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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
六部・三章 思惑渦巻く

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想定外の事態へ

 叔父が捕まって一安心。なんて考えていたら、その翌日にとんでもない事態となる。

 朝からエアが訪問し、我が耳を疑うようなことを聞かされた。


「ミシャ、大変だ! おじさんが連れて行かれたんだ!」

「なんですって!?」


 違法薬物入りの葉巻の販売を斡旋していた罪で騎士隊に拘束されたという。


「どうして――!?」


 昨日、叔父がミュラー男爵を騙り、拘束されははずだ。

 それなのになぜ?


「おじさん、昨日一回捕まったみたいなんだけれど、逃げたみたいで……」


 騎士に捕まって逃げたのはミュラー男爵本人ではない、叔父だ。

 まさか騎士隊の拘束からの逃走に成功するなんて。

 悪運が強すぎる。


「俺、びっくりして。おじさんがそんなことするわけないって言っても、騎士の人達は誰も聞き入れてくれなくて……」


 ミュラー男爵が久しぶりに王都へ戻ってきたので、一緒に食事をし、屋敷に一泊した翌日の出来事だったという。

 エアは今にも泣きそうな表情を浮かべていた。

 そんな彼の手を握り、謝罪する。


「ごめんなさい!」

「ミシャ?」


 事実を言うべきか迷った。けれどもミュラー男爵を信じ、不安そうにしているエアを見て見ぬ振りなんてできなかった。


「実は、昨日、ミュラー男爵として捕まったのは、私の叔父なの」

「ミシャの叔父さん?」

「ええ」


 叔父の素行の悪さをエアに説明する。

 本当に恥ずかしい。リチュオル家の恥だと思う。

 叔父の罪は今回の件だけでなく、去年の受験シーズンにレナ殿下の誘拐にも加担していたのだ。

 その罪は問われず、叔父は野放し状態だった。

 父が騎士隊に問い合わせても、取り合ってもらえなかったのだ。

 もしかしたら騎士隊内に、内通者がいる可能性がある。

 酷いとしか言いようがない。


「本当にごめんなさい……」

「ミシャは悪くない。罪は犯した本人だけのものだから」

「エア……ありがとう」

「それよりも、おじさんがえん罪だってわかって安心した」


 エアの暗い表情が晴れたのでホッとする。

 けれどもこれからどうするのか、考えなければならない。


「今回の事情について、レヴィアタン侯爵に相談しようと思うの」

「うん……」


 私が騎士隊に行ってミュラー男爵の無罪を訴えても、聞き入れてもらえないかもしれない。

 だから身分が確かな味方が必要なのだ。


「エアもここにいたほうがいいわ」

「俺も?」

「ええ」


 もしかしたらミュラー男爵を普段からよく思っていない人がいて、今回の拘束に繋がった可能性がある。

 ミュラー男爵の弱みを握るために、エアも狙われるかもしれない。


「一緒に相談に行きましょう」

「ああ」


 レヴィアタン侯爵は私達の面会に応じ、相談に乗ってくれた。


「なんと、ミュラー男爵がそのような事態になっていたのか」

「はい……。叔父のせいで、厄介事に巻き込んでしまいました」

「ふうむ」


 レヴィアタン侯爵もエアはここにいたほうがいい、と勧めてくれた。

 エアは申し訳なさそうな顔をしたものの、遠慮をして無理に帰ったら、事態を大きくしてしまう可能性があることを理解していたようだ。


「少し、お世話になります」

「ああ! 我が家のように寛ぐとよい!」


 ひとまず、私が今できることはエアに寄り添うこと。

 レヴィアタン侯爵はこのあとヴィルを呼んでくれるという。どうやってミュラー男爵を助けるかが話し合われるのだろう。


 その後、朝食を一緒に食べ、少し課題をするとエアは疲れてしまったのか、仮眠を取るという。

 ミュラー男爵が連行されたのは太陽が昇る前だったらしく、寝不足だったのだろう。

 ゆっくり休むように声をかけ、エアと別れたところでヴィルの訪問が告げられた。

 

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