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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
六部・三章 思惑渦巻く

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意外な情報

 ギルドから少し離れた個室がある喫茶店にヴィルは案内する。

 そこで好きな物を頼んでほしいとヴィルは丁寧に言ったのだが、男性二人組は紅茶だけ頼んでいた。

 なんとも気まずい時間が流れる。

 男性二人組は二十歳半ばくらいだろうか。しかしながら二十歳に満たないヴィルの圧力に負け、萎縮しているように見えた。

 普段、国王陛下や上位貴族に接している男性ひとである。一般人からしたら、普通に過ごしているつもりでも、威圧的に感じてしまうのだろう。

 紅茶が運ばれたあと、本題へ移るようヴィルが促す。


「して、先ほど話していた噂話について、詳しく聞かせてほしい」


 男性達は目を合わせて頷いたあと、話し始める。


「ここ最近、怪しい商人が港街に出入りしているみたいで」

「それが奴隷商ではないか、って噂になっているんだ」


 人身売買は犯罪だ、国内でも固く禁じられている。

 けれども法の目を掻い潜り、それを生業としている者達がいるかもしれない。

 怪しい商人の目撃情報と、ここ最近多い誘拐事件と結びつける者も少なくないようだ。


「それでその商人っていうのが」

「おい、止めろよ」


 片方の男性が止めるも、すでに聞いてしまった。

 ヴィルの圧で聞き出すのかと思いきや、追加の金貨を手渡す。

 すると先ほど止めた男性のほうが話し始めた。


「港町で誘拐した人を捌いているのが、ミュラー商会のミュラー男爵って噂があって」

「もちろん、ただの噂で、実際に目にした人がいるわけではなくて」


 噂とはそうやってどこが出所かわからない状態で、広く知れ渡るものだ。

 火のない所に煙は立たない、なんて言葉もある。

 ミュラー男爵が何かしら、怪しい動きをしているのは間違いないだろう。


 彼らが知っている情報はすべて聞き出せた。

 ヴィルはさらに口止め料を払う。

 これはこれ以上噂を広げないでほしいというものと、私達が情報を嗅ぎ回っていることを言いふらさないように、という意味合いでもあるようだ。


「詳しく聞かせてくれて、感謝する」

「い、いえ」

「そ、それでは」


 男性二人組はそそくさと帰って行った。

 彼らの足音が消えてなくなると、ヴィルは盛大なため息を吐く。


「まさかここでミュラー男爵の名を聞くことになるとは」

「意外でした」


 彼は魔法使いを雇っている。もしかしたら、魔法で人々を誘拐し、他国に売り捌いている可能性が浮上した。


「正直、ミュラー男爵まで相手にしている場合ではないのだが」


 なんでもヴィルは個人的にミュラー男爵の調査に乗り出していたようだ。


「まだ完全に情報が集まっているわけではないが、彼はかなり危険な人物らしい」


 なんでも国が危険な海域だと指定する海賊と取引をしていたり、犯罪者を匿ったり――。


「さらにエア・バーレを守るためならば、命を失っても惜しくない。そんな話をしていたらしい」


 そんなミュラー男爵がなぜ、商人をしているのか。


「それについては、謎な部分も多い」


 ミュラー男爵の養子になったのも、その頃だったようだ。

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