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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
五部・二章 とんでもない騒動

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帰宅後

 あのあと、私は国王の食事を作った。いつもはヴィルと調理していたのだが、今日は一人である。その分、料理長が手伝ってくれた。

 国王は私と面会を望まれたようでお会いしたのだが、ヴィルの件について頭を悩ませていたようだ。それも無理はないだろう。

 国王を装ってヴィルを呼びだした挙げ句、人為的だと思われる事故に遭ってしまったのだから。

 ヴィルはしばらく登校させず、安全な場所で身柄を預かるかもしれない、とおっしゃっていた。それが実行されるか否かは、リンデンブルク大公次第みたいだが……。

 その後、ガーデン・プラントに戻ったのだが、ホイップ先生がいてびっくりする。


「あら、おかえりなさい~」

「た、ただいま戻りました」


 ガーデン・プラントの管理者はホイップ先生なのに、ここにあまりやってこないのでびっくりしてしまった。 


「ヴィル、大丈夫だった~?」

「ケガはあったようですが、自分で回復魔法を使って治療したとかで」

「あの子、回復魔法も使えるのね。普通は神学校に通っていないと使えないのに、器用ねえ」

「本当に」


 ホイップ先生は調査結果を私に知らせるためにやってきたという。


「では中へどうぞ」

「大丈夫よお。そんなに長くないから~」


 ホイップ先生は校長と理事に許可を取ってツィルド伯爵家に調査に向かった。

 もちろん、真っ正面から訪問して叔父を調べさせてくれと言うわけもなく。


「では、どうやって調べたのですか?」 

「ネズミちゃんに姿を変えて屋敷内を調査したのよ~」


 怪しい術式が発生している場所はないか、地下に何か隠していないか、探し回ったという。


「でも、見つけられなかったのよねえ」


 おまけに、叔父は昼間から酒を飲んで爆睡していたという。


「鑑定魔法で調べてみたけれど、雪魔法を展開させた形跡はなかったわ」

「そう、だったのですね」


 今回に限っては叔父は無関係だったという。

 よかった、と言っていいものなのかよくわからない感情が渦巻いていた。


「調査網を広範囲にして雪魔法の大本を探そうとしたけれど、途中で止んでしまってねえ」


 犯人は叔父だと疑わずに真っ先にツィルド伯爵家に向かったので、追跡魔法の展開はできなかったようだ。


「すみません、私が叔父かもしれないと言ったばかりに」

「いいえ、気にしないで~。私も犯人は彼だと決めつけていたから~」


 追跡魔法についても成功率は極めて低かったという。


「この辺は専門ではないから、本職に調査をお願いしてみようと思っていてねえ」


 あとの調査は国家機関である魔法研究局に任せるようだ。


「そんなわけだったの~」

「わざわざ報告にきてくださり、ありがとうございました」

「いえいえ~。気にしていたらいけないと思ってねえ」


 ホイップ先生は手をぶんぶん振って帰っていった。

 雪を降らせたのは叔父ではなかった。だったらいったい誰?

 まるでヴィルの事故に合わせたかのように雪が降って――。

 どくん、と胸が嫌な感じに脈打つ。


「待って。この雪はヴィルを事故に遭わせるためにしたことなの!?」


 私の傍にいたジェムは右に左にと揺れている。

 事故は不可解な点が多すぎた。

 犯人はただ事故に遭わせるだけで、傷口に布を当てるだけだった。

 ただそれは介抱ではなく、ぶつかった馬車の御者らしき第三者が現れて、「血は採れたのか?」などと言い出したのだ。


 ヴィルの血――それを欲する人がいたのを思い出してしまう。


「うわ、最悪」


 ジルヴィード!!

 彼はヴィルとの血縁関係を調べるために、血を要求していたのだ。

 ジルヴィードは今日、体調不良を訴えて早退していた。

 彼が犯人なのだろうか。

 だんだん頭が痛くなってきた。

 

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