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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
五部・四章 馬術大会に向けて

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試食品を作ろう!

 奇しくも、料理クラブの保冷庫の中には食材がたっぷりある。

 エルノフィーレ殿下がリンデンブルク大公に試食品作りをするかもしれない、と伝えていたところ、用意してくれたようだ。

 部費からではなく、リンデンブルク大公のポケットマネーから出してくれたらしい。

 そんなわけなので、試食品作りに遠慮なく使わせていただこう。

 まず祭りの露店と言えば、というものを作ってみる。

 みんなの視線が集まる中、調理開始だ。

 リンゴを取りだし、フォークを突き刺す。


「ご、豪快な料理ですのね」


 驚くアリーセの発言に「そうでしょう?」と答えつつ、調理を続ける。

 鍋に砂糖と水を入れ、焦がさないように加熱する。

 砂糖が溶けて沸騰する手前で火を止め、先ほどのリンゴにかけていく。

 ワックスペーパーの上に置いてしばし粗熱を取ったら、リンゴ飴の完成だ。


「これは〝リンゴ飴〟っていうの」

「果物を飴にするなんて斬新ですね」


 エルノフィーレ殿下の言葉を聞いて、他の人達も頷いている。どうやらリンゴ飴もこの世界に存在しないらしい。

 そんなことはさておいて、試食の開始だ。

 包丁でカットし、一口大にしたものを配っていく。


 リンゴの表面には琥珀色の飴がきらりと輝く。

 食紅で飴を赤くしていたら、ルビーみたいに真っ赤なリンゴ飴になるだろう。

 今回はなかったのと、味に変わりはないので無着色バージョンを食べていただく。

 まず、レナ殿下が頬張った。


「これは、なんて斬新な飴なんだ! 薄い飴がぱりっと口の中で弾けたあと、リンゴの果汁が口の中で溢れ、優しい甘さが広がっていく」


 その言葉を聞いたノアも続いて食べてくれた。


「本当! 食べたことのない、初めての飴だ。おいしい!」


 アリーセやエア、エルノフィーレ殿下もお気に召してくれたようだ。


「他にもイチゴやアンズ、ブドウなんかも飴に仕立ててもおいしいんです」


 ただ今のシーズンだと、秋に収穫してあるリンゴくらいしかないだろう。

 リンデンブルク大公もパリパリと音を立てながらリンゴ飴を食べている。

 感想こそ口にしなかったもののこくこくと頷いていたので、聞かずとも満足したとわかる様子であった。


「ミシャ、リンゴ飴でいいじゃん!」

「まって、まだいろいろ作らせて」

「すごいな、まだネタがあるんだ」

「ええ、そうよ」


 ジャガイモを茹で、バターを混ぜてマッシュポテトにしたものに塩、コショウで味を付ける。それを絞り袋に入れて、細長く揚げていくのだ。

 近年流行りだした、〝ロング・フライドポテト〟である。


「マッシュポテトを揚げるだと!?」

「どんな味なの!?」


 カリカリに仕上がったものをみんなに配る。

 他の人達が冷めるのを待つ中、エアはアツアツを頬張った。


「なんだこれ!! うまい!!」


 そうだろう、そうだろうと頷きながら思う。

 普通のフライドポテトとは違ってマッシュポテトにしてから揚げるので、表面はカリカリ、中はふわっと仕上がっているのだ。

 リンデンブルク大公からは、ワインに合いそうな味わいだ、と評価してもらった。

 ジャンクフードなので高貴なお方に食べさせるものではないな、と思いつつも、好意的な感想をいただけるのは嬉しい。

 こんな感じで、他にもどんどん作っていく。

 アメリカンドッグに、冷やしキュウリ、焼きイカにフランクフルト、焼き鳥などなど。

 どれも好評だったが、投票で決めようとなったときに票がわかれてしまったのだ。

 エルノフィーレ殿下はリンゴ飴を気に入り、アリーセは冷やしキュウリ、エアはロング・フライドポテト、ノアはアメリカンドッグ、リンデンブルク大公は焼きイカ――と見事に一票ずつ入ったのだ。


 どうしたものか、と思っていたら、レナ殿下から「そういえばあの料理は?」と提案を受ける。それは以前朝食で出したメニューの一つだった。

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