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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
五部・三章 新しいことを始めよう!

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話し合い

 放課後――エルノフィーレ殿下と一緒に料理クラブの活動について計画を立てる。

 誰もいない教室で話し合った。


「まずは基本的な調理について習いたいのですが」

「だったら簡単な料理から挑戦してみましょう」


 最初は複雑な調理工程のない、シンプルな料理がいいだろう。


「たとえばどのような品がよいのでしょうか?」

「サンドイッチとかいかがですか?」

「いいですね」


 材料を切って挟むだけなので、料理初心者にも優しいだろう。


「果物サンドにしてもいいかもしれないですね」

「果物サンド、ですか?」


 なんだそれは、という感じで聞き返される。


「えーっともしかして、ルームーンではパンに果物を挟んだサンドイッチはないのですか?」

「ええ、食べたことはありません」


 そういえばフルーツサンドは日本発祥だっただろうか。

 ふいに海外の人がわざわざ日本にやってきて、フルーツサンドを買いに行くみたいな内容のテレビ番組を見た記憶が蘇ってきた。

 ルームーン国どころか、うちの国でもフルーツサンドという料理は存在しない可能性がある。


「で、では、果物サンドではなく、お馴染みのサンドイッチにしてみましょうか」

「いいえ、食べてみたいです。ぜひ、作り方を教えてください」

「わかりました」


 もしもどこでフルーツサンドを教わったんだと聞かれたら、適当にラウライフに伝わる古いレシピ帳から覚えたと言えばいいか、と思った。


 料理クラブの活動については週に一度か二度程度を予定しているという。

 以前よりは予習せずとも授業についていけるようになったものの、それでも普段からの勉強は大事だ。前回の試験結果を受けてしみじみ思うようになった。

 そんなわけで、学業に無理がない程度に活動しよう、という話で落ち着いた。

 次回の活動は週明けである。果物などはクラブの予算から購入する予定だ。

 材料については購買部で三日前までに注文したらクラブ舎まで届けてくれるらしい。


「果物サンド、楽しみにしています」

「お口に合えばいいのですが」


 話が一段落したのと同時に、私達のもとにジルヴィードがやってきた。

 壁に張り付いていたジェムが覚醒し、盾のような大きな壁を作って私とジルヴィードの間に立ちはだかる。


「えー、何これ? どうしてそんなことするの?」


 その問いかけに答えるかのように、ジェムはジルヴィードに向けて眩い光を放った。


「うわ、眩しい! 目が潰れる」


 しばらく放っていたのだが、少し気の毒になって止めてあげるように言った。

 エルノフィーレ殿下がとげとげしい口調で問いかける。


「ジルヴィード、なんの用事なのですか?」

「あのー、少しお話というか、お願いごとがあるんだけれどー」

「ご遠慮いたします」


 エルノフィーレ殿下はぷいっと顔を逸らしながら言葉を返した。


「いやでも、この件は人助けになるというかー、なんというかー」


 今度はいったいなんの問題を持ち込んだというのか。

 頭が痛くなる。

 話を聞いてしまった以上、彼を野放しになんてできない。

 エルノフィーレ殿下もそう思ったのだろう。

 仕方ないのでジルヴィードの話を聞いてあげることにした。


 ジェムの壁を挟んで会話する。声が聞こえやすいよう、口元だけ穴を開けてくれたようだ。半透明なので、ジルヴィードの姿はモザイクがかかったようにぼんやりしたまま。


「あの、君達の姿がまったく見えないんだけれど」


 どうやらジルヴィード側からこちらの様子を見ることはできないらしい。

 犯罪者のような扱いに笑ってしまいそうになる。


「それで話とはなんですの」

「まずは謝罪からさせてください。酷いことを言ってごめんなさい」


 許すつもりはないので何も返さなかった。


「まさか校長先生とリンデンブルク大公を仲間に引き入れていたとは、夢にも思わなかったよ」


 さすがのジルヴィードも、異国の権力者二名を相手に大きな態度を取るつもりはなかったようだ。


「本題に移るけれど、ミシャ・フォン・リチュオル――君に協力してもらいたいことがあって」

「聞くだけ聞いておきます」


 嫌な予感しかしないが、一応聞いておく。


「〝王太子の証〟という宝物について調べてほしいんだ」

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