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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
五部・五章 ついに迎えた馬術大会!

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報告

 話し終えたあと、怒られるものだと思っていたが、ヴィルは優しく私の手を握った。


「このような問題を抱えさせてすまなかった。私がミシャを大事に想うあまり言動が激しくなるから、言えなかったのだろう?」

「まあ、それもありました」


 これ以上ジルヴィードのしょうもない事情に巻き込むわけにはいかない、という想いもあったのだ。


「これからは共に悩ませてくれ」


 その言葉に頷く。必ず打ち明けることをこの場で誓った。


「さて、この男はどう料理しようか」


 道ばたでぐーすか眠るジルヴィードはこのままここに放置したい。けれども誰かに発見されたら大騒ぎになってしまうだろう。


「ジェム、ジルヴィード先生を呑み込んで運んでくれる?」


 そんなお願いをすると、ジェムは仮面の状態から元に戻って、ジルヴィードをぱくんと呑み込む。

 あまりいい気持ちにはならないのか、不快そうにぱちぱちと瞬きしていた。


「ジェムはこのようなこともできるのだな」

「ダメ元でお願いしてみました」


 ひとまず、ジルヴィードはこのままジェムの中で眠っていてもらおう。

 ジルヴィードが持っていた王太子の証を探すアイテムをヴィルが手に取る。

 裏面には大粒のダイヤモンドが填め込まれていて、ジルヴィードが得意とする宝石魔法が使われていることがわかった。


「王太子の証がなぜ魔法学校の敷地内にあるのか……」

「ええ」

「私達でどうこうできる問題ではないから、一刻も早く報告したほうがいい」

「そうですね」


 ひとまず、校長先生に相談したほうがいいだろう。

 ヴィルは監督生長の特権で使える魔法巻物を使い、校長室へ移動する。けれども不在だった。

 職員室を覗き込んだところ、ホイップ先生を発見した。

 それ以外の教師はいないようなので、この場で訴える。


「ホイップ先生!」

「あら、どうしたの~?」

「ジルヴィード先生が私を探しにきて、特大のトラブルを投げつけてきたんです」

「あらあら」


 ひとまず、ジェムにジルヴィードを吐き出してもらう。

 ジェムは「うええええ」と言わんばかりの気持ち悪そうな表情を浮かべていた。

 気の毒なことをさせてしまった。偉い、偉いと褒めておく。

 職員室の床に投げ出されたジルヴィードだったが、いまだにスヤスヤと眠っていた。


「まあまあ、彼はいったいどうしたの?」

「実は、紛失している王太子の証を探していたそうで」

「王太子の証が紛失したですって~!?」


 いつも落ち着いているホイップ先生が驚いていた。


「いったいなぜ? いつから?」

「わかりません」

「立太子の儀式の時点ではあったのよねえ?」

「いいえ、そもそもレナ殿下は王太子の証についてご存じないようでした」


 さらに国王陛下は王妃が管理していると思い込み、王妃は自白魔法を使っても知らないという。そんな王太子の証が魔法学校の敷地内にあることをジルヴィードが突き止めたのだ、というところまで説明した。

 話に耳を傾けるホイップ先生の表情が、事態の深刻さを物語っている。


「というわけでして」

「そうだったのねえ」


 ホイップ先生は盛大なため息を吐く。


「王太子の証というのは、この国の創世にも関わるものなの~」


 以前、ヴィルと一緒に国立魔法博物館で見た魔法仕掛けの絵画にも、〝未来の国王の証〟として登場していた。

 エメラルドみたいな、きれいな宝石だったことを思い出す。


「それと同時に、魔王――邪悪なる竜を封じるものでもあるのよお」

「――!?」


 ヴィルと顔を見合わせ、ゾッとする。


「ジルヴィード先生が王太子の証がないと、世界の危機になると言っていたんです」

「ええ、間違いないわあ。王太子の証がなければ、魔王の封印が解けてしまうから~」

「ええっ!?」


 想っていた以上にとんでもない事態になるらしい。

 心地よさそうにすやすや眠るジルヴィードを恨めしく思ってしまった。

 

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