謝罪
まだちらほら下校している生徒がいるので、静かな場所へ移動しようと提案してくる。
ならばガーデン・プラントに行こうという話になり、そのまま帰宅することとなった。
校内を歩いていると、リスやハリネズミなどの魔法生物がわらわらやってくる。
皆、久しぶりにヴィルに会えて嬉しそうだ。
魔王騒動があったのに、逃げださずに残っていたようで、皆偉いなと思う。
ヴィルも一匹一匹に声をかけ、その勇気を労っていた。
ガーデン・プラントに到着して早々、私はヴィルに謝罪する。
「朝の件につきまして、大変失礼しました!」
「どうせ、ジェムが私を召喚する魔法巻物を出してきて、うっかり破いてしまったんだろうが」
「よくお見通しで」
なんでもジェムが私の背後で、破れた魔法巻物をヴィルにアピールするかのように掲げていたらしい。
「教師陣に感謝された」
「それはそれは……」
校内の修繕が終わり、学校が再開となったわけだが、中には魔王騒動の事件を引きずっている生徒もいたという。
新学期だというのにどこか暗い雰囲気が漂っていて、教師陣はどうしたものか、と心配していたようだ。
それが、ヴィルの登場によって払拭された。
皆、馬術大会の最優秀生徒となったヴィルの登場に歓喜し、その場がパッと明るくなったのだ。
「もともと今日は始業式が終わったあと、登校するつもりだったのだが」
ヴィルは仮面舞踏会が終わったあとも王城に行き、報告書を作成して提出していたという。
就寝したのは夜明け前だったようだ。
「本当に、ご迷惑をおかけしました」
「気にするな。いつでも呼んでいいと言って渡したアイテムだからな」
今回の件で、恩恵も大量に入ってきたらしい。
「何か好きなものを願うように言われたから、この学校を卒業したあとも、校内に自由に出入りできる許可証を作ってもらった」
卒業生といえど、許可なく入れないようになっているらしい。
「これで卒業後も、いつでもミシャに会える」
「光栄です」
毎日お弁当を作るから、と言われてギョッとする。
「いえいえ、お弁当を用意するのは私のほうですよ!?」
「なぜ?」
「だってヴィルは働いている立場ですし!」
「ミシャだって、魔法を学んでいる立場ではないか」
私に料理を作ることは趣味なので、気にしないようにと言われた。
「気にしますよ……」
「何か言ったか?」
「いいえ」
そろそろお昼だろう。ベーグルの残りがあるので、それと何か料理を作ろう。
「昼食を用意しますので、少しお待ちいただけますか?」
「ならば、除草作業でもして暇を潰そう」
「ああ……」
そんなこと、なさらなくてもいいのに。
しかしながら私が止めて、言うことを聞くお方でもない。
もう、隙にさせておく。
チンチラ達が興味津々とばかりに、ヴィルのもとに集まってくる。
ヴィルが除草作業をすると宣言すると、チンチラのリーダー格が草がたくさん生えている場所があると言って案内し始めた。
ヴィルがガーデン・プラントの除草作業をしている間、私は昼食作りを開始する。




