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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
五部・四章 馬術大会に向けて

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アリーセと一緒に

 どの授業を選択すべきか悩みどころである。

 正直なところ、攻撃系の魔法に適性があるとは思えなかった。

 攻戦魔法学も体験授業を行ったのだが、基本の魔法弾を作ったところ、クラス平均で拳大くらいの大きさを作っているのに対して、私はビー玉くらいの大きさしか作れなかったのだ。

 さらに飛んでいくさいの勢いもなく、へろへろ力なく落ちていったという情けない様子を見せていた。

 私が落ち込んでいる様子を見たジェムが、自分が魔法弾役を務めようと勢いよく飛びだしていったが、通用するわけがなく……。

 攻戦魔法の適性はないんだな、とわかった体験授業だった。


「国家魔法師にある程度の戦闘能力は必要だけれど、私には向いていないみたいなのよね」

「まあ、向き不向きはあるよなー。俺もホイップ先生の体験授業でヒール薬草を発見できなかったし」


 魔法薬師になるほうがきっと安泰なのだろう。けれども私は国家魔法師の夢を諦めきれないでいるのだ。


「他の奴らにも話を聞いてみたらどうだ? いろいろ参考になるかもしれないし」

「そうね」


 今日、ヴィルはお城で職務についているため、登校していない。お弁当を作ってくれると言っていたのだが、忙しいだろうと思って断っていたのだ。

 そんなわけなので、お昼にアリーセを誘ってみることにした。


「お昼ですか? よろしくってよ」


 他の友達とは別行動をし、ゆっくり一人で食べようと思っていたという。


「ごめんなさいね」

「いいえ、ミシャならば構いませんわ。むしろ、一緒に食べたいと思っていたくらいでしたの」


 いつもヴィルが誘いにやってくるので、声をかけられずにいたという。


「リンデンブルク監督生長ハイ・プリーフェクトは八月に卒業しますし、二学年になったらいつでもミシャを誘えると思って、ずっと我慢をしていました」

「そうだったのね」


 アリーセがそんなふうに考えていたとは知らずに、のんきにヴィルと昼食を共にしていたのだ。


 そんな話をしながら行き着いた先は食堂ではなかった。


「こちらですわ」

「えっ、ここ?」


 ただの自習室にしか思えない扉を抜けると、そこには衝立が建てられたテーブル席がいくつもある喫茶店のような雰囲気のフロアが広がっていた。


 こんなところがあるなんて知らなかった。

 アリーセは入り口にある魔法陣に生徒手帳をかざす。私も同じようにあとに続こうとしたら、〝会員ではありません!〟という警告文字が浮かんできた。


「ミシャ、ここはあらかじめ会員カードを購買部で購入する必要がありますの」

「そうだったのね」

「わたくしの会員カードで支払いをしますので」

「あとで払うわね」

「よろしいのに」

「いいからいいから」


 ウエイトレスは誰もおらず、アリーセは案内もなしに席に着く。

 テーブルにはメニュー表があって、さまざまな料理があるようだった。


「ねえ、アリーセ、ここはなんなの?」

「一人や少人数で静かに食事を取りたい人専用の食堂ですわ」


 なんでも食堂の喧騒が耐えきれなかったり、一人になりたかったり、とさまざまな理由を抱える生徒のみが利用できるようだ。


「先生に相談すると、こっそり教えてくださいますの」


 会員カードを購入するときは、購買部で毎週変わるという暗号を伝える必要があるという。


「わたくし、他の人達からジロジロ見られるのに耐えきれなくなって、少し前にホイップ先生に相談したのです」


 なんでも男子生徒ばかりがアリーセを不躾に見てくるという。

 お昼だけでも寮に戻って食事をしたいと言ったら、ここを紹介してもらったようだ。


「今は週に一回か二回、通っていますの」

「そうだったのね」


 アリーセレベルの美人であれば、ついつい見てしまう生徒の気持ちもわからなくもない。ただ当の本人からしたら迷惑極まりない行為なのだろう。

 衝立には魔法陣が刻まれており、会話などが外に漏れないようになっているのだとか。

 さらに料理の注文も魔法陣を通じてできるようで、前世のタッチパネル式の注文みたいだと思った。


 アリーセはサンドイッチセットを頼み、私はオムライスを注文する。

 頼んで五分ほど待つと、料理が魔法陣から浮き出てきた。


「す、すごいわ」

「でしょう?」


 料理もおいしくって最高だった。

 

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