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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
五部・四章 馬術大会に向けて

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将来について

 オムライスは卵がフワフワで、中のチキンライスはトマトの酸味とバターのコクが効いてておいしくて、とにかく最高だった。

 香り高い紅茶や日替わりのデザートとしてバニラアイスが出てきたのもポイントが高い。


「お気に召したかしら?」

「ええ! 毎日でも通いたいくらい!」

「そうでしょう?」


 最上階にあるレストランもかなりおいしいのだが、高級店レベルのおもてなしがあって、庶民育ちの私には落ち着かないのだ。

 ここはウエイトレスがおらず、すべて魔法で注文や配膳などが行われるので、気兼ねなく食事ができる。ヴィルも好みそうな環境だな、と思ってしまった。


「それでミシャ、話ってなんですの?」

「ああ、そうだったわ」


 ついつい食事中はお喋りに花を咲かせてしまったのだ。

 食後の紅茶を飲みつつ本題へと移る。


「少し悩んでいて、アリーセはどんな選択授業を選んだのかと思って、もしも支障がなければ聞かせてもらえるかしら?」

「わたくしは〝妖精・精霊学〟と〝魔法生物学〟にしようと思いまして」

「そうなのね」


 猫や使い魔のキティを愛する彼女らしい選択だ。


「アリーセはその、将来について考えているの?」

「もちろん」


 貴族女性のほとんどの将来は政略結婚という道しか用意されず、それ以外は許されない。

 この質問はかなりセンシティブなもので、アリーセ以外だったら聞けないだろう。


「わたくし、魔法生物や妖精、精霊のお手入れができるサロンを開こうと思いまして」


 地球で言うところのグルーミングサロンみたいなものなのだろうか?


「キティ相手に丁寧にブラッシングをしたり、マッサージをしたり、食事を気にかけたりしていたら、魔力が安定しているのに気付いて、これはお店を開いたら商売として成り立つのかもしれない、と思ったわけですの」


 たしかにここの世界ではグルーミングサロンみたいなお店はない。

 魔法生物は愛玩用としても広く愛されているので、利用したいお客さんが殺到しそうだ。


「もちろん、貴族女性の務めである結婚はいたしますわ」


 それすらもサロンを開くための人脈を広げるために利用したい、とアリーセは言う。


「得意なことを仕事に、か」

「ええ!」


 エアは国家魔法師の採用試験がダメだったときのことまで考えていた。攻撃魔法の適性があるようなので、魔法騎士になるのも悪くはないとまで言っていたのだ。

 私もそういう方向で将来について考えなくてはならない。


「あまり参考にならないかもしれませんが」

「いいえ、参考になったわ。ありがとう、アリーセ!」


 私の夢もアリーセに打ち明ける。


「実は私、国家魔法師になりたいの」

「まあ、そうだったのですね!」

「ええ。でも、攻撃魔法に適性がないみたいで、どの授業を選ぼうか迷っていたのよ」


 エアやアリーセの話を聞いた結果、得意科目を伸ばす方向で授業を選んでみようと思ったのだ。


「一つは〝魔法薬学〟を選んでみようと思っているの」


 国家魔法師の試験がダメだったときのために、魔法薬師の道も視野に入れて勉強しようと思い直したのだ。


「第一志望の不合格を想定するなんて考えていなかったんだけれど、正直成績がいいわけではないから、得意分野が活かせる第二志望も考えておくのは得策だと思うようになったわ」


 入学前は国家魔法師になれなかったときは実家に戻ることも考えていた。

 けれども今は状況が大きく変わっている。

 妹のクレアは優秀な跡継ぎとなっているようで、父から心配はいらないと連絡が届いていたのだ。

 きっと魔法学校の卒業後に実家に帰っても、私の仕事なんてないだろう。

 それにこのまま王都を拠点として働きたい、という思いも強くなっている。

 国家魔法師になれなくても、どうにかして仕事を見つけ、暮らしていきたいと考えるようになっていた。


 ヴィルとの結婚については、どうなるかわからないというのが本音である。

 すでにエルノフィーレ殿下との結婚話はなくなっているので、これ以上婚約を続けなくてもいいのだが、ヴィルを支えるという面においては便利な肩書きだ。

 彼が望むのであれば、このままの関係を続けてもいいと思っている。


「悩みが解決したから、すっきりしたわ。アリーセ、本当にありがとう」

「お役に立てて何よりですわ」


 もう一科目についてはゆっくり考えようと思った。

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