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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
六部・二章 王都での調査

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チンチラ達との夕食

「ホイップ先生、そういえば私、ガーデン・プラントにいても大丈夫なんですか?」

「ええ、問題ないわあ。ガーデン・プラントはあなたが故郷に帰っている間に調査したのよ~」


 幸いにも魔王の魔力汚染などの被害はなく、ここで過ごしても問題ないと太鼓判を押してもらった。


「長居してしまったわあ、ごめんなさいねえ」

「いえいえ」

「他の子達がここが落ち着くって話していた意味がわかったわ~」


 そのように言ってもらえると嬉しい。


「ホイップ先生がいらしたときは、お茶とお菓子を出しますので、いつでもどうぞ!」

「あらありがとう。でもあなた忙しいから、いないときのほうが多いのよねえ」

「そ、それは……」


 私に用事があって使い魔を飛ばすも、不在だったということが何度かあったらしい。

 申し訳なかった、と頭を下げる。


「ホリデーはまだまだ長いけれど、ここにばかりいないで、保護者のもとで過ごしなさいねえ。そのほうが安心だから~」

「ええ、その、手紙のやりとりがある程度終わりましたら、保護者のもとで過ごしたいと思います」

「お願いねえ」


 馬術大会の開催前に、レヴィアタン侯爵からホリデーにはいつからやってくるのか、と聞かれていたのだ。 もともと一週間しかなかったため、レヴィアタン侯爵のお宅にお邪魔する予定はなかったのだが、魔王騒動の影響で残りの休日がまだまだあるのだ。

 ラウライフの滞在中に、少しお世話になるかもしれない、というのは伝えている。

 筆マメなレヴィアタン侯爵はワイバーン便を使って、いつでも歓迎するという返信をラウライフまで送ってくれたのだ。

 そんなわけで、数日後にはガーデン・プラントを出る予定を立てていた。


「ミシャ、いろいろ問題が山積みだけれど、無理はしないでねえ」

「はい」


 いつもいつでも問題のほうから目の前に飛び込んでいるので、絶対に大丈夫ですとは言えなかったのだが。

 何かあったときは、ホイップ先生をはじめとする頼りになる大人達を頼らせていただこう。


「じゃあ、ルドルフ先生の母親が見つかったら連絡するわねえ」

「ええ、お願いします」


 ホイップ先生と別れ、私は複製に失敗したお茶会の返信を書くこととなった。


「はあ~~~~~~」


 すべての手紙を書き終えた頃には、手が真っ赤になっていた。

 一日中勉強しても、ここまで疲れないだろう。

 社交用の手紙は丁寧な文字で書かなければいけないので、手にも力が入っていたようだ。

 あと一通、書かなければならない。

 ミュラー男爵への面会をお願いするものだ。返信がすぐに届きますように、と祈りを込めつつ送った。


 ◇◇◇


 夕食は庭でパンケーキを焼いて、チンチラ達と食べることにした。

 ずっと作りたいと思っていた、大鍋で作るふかふかの巨大パンケーキだ。

 蓋をして中までしっかり火を通すのがコツだ。

 甘い匂いが辺りを漂う。

 チンチラ達はたまらないようで、『わあ!』とか『きゃあ!』とか、かわいらしい声を上げていた。

 ようやく完成する。

 蓋を開くと、もくもくと甘い湯気が立ち上った。


『わあ、おいしそ~~~~~!』


 皆、ぴょんぴょん飛び跳ね、嬉しそうにしている。期待も高まっているようだ。

 熱いので、手袋を嵌めて千切っていく。

 チンチラ達は行列を作り、各々持ってきた葉っぱのお皿を掲げてくれた。


「はい、どうぞ」

『ありがと~~~~!』


 これで終わりかと思いきや、最後にジェムが並んでいたので驚く。


「あなたもパンケーキ食べるの?」


 ジェムはこくりと頷き、みんなと同じように葉っぱのお皿を差しだしてきた。

 だが、よくよく見ると毒草だったのでギョッとする。


「あ、あなた、それ、毒があるわ!」


 指摘するとジェムは毒草をその辺に捨て、近くに生えていた薬草を摘んで差しだしてくる。


「はい、どうぞ」


 ジェムは薬草ごとパンケーキを頬張り、満足そうな表情を浮かべていた。

 先ほどジェムが捨てた毒草は回収させていただく。


「ってこれ、ネモン草じゃない! どこから持ってきたのよ」


 大変稀少な毒草で、たしか薬の材料にもなったはず。ホイップ先生にあげたら喜びそうだ。一応、取っておこう。


 手をよーく洗ってから、私もパンケーキをいただく。

 蒸したからか生地はふわっふわで、ほんのりとした甘さがいい。

 蜂蜜を垂らして食べると、極上の味わいとなる。

 おいしいパンケーキだった。


 食べきれるのかと思った巨大パンケーキはあっという間になくなり、大盛況のうちに幕を閉じたのだった。  

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