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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
五部・三章 新しいことを始めよう!

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勧誘

 掲示板の前でエアと一緒に余韻に浸っていたら、アリーセがやってくる。


「二人とも、順位は確認しましたの?」

「したぜ!」

「もちろんよ」

「どうでした?」

「その前に自分の順位を確認してみろよ」

「ええ、そうですわね」


 アリーセは後ろの順位から探そうとするので、エアが最初から探すように勧める。

 すると、四位と知って驚いているようだった。


「アリーセ、四位なんてすごいわ!」

「天才じゃないか!」

「先生方の教えと、寮の個人指導教師テューターのおかげですわ」


 試験の順位を自分だけの手柄にせず、教師陣を立てるアリーセの清らかな心の持ちようが眩しい。私なんて自分の頑張りだとしか思わなかったのに。

 思い返せばヴィルからいろいろ習ったというのに、百三十九位という順位は低いのかもしれない。もっともっと頑張らなければ。

 続けてノアもやってくる。


「ふーん、順位出たんだ」

「ノアも探してみろよ」

「途中入学の僕が百五十位以内に入っているわけないのに」

「わからないだろう?」


 みんなで探してみることにした。


「百三十九位まで確認したから、それよりも上位かしら?」

「だからないって」

「ああ、ありましたわ!」


 なんと、ノアは百二十三位にランクインしているという。


「すごいじゃない!」

「俺達よりも上位だなんて」

「嘘……信じられないんだけれど」


 まさか私達よりも上位にいたなんて。きっとノアは人に見えないところで努力を重ねていたのだろう。さすが、途中入学でありながらも授業についてきていただけの実力の持ち主である。


 そんなわけで、みんなランクインしていたのでホッと胸をなで下ろしたのだった。


 教室に戻る途中に、私は料理クラブへの勧誘をしてみる。


「実はエルノフィーレ殿下と料理クラブを作ることになって、五名部員がいないと正式なクラブとして認められないの。それで興味があったら入部してほしいな、って思っているんだけれど」


 一応、活動についても打ち明けておく。


「慈善活動のさいに養育院で料理を作ったり、下町で炊き出しをしたり、王宮でそのー、花嫁修業をしたり」

「王宮で花嫁修業?」


 ノアが「そんなの初めて聞いたんだけれど」と言って追及してくる。


「リンデンブルク大公家に嫁いでくる女性が行う伝統みたいで、国王陛下に料理をお作りしているの」

「ふーん、初めて聞いた。僕の母上もしたのかな?」

「いえ!! その、低位貴族用に立てられた、秘密のプログラムなの!」

「へえ、そうなんだ」


 とっさの言い訳にしては上手く言えたような。

 それ以上、深く聞いてこなかったのでひとまず安堵する。 


「一応、料理クラブにはヴィル先輩も入部してくれるみたいで」

「お兄様も? だったら入る!」


 ノアはすぐに入部を決めてくれた。これで部員はエルノフィーレ殿下と私、ヴィルにノアの四名となった。あと一人加わればクラブとして成立する。


「ミシャ、俺も入るよ。ミシャから料理を習いたいって思っていたんだ」

「エア……!」

「わたくしも入りますわ! 料理をしたことなどないので、自信なんてありませんが」

「アリーセまで!」


 まさかみんな入部してくれるなんて。感謝の気持ちで胸がいっぱいになった。


「料理なんて僕もしたことないよ」


 それなのにこの自信満々な様子である。さすがノアとしか言いようがない。


「ああ、そういえば雪山課外授業のバーベキューがあったか! 皆、経験者じゃないか」


 果たしてバーベキューは調理を経て作った料理だと言っていいものなのか。

 串打ちして塩、コショウを振って焼くという工程があるので、料理と言えば料理だが。

 でもまあ、そういうハードルが低い料理から挑戦するのもいいのかもしれない。


「そういえば、ミシャさんが作ってくれた焼いたマシュマロとチョコレートをビスケットに挟んだやつ、おいしかったな」

「なんだそれ!?」

「気になりますわ!」


 まさかスモアに食いつくとは。


「食べてみたいですわ」

「俺も!」

「だったら最初の料理はスモアにする?」

「やった」

「楽しみにしております」


 一度エルノフィーレ殿下に相談する必要があるが、きっと許してくれるだろう。

 

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