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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
五部・五章 ついに迎えた馬術大会!

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本番前の校内

 馬術大会が始まる前に各学年の監督生が集められ、監督生長であるヴィルから浮かれている生徒も多いだろうからいつも以上に秩序を守るよう努めるように、というお言葉を賜る。

 なんでも毎年何かしらのトラブルが起きるようで、去年発生した騒動をヴィルが読み上げた。


野外走行クロスカントリーのゴール時、現在三学年の男子生徒が興奮するあまり、コースに進入。続けて駆けてきた魔石馬に接触しそうになり、制御しようとした騎手が落馬し、全治三ヶ月」


 今年からは参加者以外、コースに入れないような結界が追加で展開されているという。


「さらに卒業生だが、出店料理で早食いを行った男子グループの一人が食べ物を喉に詰まらせ、緊急搬送。なんとか一命を取り留めた」


 男子生徒ばかりか、と思いきや、女子生徒もやらかしていたらしい。


「現在二学年の女子生徒が、認められていない外部の人間を引き入れ、大会中に露見。その当時障害競技が行われていたものの、中断して捜索するという大惨事になった」


 馬術大会には招待された家族以外の入場を認められていないのに、交際していた男性をバレないだろうからと招き入れてしまったという騒動だとか。

 その男性は出店で販売する品物を校内に運び入れる仕事をしていたようで、女子生徒は少しだったら大丈夫、と判断し、デートを楽しんでいたという。

 ただ男は逃走し、その後行方不明になったのだとか。


「後日、その男が馬術大会に限定して配られている記念品を転売していたことがきっかけで捕まり、罰せられることとなった」


 怪しい者を見かけたら運営本部に連絡するように、と通信魔法が付与されたバッジが配られた。


 開始前に会場内を巡回するという。

 私は一学年であり、ヴィルの当番生フォグということで、一緒に回ることとなった。


「本番前だというのに、監督生の活動は免除されないんですね」

「その辺は覚悟していたから問題ない」

「さすがです」


 普段であればヴィルと一緒に歩いていたら注目の的になるのだが、今日は皆、馬術大会の当日ということで浮かれている。私達を振り返る者なんて一人もいなかった。


「そういえば、料理クラブの出店は大丈夫なのか?」

「はい。部長であるエルノフィーレ殿下の指示のもと、着実に準備が進んでいると思われます」


 商品のレイアウトなども話し合い、接客についても練習したので心配はいらないだろう。

 ちなみにレナ殿下は貴賓客を迎えるための対応をしているようだ。

 まだ保護者は入場していないようだが、出店がある通りは大変賑わっていた。

 人気店らしきお店にはすでに行列ができている。


「すごいですね、もうあんなに盛況で」

「競技を見ながら食べるものだからな」

「ああ、なるほど、そういうわけでしたか」


 人気店はそば粉のクレープを販売しているようだ。

 もっちりとした生地に、チョコレートスプレッドをたっぷり塗ったスイーツだという。

 他にもジャガイモを丸ごと揚げたものや、豚の丸焼き、炙ったソーセージにマッシュポテトを添えたもの、揚げた魚にグレイビーソースを絡めたもの、ミートパイなど、お馴染みの軽食が売られているようだ。


 私達の巡回の最終地点は料理クラブの出店の前である。

 すでに準備が整っているようで、果物サンドがガラスケースの中で美しく並べられている。

 宝飾店みたいにガラスケースに並べたらどうか? と提案したのはノアである。

 おかげさまで、通り過ぎる人達の注目を集めているようだ。


「お兄様、いらっしゃったのですね」

「ああ、すぐに行かなければならないがな」


 ノアは本番前にヴィルと会うことができて嬉しそうだ。


「頑張ってください! 応援しています!」

「ありがとう、ノア」


 ノアはキラキラ輝く笑みを浮かべ、こくりと頷く。

 私はエルノフィーレ殿下に問題などないか確認した。


「このとおり、準備は整っておりますので、どうか心配なさらず」


 レナ殿下も合流し、戦力は揃ったという。

 まず、エルノフィーレ殿下とレナ殿下のコンビで売っていくようだ。他の人達はしばしの自由時間となる。


「ミシャ、安心してリンデンブルク監督生を見送ってきてください」

「はい、ありがとうございます」


 最初の競技は野外走行クロスカントリーで、婚約者は控え室までついてきていいことになっているのだ。

 エルノフィーレ殿下に見送られながら、私とヴィルは控え室を目指すことにした。

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