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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
七部・二章 ついに始まる新学期!

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ホームルーム

 馬術大会の最優秀生徒であるヴィルには、蹄鉄ていてつ型の記念品が贈られた。

 ヴィルは無表情で全校生徒を振り返り、蹄鉄を見せてくれる。

 ワッ!! と本日一番の歓声が上がった。

 ヴィルはまっすぐこちらを見ているが、私はひたすら頭を下げるばかりだった。

 その後、始業式は終了となる。

 ヴィルから苦情を受けるかもしれないと思ったが、早々に先生達に囲まれていた。

 謝罪はあとでしよう。

 教室に戻ると、エルノフィーレ殿下と目が合った。

 手招きされたので、何か話したいことがあるのだろう。そう思って近づく。


「〝彼〟は見つかりましたか?」

「いいえ」

「そうでしたか」


 前回、エルノフィーレ殿下と面会した日から、王宮にも戻っていないという。

 

「いい加減、国に帰るように言っていたのですが」


 そんな話をしていると、ホイップ先生がやってくる。ホームルームが始まった。


「みんな~、元気だったかしら~?」


 ホイップ先生は王宮から秘密の呼び出しを受けたり、校内の修繕作業を手伝わされたり、と大変なホリデーだったらしい。


 秘密の呼び出しというのは、黒い宝石についてだろう。

 ハイエルフであるホイップ先生ですらお手上げだったという話だ。

 早くジルヴィードが見つかればいいのだが……。

 彼に頼らないと黒い宝石が解析できないというのも、なんだか腑に落ちない。

 国内に宝石魔法の絶対的な権威がいないので、仕方がない話なのだが。


「無駄話はこれくらいにして、帰りましょう~。さようなら~~」


 今日は始業式のみで、授業は明日からだという。

 クラスメイト達が次々と帰宅する中、私はいつものように壁に張り付いていたジェムを剥がしてヴィルのもとへ急ごうとしたが、ホイップ先生に引き留められる。


「少しいいかしら~?」

「はい」


 誰もいなくなったのを見計らったホイップ先生は、結界のようなものを張り巡らす。

 盗み聞き防止らしい。


「ホイップ先生、どうかしたのですか?」

「あなた達がジルヴィード・フォン・サーベルトを探していると聞いて、どうだったか聞きたくて~」

「その、残念ながら見つけられませんでした」

「まあ、そうだったのねえ」


 ホイップ先生も黒い宝石の解析に協力している関係で、調査の進捗が届いているようだ。


「しかし、彼以外に解析できそうな人がいないというのが不思議です」

「まあ、宝石魔法はルームーン国発祥だから、その辺は仕方がないのよねえ」

「そうなんですか!?」

「あら、知らなかったの~?」

「はい」


 宝石魔法を使うには高価な鉱物が必要になるので、誰も習得したがらないのだと思っていた。


「ということは、黒い宝石に魔法を封じたのは、ルームーン国の魔法使いだった、というわけなのでしょうか?」

「うーーん、それはどうかしら~?」


 世界各国に魔王から救った勇者の伝承があるようで、どこの誰だったか、というのはわかっていないらしい。


「もしも発見できたら、私にも教えてねえ~」

「はい、わかりました」


 話はこれで終わったようで、ホイップ先生は結界を解除する。


「あら~? あなたの婚約者が、廊下でお待ちよお」

「なっ、ヴィル先輩!?」


 ヴィルが廊下で腕組みし、目をキリリと釣り上げた状態で立っていた。

 私よりも先に、ホイップ先生が話しかける。


「ごめんなさいねえ、内緒話をしたくって」

「ジルヴィード・フォン・サーベルトについてか?」

「ご名答~!」


 ホイップ先生は「ケンカしないのよお~」という言葉を残して去って行った。

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