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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
五部・五章 ついに迎えた馬術大会!

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魔王の封印

 国立魔法博物館で見たものはたしか――純白のドラゴンが卵から生まれ、大空を舞っていたが、突然暗黒のドラゴンが飛来し襲いかかる。

 純白のドラゴンは暗黒のドラゴンの攻撃を受け、大きなケガを負ってしまったようだが、通りすがりの人間に助けられた。人間は純白のドラゴンが傷つけられたことを怒り、暗黒のドラゴンを討伐することを誓う。

 けれども暗黒のドラゴンは知能が高く、一筋縄ではいかない。

 人間は諦めずに仲間を集め、暗黒のドラゴンを倒した。

 すると大地が裂け、美しい森が生まれ、澄んだ湖が湧き上がる。

 純白のドラゴンの傷はすっかり癒え、助けてくれた人間へ友好の証として、眩い宝石を与えた。

 その宝石は強力な力を持っていた。受け取った人間は宝石の力を使ってのちに〝ソレーユ〟と呼ばれる国を造り、国王となって多くの人々を導いた。

 そんな国王の傍には、純白のドラゴンがいたという。


「という感じだったと思うのですが」

「ええ、間違いないわあ」


 絵画に描かれていたような歴史はたしかにあったようだ。

 邪悪なる竜というのが、魔王に該当するという。

 ただ、その絵画に描かれていなかったこともあるようで――。


「それが、王太子の証で魔王を封印していた、ということなんですね」

「ええ、そう」


 なんでも立太子の儀式というのは、魔王の封印を強固のものにする魔法でもあったらしい。


「それについては王族に伝わっているはずなんだけれど、どこかの代で口伝が潰えてしまっていたようねえ」


 とんでもない事態である。


「あの、魔法学校の敷地内のどこかに、王太子の証があるはずなんです!」


 ジルヴィードが作ったアイテムを見せると、ホイップ先生は目を凝らして眺める。


「たしかにそんなアイテムみたいねえ」

「ただ、何かしらの存在に妨害されているみたいで、はっきりとした場所はわからないそうです」

「ええ……」


 ホイップ先生でもこれだけの情報では王太子の証がどこにあるかはわからないようだ。


「ひとまず、校長先生と理事に報告して、レナハルト殿下に話を聞いてみましょう」


 ジルヴィードは職員室に放置するという。ホイップ先生が〝眠っているだけのおばかさんです〟というメッセージを添えておいたので、発見されても騒ぎにはならないだろう。


 急遽、校長先生とリンデンブルク大公、レナ殿下が集められる。

 ホイップ先生の深刻な表情で、何かあったのか察したようだ。


「して、何が起こった?」


 リンデンブルク大公が尋ねると、ホイップ先生が王太子の証の紛失について話した。

 もっとも驚いたのはレナ殿下だろう。

 一応、国の歴史でそれらしき物が登場するのは把握していたようだが、それが王太子の証だとは知らなかったという。


「これは国の存亡に関わる一大事で――」


 なんてホイップ先生が説明していたら、突然外が暗くなる。

 いったい何事かと思って空を見上げると、上空に真っ赤な魔法陣が浮かんでいた。


「あ、あれは!?」


 なんなのかと問いかける前に、ホイップ先生が説明してくれた。


「あれは魔王を封じた魔法陣よお」


 本来、魔法陣は純白に輝くもののようだが、血のように真っ赤に染まっている。


「封印が解けかけているのよお」


 校長先生が生徒と保護者を避難させなくては、と言ったものの、リンデンブルク大公が制止する。


「馬術大会の人込みを上手く制御できるわけがない。逆に混乱を招くだろう」


 リンデンブルク大公の言うとおりである。

 ひとまず、馬術大会は中止にしなければならないのだろう。校長先生は教師を集めて対策を練るという。


 ホイップ先生は上空に浮かぶ魔法陣を見ながら、ぽつりと呟いた。


「魔王が復活したら、どこにいても安全な場所なんてないのよねえ」


 災害のように、人々を蹂躙じゅうりんするという。

 いったいどうすればいいのか。

 胸が嫌な感じに脈打っていた。

 

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