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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
七部・二章 ついに始まる新学期!

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ヴィルと夕食を

 ヴィルが作ってくれたのは、グレイビーソースで挽き肉と野菜をじっくり煮込んだミートパイ。


「このような手が込んだ料理を、よく作れましたね」

「パイ生地は料理人が作ったものだし、煮込むさいの火の番もしてもらっていたから、まあ私が作ったと言えるのは半分くらいだな」

「いえいえ、十分作ったと言える一品ですよ!」


 野菜スープも作ってきたようで、どでかい水筒からカップに注ぐ。

 ミートパイも切り分けてくれた。


「食べようか」

「はい!」


 ミートパイの表面はパイ生地ではなく、マッシュポテトを絞ってチーズを振りかけたものだった。

 パイ生地のサクサクッとした食感と、グレイビーソース味の詰め物フィリングの組み合わせが最高で、マッシュポテトとチーズがさらに味わいを濃厚にしてくれる。


「すっごくおいしいです!」

「よかった」


 野菜スープも優しい味わいで、疲れた体に染み入るようだった。

 最高の夕食をあっという間に平らげた。

 食事のあとは、ヴィルが勉強を少しだけ教えてくれた。

 昨晩はよく眠っていないというのに、平気だと言って時間を割いてくれたのだ。


「今日はいろいろとありがとうございました」

「私は礼を言われるようなことなどしていないが」

「今日一日を、よーく振り返ってみてください」


 いまいち納得しない様子だったが、早く帰ってゆっくり休むように促す。


「明日からジルヴィード・フォン・サーベルトの調査に取りかかるので、学校には登校しない」

「承知しました!」

「万が一、何かあったときは私を呼んでほしい」


 ジェムには緊急時以外、ヴィルを呼ばないように言っておかなくては、と心の中で思う。


「では、また」

「はい!」


 ヴィルと別れ、私はお風呂に入り、ぐっすり眠ったのだった。


 ◇◇◇


 一ヶ月ぶりの授業である。私はこの日を待っていた。

 総合魔法の授業では、行者遠足に向けての魔法をいくつか習うらしい。

 これまでの座学の先生とは異なる、初めて担当する先生がやってきた。


「はじめまして、私はデル・リオール。今日から行者遠足が始まるまで、みなさんにさまざまな魔法を習得していただきます」


 五十代半ばくらいの、少し神経質そうでくたびれた印象がある先生である。


 行者遠足で向かう先は、幻獣保護区。

 そこは区画全体が結界で守られていて、魔物などが近づけないようになっている。

 けれどもごく稀に、密猟者や魔物が侵入してしまうことがあるようだ。

 これまで魔法学校の生徒が遭遇したことなどないようだが、念には念を入れて、攻撃魔法や防御魔法を習うという。


「今年は春のホリデーが一ヶ月ありましたので、行者遠足まで期間がありません。急いで習得していただきます」


 幻獣保護区へ行くには予約が必要だという。

 なんでも幻獣達の発情期や出産、子育て期を除いた比較的大人しい時期にのみ、立ち入ることが許されているようだ。

 そんなわけで、行者遠足の日程をずらすわけにはいかないので、私達は集中的に攻撃魔法と防御魔法を習得しなければならないようだ。


 この授業は教室ではなく、魔法実験室で行われる。

 外にあるドーム状の建物で、足下に刻まれている防御の魔法陣の上にいたら、いかなる魔法からも守ってくれるようだ。

 また魔法が暴走しても、外部に影響がないような造りらしい。


「では、見本をお見せしましょう」


 ターゲットとなるのは立派な丸太。

 皆、防御の魔法陣に入って、ドキドキしながら見守る。

 リオール先生は杖を取りだし、呪文を唱えた。


「衝撃よ走れ、エナジー・アロー!」


 杖から矢のようなものが生まれ、丸太のほうへまっすぐ飛んで行く。

 見事命中し、丸太は散り散りになった。


「大事なのは、魔力を練って矢を作り、弓の弦に番えて放つイメージを作ること」


 壁に向かって練習することとなった。 

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