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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
六部・一章 春のホリデー

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ラウライフ滞在最終日

 実家に戻ってきて新たな問題に直面するとは……。

 ヴィルに対しても申し訳なくなる。


「せっかくのホリデーなのに、すみません」

「いいや、構わない。それよりもレイド伯爵が自害に使ったミリオン礦石について、新たな情報を得られたのはよかった」


 事件後、ヴィルは調査をしていたものの、国内にあったミリオン礦石が盗まれておらず、出所でどころが完全に不明だったらしい。


「もしかしたらキャロライン・アンガードとレイド伯爵の繋がりがある可能性が浮上した」


 ルドルフの父親についても不明であるが、もしかしたらレイド伯爵と関係があった可能性があるのだ。


「一度王都へ戻って調査したい」

「そう、ですね」


 これまで起こった騒動が一つに繋がっているように思えて、ゾッとしてしまう。

 いったい誰が裏で糸を引いているというのか。

 これ以上首を突っ込みたくないのに、問題のほうから私のもとへやってくるのだ。

 私は平和に魔法学校生活を送りたいだけなのに、本当にいい加減にしてほしい。


「ミシャ、どうかしたのか?」

「いえ、なんと言いますか、問題がどんどん大きくなっているなと思いまして」


 一応、ヴィルと一緒に父に報告したものの、だからと言って父に何かできるわけもなく……。


「大丈夫だ。この件はレヴィアタン侯爵に報告して、密に調査するから」


 王家に関わることは国王陛下に、それ以外の件についてはレヴィアタン侯爵に相談を持ちかけているらしい。

 前に、レヴィアタン侯爵に報告しようと言ったときは却下されたものの、レイド伯爵が絡んでいるかもしれないとのことで、相談することに決めたようだ。


「そういえば、ヴィル先輩と再会したのもレヴィアタン侯爵のお屋敷でしたね。どういった繋がりなのですか?」

「国家機密を扱う、隠密部隊の任務だった」

「はい?」

「国王陛下を守るために存在する組織で、その存在は表沙汰にされていない」

「なっ、そっ、ええ!?」


 私がレヴィアタン侯爵家のお屋敷にお邪魔した日は、裏組織の話し合いの場だったようだ。


「ミシャの訪問は聞いておらず、驚いたあまり窓から飛びだして逃げてしまった」

「ありましたね、そんなことが」


 二階の窓からだったので、大丈夫だったか心配しつつも、深く考えないでいたのだ。

 今ならばわかる。ヴィルだったら二階から飛び降りても平気だと。


「いえいえ、そんなことよりも私に話してもよかったのですか?」

「もうすでにミシャは国の大きな問題に関わっているからな。ミシャをメンバーに入れるべきではないか、とレヴィアタン侯爵と話し合っていたのだ」

「いえいえいえ! 私なんか足手まといになるだけなんです!」

「そんなことはない、自信を持て」

「えええ……」


 恐れ多い話であるものの、ここまでいろいろ知ってしまったら、なんらかの組織に入って庇護下にいたほうが安全なのかもしれない。


「今度改めて、レヴィアタン侯爵に話をしておこう」

「わかりました」


 腹をくくるしかない、と強く自らに言い聞かせたのだった。


 ◇◇◇


 王都へ戻る日――家族から見送りを受ける。


「ミシャお姉様、料理長と一緒に作ったスノー・ベリーパイです!」

「クレア、ありがとう」


 マリスは商店で扱う新商品のサンプルをどっさり持たせてくれた。

 ヴィルにはお近づきの印として、雪砂糖を手渡している。

 本当にちゃっかりしているものだ、と思ってしまった。


「ミシャ、王都では無理することなく、元気で暮らすんだよ」

「はい、お父様!」

「ミシャ、ここへはいつでも帰ってきてもいいからね」

「はい、お母様!」


 最後に両親はヴィルに私のことを頼みます、と声をかけていた。

 セイグリッドの準備が整ったようで、『みい!』と愛らしい鳴き声を上げていた。


「ヴィル先輩、帰りましょうか」

「ああ、そうだな」


 遠くから私を呼ぶ声が聞こえる。

 振り返った先にいたのは、ロッコさんと奥方だった。 

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