をしているうちに、〝アイテムの森〟に行き着く。

 本人同様に、うさんくさい店構えである。

 営業中オープンの看板が下がっているようだが、お客さんの気配はなかった。


「どうします? なんだか入店したら、怪しい品物を買わされそうな気配がぷんぷんしていますが」

「そうだな、帰ろうか」


 なんて話していたら、うさんくさい店主が私達を逃がすまい、と出ていた。


「いらっしゃい! ああ、君らは昨日の!」


 撤退する前に見つかってしまった。

 なんて勘が鋭いのか。

 観念してお店の中を見せてもらうこととなった。


 店内は儀式に使われそうな怪しい人形や古い壺、理解できそうにない芸術を発揮している絵画に、木彫りの民族など、個性的な商品がぎっしり隙間なく陳列されていた。


「今日のオススメは――これ!!」


 店主がそう言って目の前に差しだしてきたのは、サーカスのペアチケットだった。


「じゃーん! 世にも珍しい、船上サーカスのチケットなんだ! しかもペア!」

「残念ながら、すでに所持している」

「がーーーーーーーん!!!!」


 基本的に私達は料金込み込み(オールインクルーシブ)で、サーカスや舞台などの興行を見る代金も含まれているのである。

 ただそれもほんの一部の乗客だけで、ほとんどの人達がお金を払って楽しんでいるのだろう。


「もしや君らは、一等船室の乗客なのかい?」

「想像に任せる」

「そ、そうか」


 なんでも店主は、借金の形にサーカスのチケットを受け取ったらしい。


「また借金の形か」

「そうなんだよ。私は金貸し屋さんだからね」

「商人ではないのか?」

「うん、そう」


 店内に並んである商品のほとんどは、借金の形に受け取った物ばかりだという。


「どうして金で回収しないんだ?」

「みんなお金を持っていないんだよおおお」


 この船に乗ったのも、借金を回収するためだったという。

 けれども皆、お金を持っていなかったようで、泣く泣く現物で返済してもらったという。


「ここのテナントも、借金の形なんだ。出店するとしたら、一日金貨十枚もいるらしいよ! 高いよね」


 さらに、私達の情報も借金の形だったらしい。


「常連さんだから、特別に教えるけどね!」

「いつ常連になったんだ」

「昨日、くまのぬいぐるみを買ってくれたじゃないか~」


 ちなみに、私達が初めての客だったという。


「どうしてかな~。ぜんぜんお客さんが寄りつかないんだよねえ」


 それはうさんくさいから、の一言だろう。

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