ヴィルとランチ
ひと品目は春野菜をふんだんに使った料理。
採れたて新鮮なアスパラガスにタマネギ、ジャガイモ、ソラマメをバターで炒め、溶き卵と牛乳を混ぜたものに塩コショウで味付けする。
それらを混ぜ、砕いたクラッカーに溶かしバターを加えて作ったタルト台に流し込み、窯で焼いたら、春野菜のキッシュの完成だ。
二品目はスープ。
水煮にしていたヒヨコ豆とジャガイモ、トマト、タマネギ、月桂樹、タイム、水を鍋に入れてしばし煮込む。
具材に火が通ってきたら、めん棒でぐいぐいと押しつぶしておく。
ボウルに牛乳、パン粉、おろしニンニク、アーモンドパウダー、塩コショウを入れて、捏ねるようによーく混ぜる。
それを鍋に入れ、クミン、パプリカパウダーで味付けをする。
塩コショウで味を調えたら、ヒヨコ豆のスープができあがった。
メインは魚。
今が旬、新鮮なニシンを使う。
一口大にカットしたニシンは酒で臭みを消しておく。
小麦粉に刻んだ乾燥薬草を入れ、炭酸水を加えて揚げ物に使うバッター液を作る。
炭酸水を使うと、カリッと仕上がるのだ。
バッター液にニシンを潜らせ、油で揚げる。
ニシンのフリットの完成だ。
ベーグルは蜂蜜とサワークリームの甘い系に、ニンジンラペとハムを挟んだしょっぱい系の二種類を作ってみた。
除草作業をしていたヴィルに声をかける。
「食事ができましたよ」
ヴィルは立ち上がり、わかったとばかりに手を振る。
モモンガ達に借りたのか、エプロンをかけた姿だった。
手を洗って戻ってきたヴィルは、作った料理を見ておいしそうだと言ってくれた。
「いただきましょう」
「そうだな」
食前の祈りを捧げ、いただく。
まずはベーグルから。蜂蜜とサワークリームのサンドを頬張った。
ベーグルの生地はもちもち。甘い蜂蜜とほんのり酸味のあるサワークリームの相性は抜群である。
口の中が甘くなったあとは、しょっぱいスープを飲むのが大正義だ。
パン粉を入れてもったり仕上がったヒヨコ豆のスープは、食べ応えがある。
ヴィルも気に入ってくれたようだ。
「久しぶりにこうしてゆっくりミシャの食事を取ることができた」
「言われてみればそうですね」
事件に追われ、ゆっくり料理を作る暇もなければ、こうしてヴィルと一緒に食卓を囲む時間さえなかったのだ。
「夜は私がミシャのために料理を作ってもいいだろうか?」
「忙しいのでは?」
「料理を作るくらいはできる」
やはり忙しいのではないか。
無理しなくてもいいと言うも、ヴィルは首を横に振って否定した。
「ミシャに料理を作ることは私の趣味だ。趣味に割く時間くらい、作ってみせよう」
そんなわけで、夜にもヴィルはやってくるらしい。
ならば私はデザートくらい用意しておこう。
その後、ヴィルと別れたあとはガーデン・プラントの薬草の手入れを行い、明日から授業が始まるので予習に励む。
夕方からはライチのムースを作って、ヴィルがやってくる夜を待つ。
ヴィルは宣言していたとおり、立派なミートパイを持って、やってきた。




