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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
五部・四章 馬術大会に向けて

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エアと購買部へ

 本日もヴィルは登校日ではないので、エアと一緒に食堂で食べ、そのまま購買部へと向かった。

 珍しくジェムが私達を先導するように転がっている。午後はいつも眠そうなので、このように活動的なのは珍しい。

 普段よりも大きく膨らんでいるのだが、通行の邪魔になりかけている。小さくなってとお願いしても、聞く耳なんて持たなかった。


「ジェムはいつも面白いなー」


 ぜんぜん面白くない! と言い返したかったものの、ジェムのご機嫌をそこねたら面倒なのでぐっと言葉を呑み込んだ。


「そういえばミシャが言っていたアイテムって、どんなふうに使うんだ?」

「私も詳しく知らないの。購買部で聞いてみましょう」


 エア的にはミュラー男爵にバレずにこっそり検査したいという。そうでないと、高価なアイテムを使って調べる意味がない。


「もしも血の採取が必要だったら、無理だもんな~」

「たしかに」


 そんな話をしながら購買部に到着する。

 お昼休みとあって店内は賑わっていた。


「あ、今日、新しい魔導カードの発売日だったんだ」


 ミュラー男爵が販売している魔導カードは大人気商品で、すでに完売している。


「昨日届いた手紙と一緒に、魔導カードが三箱も入っていたんだよな~」

「クラスの男子が聞いたら大興奮しそうな話ね」


 そういえば朝から教室にいた男子がソワソワしながら、楽しそうに話をしていたのを思い出す。魔導カードの発売日だったので、浮き足立っていたのだろう。

 いつもより教室が賑やかだったおかげで、私とエアはミュラー男爵についての内緒話をできたわけである。


「おお、魔菓子の新作も入荷されているな!」

「あら、本当! スライム・マシュマロですって」

「気になるネーミングだな」


 と、目的が逸れてしまった。私とエアはすぐさま軌道修正を行う。


「えーっと、高価な商品はあっちのガラスケースだったな」

「ええ、そう」


 すぐに目的の品は見つかった。


「げっ、金貨三枚もするのかよ」


 前世での通貨に換算すると三十万円。気軽に買える商品ではない。


「これ、買う奴なんているのかよ~」

「実は人気商品なんだ」


 エアの疑問に返答したのは、以前、魔法の箒を購入したときに接客してくれた、猫妖精ケット・シーの店員である。

 品だしをしていたようで、大きな木箱を抱えていた。


「それ、週に二、三個は売れるよ」

「ええ~、なんで!?」

「目的はさまざまだ。純粋に親のどの能力を引き継いだのか気になる生徒もいるし、自分が本当に親の子なのか調べたい生徒もいるし」


 エアと同じような目的でこのアイテムを使う生徒もいるようだ。


「あの、この商品って、どうやって使うのか教えていただけますか?」

「んー、いいよ」


 木箱を置いた猫妖精の店員はガラスケースに手をかざす。すると魔法陣が浮かび上がり、施錠が外れた。

 手に収まるほどの小さな箱には、コンパクトのようなものが入っていた。

 それを開くと、中に魔法陣が刻まれている。


「使い方は簡単。ここに親子関係を調べたい人の欠片を入れるだけなんだ」

「か、欠片!?」

「切った爪とか、頭髪でもいいってことですか?」

「うん、そう」


 もっと言い方があったのではないか。エアなんか怯えた表情で話を聞いていた。


「こういうアイテムって血を使って検査することが多いんだけれど、このアイテムは高価な分、気軽に調べられるようになっているみたい」

「へ~~~~~~~!」


 エアにミュラー男爵から爪か髪の採取ができそうか聞いてみる。


「爪は難しいけれど、髪だったらなんとかできるかも」


 馬術大会にやってくるというので、そのときに採取したいという。


 ここからが本題である。私は以前、恩恵ベネフィットとして受け取った購買部のアイテム引換券を取りだし、このアイテムに使えるかどうか聞いてみた。


「もちろん使えるけれど、こんなものでいいの?」

「ええ」

「もっといいアイテムがあるんだけれど。たとえば――」

「これにします!!」


 いろいろ聞かされたら心が揺れ動いてしまいそうなので、これ以上話は聞かないことにする。

 無事、精算台で手続きを終え、アイテムを手にすることができたのだった。

 

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