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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
七部・三章 幻獣保護区でのひと騒動

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かき氷を食べよう!

「カキゴオリってなんだ?」

「削った氷にシロップをかけた氷菓よ」

「うわ、おいしそう!」


 たしか、ジェムにヤマモモのシロップを預けていたはず。それをかけて食べたらおいしいだろう。

 すぐ近くに殺菌作用のある薬草があったので、それをコーンみたいにくるくる巻いて器代わりにする。

 雪を丸めて雪玉にするイメージを浮かべながら、呪文を再度唱えた。


「しんしん降る、雪よスノウ!」


 降ってきた雪玉を、葉っぱのコーンで受け止めた。それに、ヤマモモのシロップをたっぷりかける。


「はい、どうぞ」

「いいの?」

「ええ、召し上がれ」


 一口食べたエアが、瞳を輝かせながら「おいしい!!」と言ってくれる。

 その反応を見た他の人達も食べたいというので、人数分のかき氷を作った。

 スプーンがないのでこの形状にしてみたのだが、レナ殿下やエルノフィーレ殿下は、かぶりついて食べることに少し戸惑っている様子だった。

 そんな高貴なお二人に向けて小さな葉っぱと木の枝を使い、簡易スプーンを作ってみると、嬉しそうに受け取ってくれた。


「ミシャのかき氷を食べたら、体が涼しくなりました!」

「本当に! ミシャさんのおかげだ」


 アリーセやノアもお気に召したようで、何よりである。

 すっかり元気を取り戻したので、進行を再開しなければ。

 さあ出発だ、と立ち上がろうとした瞬間、レナ殿下が「待て!」と声をかける。

 唇に人差し指を当て、喋らないように指示を出した。

 いったいどうしたのか、と思ったものの、エルノフィーレ殿下が指差す方向を見てギョッとした。

 短剣を手にした男が、少し離れた場所を通過していったのだ。

 ボロボロの服を着ていて、痩せ細っており、目つきがギョロッとしている。

 何かを探すように、辺りをキョロキョロと見回していた。

 幻獣保護区の職員にはとても見えない。

 どくん、どくんと胸が嫌な感じに脈打つ。

 しばらく息を潜めていると、男はいなくなった。


「さっきエアが感じた視線って、あの人のものだったのかも」

「そうかもしれない」


 一応、レナ殿下に報告していたものの、エアは気のせいかもしれないと重ねて言っていたのだ。


「あのとき、もっと詳しく報告していたら……」

「いや、事前に聞いていたおかげで、警戒していたのだ」


 すぐにホイップ先生に報告しよう。

 そう思って辺りを見回す。


「あれ?」


 妖精の姿がどこにもない。


「休憩前には傍にいたのですが」


 エルノフィーレ殿下がしっかり確認していたという。


「もしかしてここに座ってから、私達の姿や気配が消えたと思って、はぐれたと勘違いした?」 

「その可能性が高い」


 妖精もしっかりレジャーシートの中に入っているものだと勘違いしていた。

 まさか、気配及び姿消しの魔法がこのような結果を招くとは……。


「宿泊施設に行って、先生に報告したほうがいい」


 他の生徒にも危険が及ぶ可能性があるのだ。

 急いでホイップ先生から貰った魔法巻物を取りだしたのだが、目にした瞬間ギョッとする。


「え、何これ……!?」


 魔法巻物に書かれた呪文が、湿気で滲んでいたのだ。

 これでは転移魔法は使えない。

 どうしたものか、と天を仰いでしまった。

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