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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
七部・四章 新たな任務

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一夜明け

 お風呂はぶくぶくと泡が出るブローバスだった。

 勢いよく出てくる泡が、体を癒やしてくれるような気がした。

 レヴィアタン侯爵夫人の言うとおりお風呂に入ったら、心も体もずいぶん元気になったような気がする。

 本当に、何もせずにただただ心配だけするというのはよくないのだろう。


 さすがにパジャマパーティーは自粛し、レヴィアタン侯爵夫人と静かにホットミルクを飲む時間とした。

 二時間ほどで、ヴィルとレヴィアタン侯爵が戻ってくる。

 二人とも疲れた様子だった。


「特に怪しい部分はなかったが、国内で怪しいと疑っている人物が数名出入りしているのを確認できた」


 要注意人物らとツィルド伯爵の関係は把握していなかったものの、この船に乗っているということは、何かしらの繋がりがあるのだろう。

 その情報を得ることができただけでも、潜入調査に乗り出したかいはあったようだ。


 あとはゆっくりお風呂に浸かって、朝まで眠ってほしい。

 そんな言葉と共にヴィルやレヴィアタン侯爵と別れる。


「やっと眠れますね」

「はい」


 この心配する状態が数日と続けば、精神が保たないだろう。

 戦場からの帰りを待っていたレヴィアタン侯爵夫人のことを、改めて偉大だと思ったのだった。


 ◇◇◇


 翌日――ラウンジでヴィルと一緒に朝食を囲む。

 焼きたてのパンにふわふわのオムレツ、ソーセージ、サラダにスープ、十分過ぎるくらいのおいしい食事だった。

 食事が終わると、コンシェルジュがテーブルに船内新聞デイリー・プログラムを届けてくれる。

 こんな物まであるのか、とまじまじ見つめてしまった。


「本日の目玉は、サーカスの興行でございます。どうぞ、足を運ばれてくださいね」


 そんな説明をしたあと、コンシェルジュはいなくなる。


「サーカス!? 船内で?」

「珍しいな」


 船内新聞にチケットが挟まれていた。


「行ってみますか?」

「そうだな」


 それ以外のイベントについても、船内新聞に書かれているようだ。


「プール開きに、甲板アフタヌーンティー、教養講座に舞台、花火――今日は競売はないようですね」

「みたいだ」


 今日はレヴィアタン侯爵夫妻と別れて調査するという。

 私達はサーカスへ、レヴィアタン侯爵夫妻は舞台を見に行くようだ。


「ここまでいろいろあると、海上にある街みたいですね」

「これでも、規模は小さいようだが」


 乗員が二千人、三千人規模の豪華客船は、ひとつの都市のようになっているのだろうか。


「船旅はどうだ?」

「楽しいです!」


 そう言ったあと、楽しむことが目的の船旅ではなかったと思い出す。


「すみません」

「いや、いい。気に入ったのならば、また今度、船旅に出よう」

「はい!」


 サーカスまでまだまだ時間があるので、昨日出会った商人のお店〝アイテムの森〟に出かけようという話になった。 

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