表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
六部・二章 王都での調査

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

385/433

レヴィアタン侯爵邸にてその②

 次の瞬間、ヴィルは無言で立ち上がると、「ミュラー男爵、絶対に許さない……ミシャに何をしたんだ」とブツブツ言いながら出て行こうとしたので、慌ててレヴィアタン侯爵と一緒に引き止めた。


「ヴィル先輩、あの、話を最後まで聞いてください!」

「そうだ! 落ち着け!」


 私達の訴えで我に返ったヴィルは、大人しく着席してくれた。

 気まずい空気になっていたものの、レヴィアタン侯爵が話を促してくれた。


「ミシャ嬢はミュラー男爵と面会したのだな。そこで何があったのだ?」

「手紙の返信がなかったので、直接ミュラー男爵邸にいって、渡そうと思ったのですが」


 これが間違いだったのである。


「待ち伏せして、手紙を渡して帰るつもりが、冷たくあしらわれるように用件を聞かれまして」


 場合によっては二度と面会の機会がないかもしれない。

 そう判断し、慌ててミュラー男爵が話を聞かざるをえないような単語を出してしまったのだ。


「エアについて話したいと言っても聞き入れてもらえなかったので、エアの母親の形見を所持していると言ったところ、目の色が変わりまして……」


 屋敷で話を聞きたいと言われ、私はのこのこついていってしまったわけである。


「ミュラー男爵はエアだけでなく、エアの母親についても特別な想いを抱いていたようで」


 もしやエアの父親ではないのか、と思っていた時期もあったが、それは違った。エアは国王の血を引き継いでいたのだ。


「エアの母親の形見というのは、エアが私にお守りとして渡してくれた品で、それを見せるつもりが、別の品物――銀の首飾りをジェムが出してしまい」


 それを見たミュラー男爵が、エアの母親の形見で間違いないと認めたのである。


「銀の首飾りはラウライフでヴィル先輩が購入した品でして、隣国ルームーンで作られた品物だったんです」


 なぜ、それがエアの母親の形見として認められたのか、そんな話はさておき。


「銀の首飾りはエアに直接返すと言って、奪われそうになり」


 取り返そうとしたら、黒い蔓みたいなもので拘束されてしまった。


「ミュラー男爵は強盗に押し入られた関係で、護衛を連れていました。その護衛が、闇魔法だと思われる黒い蔓で私とジェムを拘束しました」


 その後、私は脅され、命の危機に瀕し、ジェムの協力の上、転移巻物を使って脱出した。


「そして、今に至るというわけです」


 顔を上げると、ヴィルとレヴィアタン侯爵が怖い顔で拳を握っていたので、ひい、と悲鳴を上げそうになる。


「ミュラー男爵、ミシャ嬢の命を狙うとは、絶対に許せない!!」

「今すぐ報復を――」

「待ってください!! ミュラー男爵を刺激しないほうがいいです、絶対に!!」


 ミュラー男爵に対して冷静に対処しなければ、大変なことになりそうだ。


「エアにも影響が及ぶかもしれませんし」


 その一言でヴィルとレヴィアタン侯爵は我に返ったようだ。


「エア・バーレはレヴィアタン侯爵邸で保護したほうがいいのではないのか?」

「そうだな。あの男の傍に置いていたら危険だ」

「いえ、保護したほうが大変な事態になるかと」


 喩えるならば、ミュラー男爵は子育て中の母熊である。

 エアに何かあったら、牙を剥き、この世の果てまで追いかけてくるに違いない。


「ミュラー男爵に対して、どう対処していいものか」

「下手に手出しをしないほうがよさそうだな」

「ええ」


 銀の首飾りは取り返してしまった。もしかしたら奪いにくるかもしれない。

 ミュラー男爵、恐ろしい! と思ったのは言うまでもない。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ