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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
六部・三章 思惑渦巻く

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騎士隊へ②

 連絡もなしに巨大な竜が騎士隊にやってきたので、混乱状態になっているようだ。

 ただ、竜車の車体にリンデンブルク大公家の家紋入りの旗がかけらえているため、攻撃されることはない。

 訓練などを行う広場に着地すると、慌てて駆けつけたであろう隊長格と思われる騎士がやってきた。


 他の騎士達も集まり、広場は騒然としている。

 そんな中、リンデンブルク大公が紅竜の背中から華麗に下り立ち、レヴィアタン侯爵も続く。

 大物二人の登場に、騎士達の顔に緊張が走ったのがわかった。

 私達も下りるも、誰も注目などするわけもなく。

 それをジェムは不満に思ったのか、ミラーボールみたいな光を発する。

 途端に私の全身が奇跡のような七色の輝きを放った。


「ちょっと、ジェム、恥ずかしいからやめて!!」


 目論み通り一部の騎士達の注目を集めることに成功したものの、「なんだあの娘は?」という声しか聞こえなかった。

 七色に輝いても、リンデンブルク大公とレヴィアタン侯爵のご威光には勝てないらしい。

 そんなことはさておいて。

 リンデンブルク大公はごくごく冷静に隊長格の騎士に問いかける。


「ミュラー男爵を拘束したというが、それについて詳しく話を聞きたい」

「それはその、私は詳しくなく……」

「ならば早く、対応した者を呼ぶのだ」

「は、はひいいいい!!」


 リンデンブルク大公の背後でレヴィアタン侯爵が腕組みし、目を光らせているのも効果があったのか、すぐに別室へと案内され、茶菓子が運ばれてくる。

 怪しいので口を付けないようにヴィルから言われた。


「もしもおいしい茶菓子が食べたいのであれば、あとで連れていってやるから」

「いえ、その、大丈夫です」


 おいしそうな物に見境がないと思われているのだろうか。

 疑惑の騎士隊で、のんきに茶菓子を食べるほどお気楽な性格はしていないのだが。


 一刻も早くミュラー男爵を釈放させて帰りたい。

 そう思っていたところに、昨日、ミュラー男爵を名乗る男を拘束した騎士隊の隊長がやってきた。

 年頃は五十前後といったところか。白髪交じりの頭に、痩せ細った体という、騎士よりも文官といったほうが似合っている雰囲気の男性である。

 その騎士は手もみしながら入ってきた。


「いやはや、リンデンブルク大公が直々にいらっしゃったと聞きまして、急いで駆けつけてまいりました」


 その騎士は警邏けいら部隊の隊長、ケビン・アイナーと名乗った。


「貴殿の名などどうでもよい。報告書でもなんでもいいから、当時の状況についてわかるものを出せ」

「は、はあ」


 分厚い報告書を恭しくリンデンブルク大公の前に差しだす。

 速読できるのか、ぱらぱらと高速で捲っていった。

 読み終えると、そのままレヴィアタン侯爵へと手渡す。レヴィアタン侯爵は最初と最後のページだけ目を通したようで、呆れた様子でテーブルの上に置いていた。


「なぜ、身分も確認せずに昨日拘束した者をミュラー男爵と決めつけた? さらに、明らかに別人の見目をしている本物のミュラー男爵を捕まえたのか?」

「いえ、昨日、拘束に当たった騎士は間違いなくミュラー男爵だったと」

「それを証明するためには、昨日と今日、身分証の写しを取るべきだったのだ!」


 今日の報告書にも、ミュラー男爵の身分証についての記述はなかったという。

 これでは昨日拘束した者と、今日拘束したミュラー男爵が同一人物である証拠にはならない。


「このようなことがまかり通るのであれば、誰でも犯罪者に仕立て上げることができるだろうが!」

「そ、それは確かに、その通りでございます」


 ここでリンデンブルク大公が目撃者がいると言って私達を紹介した。


「そこの男は現場に居合わせ、偽物のミュラー男爵と会話した、ロルフ・ブールだ。そしてもう一人は、偽物のミュラー男爵を騙る男の身内である、ミシャ・フォン・リチュオルだ」


 これからミュラー男爵に会えば、偽物だと証明できる。


「ミュラー男爵を今すぐここへ連れてくるように。命令だ」


 リンデンブルク大公は騎士に向かって堂々と言ってくれた。

 

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