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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
五部・四章 馬術大会に向けて

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ヴィルに相談を

 今日も今日とてヴィルは馬術の訓練に精を出していた。

 魔石馬同士ケンカにならないよう、障害物を使うさいは予約をし、順番が回ってきたら呼びだされるという方法で行っているらしい。

 見学は参加者の婚約者のみ。さらに婚約者の練習のみ付き添えるのだとか。

 魔石馬は気性が荒いため、事故が起きたときの対策なのだろう。

 ビアンカに跨がったヴィルは今日も美しい跳躍を見せていた。完璧にしか見えないのだが、本人的にはまだまだだという。

 校内ではあまり練習ができないというので、次の休日もこの前の牧場に行くらしい。

 私はエルノフィーレ殿下やノアと慈善活動をするため、同行できないのだ。

 馬術大会で飲食店を出店するために、あと一回、活動実績が必要なので頑張るしかない。

 もちろん馬術大会に出店する目的だけでなく、慈善活動は定期的に行う予定だ。

 この前みんなで焼いたクッキーも喜んでもらえたとのことで、よりいっそうやる気がみなぎってくる。

 練習後はビアンカのブラッシングを協力して行い、食事と水を与えたら完了である。

 今日のビアンカはご機嫌なようだったが、練習を満足にできなかったようで、帰り際は不機嫌な様子を見せていたらしい。

 ちなみに運動は朝、昼、夕方とヴィルが校内のコースを走らせているので、十分足りているだろうとのこと。


「ミシャから歓声を浴びるのが癖になっているのかもしれない」

「そ、そうなのですね」


 ビアンカはもっとできるのに! って思っているのかもしれない。

 なんだか少しだけ性格がジェムに似ているな、と思った。

 ちなみにジェムは魔石馬に張り合って騒ぎになったら大変なので置いてきている。

 お利口に留守番をしてくれるのだ。


「さて、食事にしましょうか」


 授業が終わったあと、国王陛下の料理を仕込む傍らで夕食も作ってきたのだ。


「今日はミートパイとシチュー、それから白身魚のピリ辛煮込みです」

「おいしそうだ」


 ひゅう、と冷たい風が吹く。昼間はかなり暖かい日が続くようになったものの、夜は冷え込む。それを想定して、体が温まるようなメニューを考えたのだ。 ラウライフ基準で言えば春のような暖かさだが、王都基準だとまだまだ冬と言ってもいいのだろう。


 帰ってすぐに紅茶と料理で体を温める。

 暖炉の暖かい部屋でまったりと食事を楽しんだ。


「ミシャ、今日は少しぼんやりしているような瞬間があったが、何か悩みがあるのか?」

「ぼんやり、していました?」

「ああ、一瞬だったがな、見逃さなかった」


 さすがとしか言いようがない。


「悩みと言っていいのか迷うレベルのものなのですが」

「なんでも話してほしい」


 ぼんやりしている瞬間に考えていたのは、二学年からの選択授業についてである。いい機会だと思ってヴィルにも相談してみた。


「実は――」


 馬術の練習で疲れているだろうに、ヴィルは真剣に話を聞いてくれた。


「なるほど、第二希望も視野に、か。たしかにそのほうが確実だろうな。それに薬草の専門的な知識は国家魔法師になっても役立つだろう」


 なんでも年に数回違法薬草を取り引きする闇社会の住人が国家魔法師に逮捕されているらしい。


「鑑定魔法で調べたらいいだけの話だろうが、薬草の知識があれば魔法を使うまでもないからな。きっと役に立つだろう」


 太鼓判を押してもらい、ホッと胸をなで下ろす。


「あとの授業は決めたのか?」


 国家魔法師の必須授業となる防戦魔法学と魔法倫理学、それから魔法薬草学の授業を取っていれば十分だろうが、あと一科目くらい受けられる余裕があるのだ。

 みんな四科目選んでいるようなので、もう一つ何か授業を取り入れたい。


「悩みどころなんですよね。国家魔法師を受ける友人は攻戦魔法学を取るようで」

「たしかに、戦闘能力はあったほうがいいだろう」

「でも、残念ながら私は攻撃魔法の適性がないようで」

「ならば魔法体術を選んでみてはどうだ?」


 ヴィルの言うとおり魔法体術であれば、魔力を活性化させて身体能力を高め、対人戦闘も可能となるだろう。


「正直、運動神経がよくないので、やってもそこまで役に立たないのではないか、と思ったのですが」

「いや、あの授業は魔力さえあればそこそこ戦えるようになるから、受けておいて損はないだろう」


 攻撃魔法が役に立たないようで若干不安に思っていたのだが、魔法体術がなんとかしてくれるらしい。

 ヴィルの言葉を信じて受けてみようか。そんな気が生まれたのだった。

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