表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
六部・一章 春のホリデー

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

353/439

ミシャの家族と

お詫び

9カ月ぶりのラウライフへの帰郷とありましたが、3部4章でヴィルと共に帰り、両親へ挨拶するエピソードをすでに書いておりました。

349話『荷造りをしよう』350話『ラウライフへ!』352話『帰宅』も修正しております。

大変申し訳ありませんでした。

「ミシャお姉様~~~~!」


 クレアが私めがけて走ってきて、思いっきり抱きついてくる。


「お会いしたかったです!!」

「私も!」


 数ヶ月間会っていない間に、大人っぽい雰囲気になっている。

 爵位を継ぐために勉強と経験を重ねているからだろうか。

 背も少し高くなっていて、いつの間にか私の背丈を追い越していた。

 ただ中身は変わらない、私のかわいい妹である。

 母はヴィルと言葉を交わしていた。


「リンデンブルク大公のご子息、ヴィルフリートさん、お久しぶりね」

「ヴィルフリート・フォン・リンデンブルクです。お会いできて光栄です」

「まあ、ありがとう。クレアもご挨拶なさい」


 クレアは探るような視線を向けたあと、素っ気なくぺこりと会釈するだけだった。

 そんなクレアを父が注意する。


「こらこらクレア、しっかりヴィルフリート君に挨拶するんだ」


 父に言われてクレアはしぶしぶといった様子で自らを名乗る。


「どうも、お久しぶりです」


 クレアはこれでいいかと父をひと睨みしてから、長椅子にすとんと腰を下ろしていた。


 メイドが紅茶を運んでくる。ラウライフでよく飲まれている、スノー・ベリーの葉っぱから作ったものだ。

 少し赤みがかるのが特徴で酸味がある。これを飲むと、故郷に帰ってきたんだ~と実感した。


 一息つくことができた、と思ったのは私だけだったらしい。

 父は緊張しているのか目が泳いでいた。母はクレアを見てため息を吐いている。クレアはなぜかヴィルを睨むように見つめていた。ヴィルは少し居心地悪そうにしている。

 なんとも言えない気まずい空気に気付いてしまった。


「あー、えーっと、ヴィル先輩、疲れていませんか? 少しお休みになったほうが」

「いいや、問題ない」


 大丈夫だと言われ、どうしていいものかわからなくなる。

 そんな中、クレアが思いがけない質問をヴィルに投げかけた。


「リンデンブルクさん、前回は時間がなくて聞かなかったのですが、ミシャお姉様と本当に結婚するつもりなのですか?」


 ヴィルの眉がぴくんと動く。

 クレアは私を心配するあまり、少し反抗的な態度にでるかもしれない。そう思っていたが、想像以上にツンケンしていた。


「もちろん本気だ。伝わっていなかっただろうか?」

「ええ! 何か裏があるのかと思って心配なんです」

「どうすれば信じてもらえる?」

「それは長い期間をかけて、態度で示していただかないと――」


 父はぱんぱんと手を叩き、お開きだと言う。


「ミシャ、クレアと二人っきりでゆっくり過ごしなさい。私達はヴィルフリート君と話をするから」

「わかったわ」


 食い下がろうとするクレアの腕を取り、ずるずると引きずるように部屋をあとにする。

 私室に向かい、クレアを解放した。

 久しぶりとなったマイルームだが、きれいに清掃されているようで、埃の一つも落ちていなかった。いつでも使えるように、整えてくれていたのだろう。心の中で感謝する。

 クレアは腕組みし、頬を膨らませていた。


「あの、クレア、どうしたの?」

「まだいろいろ聞きたかったのに!」


 十分ヴィルを追い詰めていたように見えたが、クレア的にはまだまだだったという。


「クレア、座って。お話ししましょう」

「……」


 言うことを聞かないクレアを、背後から優しく抱きしめる。


「あなたはいい子ね」

「ミシャお姉様の婚約者相手に、生意気な態度でいたのに、どうしてそう言えるのですか?」

「私のために、厳しい態度でいてくれたのでしょう?」


 クレアが理由なく、他人を嫌うわけがない。

 きっと私を思っての言動だったのだろう。


「違う、違うんです」


 クレアに回した腕に、涙がぽた、ぽたと流れ落ちてきた。


「まあ、どうしたの?」

「――っ!」


 しばらく話せそうにないようだ。ひとまず励ますようにぽんぽん叩いて落ち着かせることとなった。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ