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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
六部・四章 叔父を捕まえろ!

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尋問

 いくら声をかけても叔父は起きない。

 だめだったか、と諦めた次の瞬間、ヴィルがまさかの行動に出る。

 金属の扉を拳で叩いたのだ。

 ギョッとしたものの、その音で叔父もハッと肩を震わせて目を覚ます。


「うううん、あれ? ここは……」


 ヴィルが「ミシャ、今だ」と言ってくれたので、ぼんやりしている叔父に問いかける。


「叔父さん、レナハルト殿下を誘拐した理由について教えて」

「ああん? レナハルト、殿下……ああ、うーーん、んん?」


 呂律ろれつが回っていない。しっかりしてくれと怒りたくなる。


「そう!! 叔父さん、下町で王太子殿下がどうとか話していたでしょう!?」

「ああ……。〝あ、あれは、スペアの王太子を、探すように、言われて……〟」

「スペアの王太子ですって!?」

「〝ああ……〟」


 予備の王太子という指示で、どうして正真正銘本物の王太子であるレナ殿下を誘拐してきたのか。


「いったいどうして……?」

「〝あの王太子は……女だった……〟」


 まさかレナ殿下の性別に気付いていたなんて。


「どうして性別が女だと思ったの?」

「〝匂い……。女の、匂いがした……〟」


 叔父さんは犬か!! と言いたくなる。

 そんな理由でレナ殿下の性別がバレるなんてありえないだろう。


「そもそもどうやって誘拐してきたの? おじさんが王宮に忍び込むことができたとは思えないんだけれど」

「〝王太子殿下の視察の日に……偽物と、すり替えた……〟」

「なっ!?」


 レナ殿下を守る騎士達は、護衛対象が取り替えられたことに気付かないままだったようだ。視察終了後、きっと偽物を王宮へ連れ帰ったのだろう。

 騎士隊が事件をもみ消そうとしていた理由に納得してしまう。

 これが世間にバレたら、騎士隊の信頼問題に繋がるだろうから。


「それも、ツィルド伯爵の指示?」

「〝ああ、そう……〟」


 いったいなぜ、ツィルド伯爵はレナ殿下を誘拐させようとしたのか。

 まだまだいろいろ聞き出したかったのに、叔父はその場に崩れ落ちるようにして眠ってしまった。

 ガーガーと寝息を立て始めたので、ちょっとやそっとでは目覚めないだろう。


「今日のところはこれくらいにしておきましょう」


 叔父はしばらくここに監禁しておくという。

 絶対に逃げられない構造になっているようで、安心するようにとミュラー男爵は話していた。


 上のレストランでしばし休憩する。

 香り高い紅茶を飲んだものの、心が落ち着くことはなかった。


「今回の騒動に関しては、ツィルド伯爵が諸悪の根源と言っても過言ではないでしょう」


 叔父は報酬に目が眩み、あれやこれやと犯罪行為に手を染めていたようだ。

 呆れて言葉もでない。


 わからないのはレナ殿下誘拐の件である。

 ここでずっと考えるような仕草を取っていたヴィルが、推測を口にした。


「王太子のスペアというのは、エアのことではないのか?」


 それを聞いてハッとなる。


「レナ殿下の双子の片割れであり、正当な王位継承者であるエアの存在を嗅ぎつけたツィルド伯爵が、なんらかの悪事に利用するために探していた、ということなのでしょうか?」

「おそらく」


 話を聞いていたミュラー男爵の表情が怒り一色となる。


「もしやエアさんを手中に収めて、摂政の座に納まるつもりだったのでは?」


 その可能性は多いにある。

 けれどもヴィルは引っかかった点があったらしい。


「スペアの王太子、という表現が引っかかる」


 もしもツィルド伯爵が国の乗っ取りを目論んでいたら、スペアではなく本物の王太子だと言うはずだ、と。


「たしかに、そうかもしれません」

「別の目的があるのでしょうか?」


 まだまだわからないことばかりであった。

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