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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
七部・二章 ついに始まる新学期!

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始業式

 レナ殿下と登校し、教室に向かう。

 まず私達に気付いたのはノアだった。


「おはようございます、レナ様! ミシャさん!」

「ノア、おはよう」

「おはよう、ノアさん」


 レナ殿下に会えたのが嬉しいようで、輝かんばかりの笑みを浮かべていた。

 お似合いのカップルだな、と思いつつ、彼らと別れる。


「ようミシャ、おはよう!」

「おはよう、エア」


 エアは今日も元気いっぱいだ。


「この前のパジャマパーティー、楽しかったな!」

「ええ、本当に」

「またどこかでしたい」

「もちろん」


 今度はミュラー男爵の屋敷でどうか、と提案してくれた。


「パジャマパーティーの話をしたらさ、今度はおじさんの屋敷でやってもいいって言ってくれたんだ。もちろん、いろいろ解決してからだろうけれど」

「そう、ね」


 ミュラー男爵は立派なお屋敷から拠点を別に移している。

 エアも安全が確保されるまで、ホリデーの期間中はリンデンブルク大公家の別邸に身を寄せるようだ。


「ミシャ達が帰ったあとも、ノアと魔導カードで盛り上がってさー。楽しかった」

「そう、よかった」


 今日も朝から話していたら、ノアがいなくなったあと、クラスメイトに「どうしてお前は女子生徒とばかり仲よくなれるんだ?」なんて真顔で聞かれたらしい。


「なんて答えたの?」

「全部ミシャ繋がりの友達だって言っておいた」


 間違いではないが……。

 先ほどから男子達がこちらをチラチラ見ているのは、自分も女友達を紹介してもらいたい、なんて思っているのか。

 残念ながら、女友達の斡旋などしていないので、諦めてほしい。


 そんな話をしていると、アリーセもやってきた。


「二人とも、おはようございます」

「アリーセ、おはよう」

「おう、おはよう!」


 アリーセもパジャマパーティーが楽しかった、という話をし始める。


「ホリデー中は園遊会ガーデンパーティーやお茶会などもありましたのに、パジャマパーティーがもっとも楽しい思い出になりました」


 そういうふうに言ってくれると、誘ってよかったと思う。


「今度はわたくしの実家でもやりましょう」

「続々と会場が決まっていくわ」

「他にもありますの?」

「ええ、エアのおじさんのお屋敷も、提供してくれるそうよ」

「まあ!」


 アリーセはホリデーの恒例行事にしよう、なんて提案してくれた。

 教室の雰囲気は思っていたよりも明るい。

 けれども皆、楽しかったホリデーについて盛り上がっているようで、馬術大会の日に起こった事件について話していないように思えた。

 口にするのも恐ろしい事件だったので、皆話題に出すのを避けているのだろう。 


 そろそろ始業式の時間なので、講堂に向かう。

 全校生徒が揃って、さらに先生に理事長であるリンデンブルク大公が揃っている様子を見ると、学校が始まったんだな、としみじみ実感する。

 校長先生は馬術大会の騒動について語り、馬術大会が中止になったことを詫びていた。

 年間行事は密に入っていて、別日に改めて開催することは難しいという。


「そんなわけで、教師陣や保護者会で話し合い、馬術大会の〝最優秀生徒〟を選出することになりました」


 馬術大会は最後までできていないので、優勝を決めることはできない。

 その代わりに、練習期間からの振る舞いや、当日の成績などを総合的に判断して、最優秀生徒を決めたようだ。


 いったい誰が選ばれるのか。ドキドキしながら待つ。


「栄えある最優秀生徒は――ヴィルフリート・フォン・リンデンブルク君!!」


 わーーーっと歓声が上がったものの、ヴィルは始業式に参加していないらしい。


「なんだ、リンデンブルク監督生長、いないのかよ」


 エアはがっかりした様子で言った。

 せっかく選ばれたのに、その本人がいないというのはいささか寂しい。

 なんて考えていたら、足下で眠っていたジェムが突然目の前に魔法巻物スクロールを差しだしてくる。


「こ、これは……」


 ヴィルを召喚できる魔法巻物スクロールだった。

 受け取ったときに、魔法巻物がびり、と破けてしまった。

 ヴィルを呼び寄せる召喚魔法が発動してしまう。

 奇しくも、ヴィルは校長先生の前に転移してきたようだ。

 学校に登校する気持ちはあったのか、制服姿だった。

 ただ監督生長のローブは着ていない。そんな姿が新鮮だった。

 校長先生はヴィルの登場に、パッと表情を明るくする。


「ああ、ちょうどよかった! ヴィルフリート君、君が馬術大会の最優秀生徒に輝いたんだよ!」

「……」


 ヴィルは私を振り返り、恨みがましいような視線を投げつけてくる。

 ごめんなさい! と心の中で謝罪した。

 ヴィルには悪いことをしたが、生徒達はヴィルの登場に拍手喝采、大喜びだった。

 騒動について話を聞き、暗くなっていた講堂の空気が一気に明るくなる。

 さすがヴィルだ、と思ったのだった。

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