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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
六部・一章 春のホリデー

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反省

 その後、両親が駆けつけてきた。


「ミシャ、大丈夫か!?」

「もう、心配したのよ!!」


 本当に申し訳ない、と平伏したい気持ちでいっぱいだった。


「まったく、魔法の実験をすると聞いたとき、無理だけはするな、って言っていただろうに」

「あなたが途中で暴走したんでしょう?」


 さすが、私の両親である。私に原因があることはわかっているようだった。


「お父様、ヴィル先輩は?」

「部屋で待機させている」


 なんでも私が倒れてから目覚めるまで廊下で待機したいと望んだようだが、父が体を壊すからと説得し、部屋へ連れ帰ったようだ。


「ヴィルフリート君はミシャが倒れたことを酷く気にしているようで、自分のせいだと言って聞かなかったんだ」

「そんなことないわ。ぜんぶ、私が悪いの」

「ああ。そうだろうと思って気にしないように言ったんだが、ずいぶんと思い詰めていたようで」


 一生使うんだ、と思うあまり、雪魔法に魔力を使い過ぎてしまったのだ。


「ヴィル先輩は私の魔法が暴走しないよう、サポートしてくれていたの」


 上位の雪魔法が発現できたのは、ヴィルの魔法陣が制御してくれたおかげだ。

 ただその魔法がヴィルの想定よりも大きなものだったので、続けて行った付与魔法を暴走させかけたのだろう。


「最終的に使い魔がどうにかしてくれたようだね」

「ええ、そう」


 そういえばジェムはいったいどこに? と言ったら、父が天井を指差す。


「え――ジェム!?」


 なんと、ジェムは天井に張り付いて私を見ていたようだ。まったく気付かなかった。


「ジェム、おいで」


 声をかけると勢いよく落下し、寝台の上に着地する。


「あなたが私を助けてくれたのね。ありがとう」


 ジェムをぎゅっと抱きしめると、ほんのり温かくなる。

 あのときジェムがいなかったら、魔法が暴走して素材を無駄にするどころの騒動ではなかっただろう。


「そういえば、ヴィル先輩にケガをさせてしまったの!」

「ああ、彼ならば心配いらない。自分の回復魔法で治したようだから」

「よかった」


 ヴィルは低位の回復魔法を使えるのだ。それで、私の杖を握ったときのケガを治したという。

 それだけでなく、意識が戻らない私にも回復魔法を施してくれたらしい。

 目眩はあるものの、倦怠感などがないのはヴィルのおかげだったのだ。

 クレアがヴィルを呼びに行っているという話を聞いていたら、扉が叩かれた。


「ミシャ!!」


 ヴィルがやってきて、両親に一礼したのちに、私のもとへ駆けつける。


「目覚めたのだな」

「はい……。迷惑をかけてしまいました」

「迷惑だなんて思っていない。無事でよかった」


 ヴィルは私の手を握り、何度もよかったと繰り返す。


「私の監督不行き届きだった。整備が整っている、魔法学校に戻ってからでもよかったのに」

「いいえ、私の魔力の配分ミスだったんです。ヴィル先輩はまったく悪くありません」


 本来であれば、三分の一の魔力で雪魔法を展開し、残りの魔力で余裕をもって付与させるのが正解だったのだろう。

 しかしながら私は三分の二以上の魔力で雪魔法を展開させ、付与魔法を暴走させてしまったのだ。


「反省しています」


 両親やクレアにも、二度とこういうことはしない、と誓った。

 その後、まだ休むようにと言われ、ジェム以外退室していった。

 体調は完全とはほど遠いようで、横たわると疲労に似たものがどっと押し寄せる。

 まだまだ休養が必要らしい。


「ねえジェム、一緒に眠ってくれる?」


 そんな言葉をかけると、ジェムは棒状になって私の隣に横たわる。

 思っていた添い寝ではないな、と思って笑ってしまった。


「ありがとう、ジェム」


 目を閉じると、意識が遠のいていく。

 明日は元気になっていますように、と祈りつつ眠りに就いたのだった。

 

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