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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
五部・四章 馬術大会に向けて

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馬術の練習へ

 晴れやかな青空が広がる休日――私とヴィルは外出許可を取り、馬車で郊外にある場所に向かっていた。

 行く先は馬術の練習ができる施設である。

 休日は校内の練習場は混み合うので、ヴィルが知人に頼み込んで利用できるようにしてもらったらしい。

 ビアンカは前日から魔法で移送されているようで、あとは私達が現地に行くばかりだった。

 魔法学校に入学してからというもの、どこかに行くとなれば転移扉で現地に移動する手段ばかりだったので、こうして馬車で長距離移動をするのは新鮮である。

 と思ったものの、入試を受けるさいに嫌になるほど馬車に乗って領地ラウライフと王都を行き来していた記憶が蘇ってきた。

 新鮮味があったのはヴィルと一緒だったからだろう。

 リンデンブルク大公家の馬車は座席のクッションに張りがあって、衝撃を吸収してくれる。この馬車ならばお尻もあまり痛くならなかっただろうな、としみじみ思った。

 あと、馬がよく調教されているからだろうか。それとも御者さんのテクニックなのか。振動などが少なく、運転も丁寧だ。


「そういえば、馬車を引く魔石馬を見たことないですね」

「魔石馬は気性が荒い上に協調性がないからな。戦場を駆けたり、馬術用に調教したりすることはできても、他の馬と行動を共にすることが多い馬車用にはできないんだろう」

「なるほど! そういうわけだったのですね」


 ユニコーンみたいな長い角も馬車向きではないのだろう。

 なんて会話をしているうちに現地に到着した。

 そこは魔石馬の牧場も備わっていて、ビアンカの生まれ故郷でもあるらしい。

 放牧地には魔石馬が走っている様子が見られた。

 ヴィルが話していたとおり、協調性がないのか群れている様子は見られない。

 牧場主に挨拶したあと、連れてきてもらったビアンカと一緒に障害競技の練習をするようだ。

 練習用のエリアにはさまざまな障害物が置かれていた。

 そびえ立つような高い壁のような障害もあり、本当に飛び越えられるのかと信じられなくなる。


「思っていた以上に高い障害を飛び越えるのですね」

「ああ。これでも学生用に低く設定しているようだ」


 馬術は社交期の娯楽として人気の競技で、年に一度大きな大会が開催されるらしい。

 観覧チケットの発売日には売り場に長蛇の列ができ、即完売するそうな。


 ヴィルは魔法学校に入学する前までここで馬術を習っていたらしく、ある程度の知識と技能はあるという。

 指導の先生とも久しぶりに再会したらしい。先生は五十代くらいの、白髪交じりで立派な髭をたくわえた男性である。ヴィルは先生から抱擁を受けて、どういう反応を取っていいのかわからないような表情を浮かべていた。


「しかしながらリンデンブルク大公に、ヴィルフリートは大会に出ないのかと聞いても首を横に振っていたのに、最後の最後で出場するとはな」


 先生は私を見て、「なるほど婚約者ができたからか」と推測したようだ。ヴィルは「その通りです」と素直に認めたら、大人になったなと肩をぽんと叩かれていた。


「よし、じゃあ、ひとまず軽くコースを走ってみるか!」

「はい」


 ヴィルは乗馬用の宝石があしらわれた杖を握り、ビアンカに跨がった。

 合図を出すとビアンカは走り始める。

 到底飛び越えられるとは思えない障害だったが、飛ぶ寸前でヴィルは魔法を展開させる。

 魔法陣が浮かび上がると、ビアンカの背中に魔法の翼が生えた。

 さらに魔石の角が光ったあと、飛び上がる。すると。ふわり、と空を羽ばたくように障害を飛び越えていった。


「――わっ!!」


 なんて美しい跳躍なのか、感動してしまう。

 ヴィルは次々と障害を飛び越え、ゴールを通り過ぎた。

 私は拍手をして戻ってきたヴィルを迎える。


「どうだったか?」

「すごい迫力でした!! かっこよかったです!!」


 貴族の間で人気を博しているのも頷ける。魔石馬の馬術は壮大でダイナミックなものだった。

 

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