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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
五部・五章 ついに迎えた馬術大会!

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馬術大会当日!

 緊張して眠れないかもしれない! なんて思っていたものの、仕込みで疲れていたのだろう。ぐっすり眠ってしまった。

 翌朝――鳥達のさえずりで気持ちよく目覚める。


「うーーーん!!」


 すぐさま朝食の支度を行う。

 卵液に浸けていたパンをきつね色になるまで焼いて仕上げる、フレンチトーストを作った。ソーセージとオムレツ、蒸しサラダも添えておく。

 そうこうしているうちにレナ殿下がやってきた。


「おはよう、ミシャ」

「おはよう!」

「今日はいい天気だな」

「本当に」


 ここ二年ほど、馬術大会は雨だったようだが、今日は気持ちがいいくらい晴れている。

 雨だったら果物サンドの売り上げに影響しそうだったので、よかったと心の奥底から思う。

 フレンチトーストを頬張る。粉砂糖を振っただけだが、表面はカリッと焼かれていて、中はしっとり。卵液がしみしみでとてもおいしい。


「ミシャ、これはなんと言う料理なのか?」

「えーっと」


 フランス風フレンチというネーミングを安易に異世界で口にするのはどうかと思ったので、適当に〝カスタードトースト〟とでも答えておいた。


「これまでミシャが作る独創的な料理の数々を、私が王族だから初めて食べるものだと思っていたのだが、そうではなかったのだな」


 料理クラブに参加するようになってから気付いたという。


「雪国というだけで食文化がこんなにも異なるなんて」


 異世界料理だと言いたいのだが、言えずに今に至る。

 料理クラブの活動で皆が私の料理に驚くので、レナ殿下も普通ではないと思うようになってしまった。

 料理人が一生懸命考えた料理のアイデアを自分の手柄にするのは心苦しいのでラウライフに古くから伝わるものだと説明していたのだが、いつまで誤魔化せるものなのか。

 今は信じてくれているので、そのままのレナ殿下でいてほしいと思った。


 登校すると、校内の様子が普段と異なるのがわかる。

 出店がズラリと並び、魔石馬のモニュメントがいたる場所に設置されていた。

 野外走行クロスカントリーのコースには塀が設置され、観客に土埃などが散らないよう結界魔法が刻まれていた。


「昨日はなかったのに、いつの間に設置したのかしら?」

「普段は地下に収納されていて、馬術大会のときのみ地上に出す仕組みのようだ」

「そうなのね!」


 馬術大会の会場設置が魔法で一瞬にしてできるなんて。

 前世でイベント会場のアルバイトに参加したことがあるが、設営など大変だった覚えがある。魔法仕掛けにすることによって、人件費なども抑えられるのだろうな、と思った。


「結界も普段より強化されているわね」

「外部の人間を招待するからだろうな」


 普段、上空には何も見えないのだが、今日は魔法陣がいくつも浮かんでいた。


「馬術大会の期間中は鳥の一羽でさえ侵入できないくらいの結界を展開していると聞いた」


 そもそも馬術大会は生徒が招待した保護者しか参加できないのだが、万が一を考えて対策を打っているに違いない。


 教室では馬術大会ということもあって、皆わくわくしているようだった。

 掲示板に貼り出された校内新聞では優勝者の予想記事が出ているようで、男子達が集まって見ている。

 その中にいたエアが私を呼び寄せる。


「ミシャ、見てみろよ」

「どうしたの?」

「優勝者の予想、リンデンブルク監督生長ハイ・プリーフェクトがぶっちぎりの一位だって」

「へえ、そうだったの!」


 初出場でありながらここまで期待が集まるなんて、さすがヴィルとしか言いようがない。


「校内もお祭りみたいで、わくわくするな!」

「そうね」


 お店に立つことができるのはスペース的に二名までなので、かわりばんこで自由時間を作る予定だ。


 ホームルームを終えたあとは、夕方まで自由時間となる。

 ホイップ先生は馬術大会を楽しむことは大事だが、羽目を外し過ぎないように、と釘を刺すのも忘れなかった。 

 ホイップ先生の隣に立つルドルフは、ジルヴィードがいないからか気まずげな様子でいる。ここ数日、ジルヴィードは学校を休んでいるようだが、馬術大会まで休むなんて。

 一人で大騒ぎをしていた王太子の証とやらを探し回っているのだろう。

 私にとっては知ったこっちゃない話である。


 ホイップ先生が解散を言い渡すと、クラスメイト達は羽を伸ばすかのように教室から飛びだしていった。

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