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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
七部・二章 ついに始まる新学期!

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攻撃魔法

 床には短距離走のコースみたいなラインと、呪文が刻まれている。

 放った攻撃魔法が他の生徒に飛んでいかないような、障壁の役割をこなす魔法だとか。

 本当に、よく考えられている部屋だ、としみじみ思ってしまった。

 杖を取りだすと、エアが反応する。


「おお! ミシャ、杖、新しくなっているじゃん!」

「あ、そうなの! スノー・ホワイトって言ってね」


 杖を握ったからか雪の精霊達が私の周囲に出現し、ふわふわ漂いながらエアに話しかけてくる。


『かわいいでしょう~?』

『自慢の品なんだ』

『世界でただ一本だけなんだよ!』


 雪の精霊を見たエアはギョッとしていた。


「な、なんだ、その綿雪みたいなのは!?」

「雪の精霊なの」


 私がスノー・ホワイトを持っているときのみ、私を含めて周囲の人達に目視できるようになるようだ。


「へーー、雪の精霊って、こんななんだ! かわいいな!」


 エアにかわいいと言われ、雪の精霊達はてれてれと照れながらも、嬉しそうだった。


「これからもミシャのこと、よろしくな!」

『もちろん、王様!』

『うんうん、王様のお願いは絶対!』

『王様、かしこまり~』

「え?」


 エアが驚いた顔で私を見つめる。


「えーっと、ほら! エア、みんな、攻撃魔法を試してみましょう!」

「ああ、そうだな」


 きっと雪の精霊達には、エアが正統な王位継承者であるとわかっていたのだろう。

 しかしながら、本人に向かって言わなくてもいいのに。


「エア、落ち着いてからやりましょうね」

「ああ、わかってる」


 気持ちの乱れが、魔法の乱れに繋がるのだ。

 雪の精霊達には大人しくするように言ってから、攻撃魔法の練習を行う。

 魔力を紡いで、矢を弓に番えるようなイメージを作り――。


「衝撃よ走れ、エナジー・アロー!」


 スノー・ホワイトの先端から、雪を固めて作ったような矢が突き出し、まっすぐ飛んで行く。

 壁に書かれたターゲットの真ん中に当たっただけでなく、壁にヒビが入った。


「え!?」

「ミシャ、すごいな!!」


 他のクラスメイトはターゲットに届かず、途中で落ちる者がほとんどだった。

 リオール先生が皆に攻撃魔法の中止を呼びかけながら、血相を変えて駆けてくる。


「リチュオル、大丈夫か!?」

「はい、この通り、なんともありません」


 びっくりした。

 雪属性を付与したつもりなんてないのに、勝手に雪の矢が放たれたから。


「すみません、壁にヒビが入ってしまいました」

「信じられん。あの壁は絶対に破損しないよう、強力な防御魔法をかけてあるというのに」


 なんでも稀に、壁を破損してしまう生徒がいるらしい。


「このようなことは、ヴィルフリート・フォン・リンデンブルク以来だ」


 まさかヴィルも同じように壁を壊していたとは。


「気にすることはない。制御もできているようだし、属性が付与されるのは稀にあることだ」


 ただ練習はこれで終了し、見学しているようにと言われてしまった。 

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