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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
六部・二章 王都での調査

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レヴィアタン侯爵邸にてその③

「そもそもなぜ、ミシャ嬢はミュラー男爵からエア殿の母君について聞きたかったのだ?」


 エアの事情について、レヴィアタン侯爵に話す瞬間ときがやってきたようだ。

 始めはレヴィアタン侯爵が国王に近しい人間ということで、打ち明ける相手から却下された。

 けれどもヴィルを苦しめたミリオン礦石が騒動に絡んでいるかもしれないので、報告することに決めたのだ。


「実は――」


 ヴィルはエアについての情報を洗いざらい報告した。

 話が進むにつれて、レヴィアタン侯爵の表情が険しくなっていく。


「あの少年が……。そうか、道理で似ているわけだ」

「似ている?」

「ああ、エア殿は国王陛下の幼少期にそっくりなのだ」


 そういえばエアとレヴィアタン侯爵が初めて会ったときに、「友人の幼少期の顔立ちにそっくり」だなんて言っていた。

 まさかそことここが繋がっていたとは。


「しかし、エア殿の母君はルーナと言ったか」


 国王陛下には数名の公妾がいたようだが、ルーナという女性は存在しなかったという。

 公妾、と聞いてびっくりするものの、まあ、豊富な資産と強い権力を持つ男性にはそういった女性がいる。

 もちろんただただ侍らせているわけではなく、大きな商会の夫人であったり、情報通とされる舞台女優だったり、大貴族のご夫人だったり、政治的な意味合いで関係を結ぶ場合もあるのだ。

 国王陛下の公妾というのは、すべてそれに該当するのだろう。


「初めてエア殿に会ったあと、妻に話を聞いてみたのだが」


 レヴィアタン侯爵夫人は王妃殿下の元針子である。その当時は王妃殿下の侍女と言っても過言ではないくらい、傍に仕えていたという。

 けれどもエアが生まれたであろう頃、ルーナという女性が国王陛下の傍にいたという記憶は残っていなかったらしい。


「妻からも話を聞いたほうがよさそうだな」

「ああ、頼む」

「お願いします」


 久しぶりの再会となったレヴィアタン侯爵夫人は、私とヴィルを交互に抱きしめ、大歓迎してくれた。

 ただ、部屋の空気が重苦しかったからか、何かあったのだと察したようだ。


「何かありましたの?」

「ああ、少しな」

「あらあら……」


 レヴィアタン侯爵夫人から話を聞きたいというと、快く応じてくれた。


「以前、ルーナという女性について聞いたのを覚えているだろうか?」

「ええ、覚えていますわ」

「本当に、心覚えがなかったのだろうか?」

「うーーーーん」


 王妃殿下は隣国ルームーンから輿入れしてきた。

 そのさい、複数の侍女を国から連れてきていたという。


「ただ、その侍女達は王妃殿下から離れることはなく、外出も禁じられていました」


 通常、嫁ぎ先に祖国の侍女を連れて行くことは許されていない。

 けれども王妃殿下は持病があることから、看病に慣れた侍女を複数連れていたという。


「その方々は本当に徹底されていて、王妃殿下の部屋から一歩たりとも出ませんでした。夜は騎士の見張りがありましたので、抜け出して陛下のもとへ通う、というのも難しかったと思われます」


 ただ一人、レヴィアタン侯爵夫人はリーダー格の女性と話すことがあったという。


「キャロライン様は王妃殿下への忠誠心が特に強く、国王陛下と関係を結んでいたとは思えませんし」


 その名については以前、ジルヴィードから聞いていた。

 サーベルト大公の姪で――。

 ここでハッと気付く。

 ルーナというのはキャロラインの偽名ではないのか、と。

 ということは、エアこそがジルヴィードが探していたという従甥じゅうせいかもしれない。

 

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