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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
七部・二章 ついに始まる新学期!

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ホイップ先生の授業

 幻獣保護区への行者遠足を意識した授業は続く。

 次はホイップ先生が教える、幻獣保護区に自生する植物についての授業だった。


「うふふ、こうして皆の前で授業をするのは、なんだか不思議な気分ねえ」


 担任として毎日ホームルームをしていたものの、こうして授業をする姿は新鮮だ。

 ホイップ先生も同様に思っているのだろう。


「幻獣保護区に行くのよねえ。あそこはいいわよ~」


 ホイップ先生は久しぶりにクラスを受け持ったようだが、その理由の一つが幻獣保護区に行けるからだったという。


「幻獣保護区はねえ、本当に関係者しか立ち入りが許可されていないのよお」


 今後、二度と行けないかもしれない。そのため、目にするものすべてを記憶しておくように、とホイップ先生は話してくれた。


「まず、あなた達に教えたいのは、幻獣は知性があって、大人しい生き物だとはいえ、安全であるとは限らない、ということなのよ~」


 幻獣の健康状態、機嫌によっては牙を剥く可能性もある、ということ。

 歴史上、幻獣が人を襲った記録はないようだが、だからといって安心はできないという。


「人間も同じでしょう~? お腹がすご~く痛い日に、周囲をうろつかれてうるさくされたら、優しくできないでしょう~?」


 ホイップ先生の言うとおりである。

 いかなるときも、幻獣を刺激しないように、静かに滞在しないといけない。


「もしも幻獣を怒らせてしまったら~? というときのために、教えたい薬草があるのよ~」


 それは〝またたび薬草〟と呼ばれるもので、幻獣が嗅ぐと酩酊状態になるという。


「これが実物よお」


 ホイップ先生はまたたび薬草の束をみんなに配って回った。

 そういえば先月、ガーデン・プラントで種まきをして育てたな、と思い出す。この授業で使うために栽培していたようだ。

 昨晩、チンチラ達がせっせと刈り取っていたのも、これだったのだろう。


「配ったまたたび薬草は、しばって風通しのいい場所で乾燥させておくのよお」


 行者遠足の日に持っていけば、幻獣とのトラブルのさいに使えるという。


「幻獣保護区内にもまたたび薬草があるから、忘れてしまったときは見つけ次第摘んでおくといいわ~」


 ひとまずまたたび薬草を紐で縛り、鞄に結んでぶら下げておこう。


「続いては、幻獣保護区にある危険な植物について説明するわねえ」


 ホイップ先生は嬉々とした様子で、毒草について語り始める。


「幻獣保護区でもっとも多く見られるのは、触れるだけで重度の火傷を負う火炎キノコねえ。これは見た目が真っ赤で、明らかに危ないとわかるものなんだけれど~」


 火属性の幻獣の食料なので、豊富に自生しているという。


「他には、目に見えない無数の毒針がある針山草とか、触れたら毒の粉をまき散らす煙草とか、毒虫が集まる毒臭花とか、本当にいろいろあるのよお」


 見ず知らずの植物には近づかない、触れない。

 それが大事だという。

 ホイップ先生の授業はどれも為になりそうだ。


 ◇◇◇


 一日の授業を終え、帰ろうかと廊下を見たら廊下が騒がしいことに気付く。

 誰かやってきたのかと視線を向けてみると、その先にヴィルがいた。

 どうやら私を迎えにきてくれたらしい。

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