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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
五部・五章 ついに迎えた馬術大会!

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それから

 目覚めた瞬間から元気だったのだが、その日は宿舎で休んでおくように言われた。

 退屈だと思っていた矢先に、心配してくれたアリーセとエルノフィーレ殿下がお見舞いにやってきてくれたのだ。

 エアやレナ殿下も見舞いを希望していたようだが、ここは女性教師の宿舎のようで、男子禁制だという。ノアも誘われたようだが、大勢で押しかけたら迷惑になるかもしれないと言ってこなかったようだ。男子禁制を気にしていたのかもしれない。

 婚約者であるヴィルは特別に入れたようだ。

 昨日の騒動について、アリーセが教えてくれた。


「あのとき、本当に大変でしたの……。皆、恐慌状態に陥ってしまいまして」


 天候悪化によって教室まで戻ってくるまではよかったという。そのあとの落雷によって生徒達は慌てふためき、落ち着きがなくなったようだ。


「それでも、わたくし達のクラスはまだいいほうでした」


 クラス委員長であるレナ殿下がクラスメイトに声をかけ、安心させていたという。

 避難先である講堂にもなんとか全員避難したようだが、講堂の屋根に落雷が激突したらしい。強固な結界が展開されていたので、屋根を突き破ることはなかった。

 けれども衝撃音を聞いた生徒達は講堂から逃げようとし、出入り口に殺到したという。


「ホイップ先生が鎮静魔法をかけまして、興奮を収めてくださいました」

「あれがなかったら、けが人が多数発生していたでしょう」


 魔法で気持ちを静めたとはいえ、先生達も説明できない状況の中、生徒達は不安を抱えていたという。


「そんな中で、理事長がミシャとリンデンブルク監督生長が調査に向かう様子を水晶通信で映し出してくださったのです」


 それは皆の希望になったという。


「泣いていた生徒も泣き止んで、食い入るように見ておりました」

「お二人の姿は本当に、勇敢でした」


 まさかヴィルと私の調査が皆の心を落ち着かせることに役立っていたなんて。

 怖くてたまらなかったが、あのとき勇気を出して調査にいってよかったと思う。


 そのあと、状況が落ち着き、生徒達は転移扉を使って寮に戻されたらしい。

 夕方には校内の状況が思っていたよりも悪いことが判明したという。なんでも魔王の落雷によって地面に大きな穴が空いたり、教師の研究棟の屋根が破損したり、結界に綻びができていたり、と修繕が必要な状態にあるようだ。

 そのため急遽明日から春のホリデーに入るという。半月以上も早いホリデーである。

 期間も一ヶ月近くと長いらしい。

 修繕作業もあるのだろうが、それ以外にも国の調査が入るに違いない。

 ヴィルの話によると、ルドルフが所持していた黒いダイヤモンドも無事発見したという。

 魔王の封印が解ける原因となった物なのか、調査をしているらしい。

 ルドルフはリンデンブルク大公が保護し、監視下の中にあるという。

 黒いダイヤモンドが魔王と関連のあるアイテムであれば、騎士隊に拘束されてしまうだろうが……。

 ぼんやりしていたら、アリーセに心配されてしまう。大丈夫だと言って、皆のホリデーの予定を聞いてみることにした。

 なんでもアリーセはエルノフィーレ殿下やノアと一緒に料理合宿をするようだ。

 公爵家に泊まり込んで、さまざまな料理を作るという。

 なんとも楽しそうな過ごし方である。


「ミシャは故郷に帰りますの?」

「ええ、その予定だけれど」


 ヴィルがラウライフにいる家族に挨拶したいというので、セイグリッドに乗って行く予定である。けれどもその前にミュラー男爵の屋敷へ訪問して、エアについての情報を聞き出さないといけない。

 その後、たわいもない話をしているうちに、ざわざわしていた心が落ち着いていく。

 ここ最近、ジルヴィードとルドルフのせいで本当にいろいろな出来事があった。

 正直、勘弁してほしいと何度も思ったが、ひとまず大きな問題は解決した。

 その先にある難題については、今は頭の隅に追いやる。

 今、大好きな友達と楽しく平和に会話しているひとときを、大事にしたいと思ったのだった。

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