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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
四部・四章 調査、調査、そして調査

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アクア寮へ

 ヴィルとホイップ先生が受付でやりとりをする中、私は初めて立ち入るアクア寮を見渡す。なんとエントランスに噴水があった。天井は三階まで吹き抜けで、柱は魚が泳ぐ水槽になっている。


「うわあ、すごい……!」


 そういえばアリーセが住んでいるリーフ寮は植物が多かったな、と振り返る。きっと寮ごとに特色があるのだろう。今度エアにフレイム寮について話を聞いてみたい。


 客間に通され、しばし待機。待つこと三十分。許可が取れたようで、入寮しても問題ないらしい。

 エルノフィーレ殿下の了承も取れたようで、直接部屋に案内してくれるという。

 寮長が直々に導いてくれるようだ。


「こちらです」


 魔法仕掛けの昇降機エレベーターで三階まで登り、エルノフィーレ殿下の部屋を目指す。

 学生寮は階によって男女分かれているらしい。昇降機も二カ所あって、男子生徒用、女子生徒用とあるようだ。異性の階にはいけないようになっており、もしも侵入するようなことがあれば厳しい罰則を科せられるようで、最悪退学にもなるという。

 魔法学校には結婚相手を探すという目的もあり、学校側もそれをよしとしている。

 けれども寮内には男女交際についての厳しい決まりがあり、禁じてはいないものの、学業に影響が及ぶ可能性のある行為には罰則があるようだ。

 あくまでも魔法学校は魔法を学ぶ場なのである。

 なんて考え事をしている間に、エルノフィーレ殿下の部屋に行き着いた。

 寮長が声をかけつつ扉を叩くと、エルノフィーレ殿下がでてくる。


「夜分遅くにごめんなさいねえ」

「いいえ、かまいません」


 エルノフィーレ殿下はどうぞ、と言って部屋へと招いてくれる。

 ヴィルは廊下で待つつもりだったようだが、入室を許可された。


「他の女子生徒が廊下を通りかかったら驚きますので」


 たしかに、女子生徒しか行き来が許可されていない空間にヴィルがいたら何事かと驚くだろう。


 エルノフィーレ殿下はごくごく一般的な一人部屋で暮らしているようだ。

 貴賓室のような特別な場所で生活を営んでいると思っていたので意外である。

 ただ部屋にメイドがいるのは他の生徒とは異なる点だろう。

 メイドが淹れてくれた紅茶を飲みつつ、ここにやってきた事情についてホイップ先生が話し始める。


「実は~、リジーがあなたに雪白石鹸を贈ったって聞きだしたのだけれど、覚えはあるかしらあ?」

「はい、覚えています」


 リジーに最後に会った日に、故郷の特別な石鹸だと言って渡してきたという。


「それって、使ったかしら~?」

「いいえ、わたくしの肌は敏感なので、使っておりません」


 リジーにもそう伝えたようだが、聞く耳なんて持たずに押しつけてきたという。


「もしかして、捨ててしまった~?」

「いいえ、取ってあります」

「見せていただけるかしらあ?」

「はい」


 エルノフィーレ殿下はメイドに雪白石鹸を持ってくるよう命じてくれる。

 雪白石鹸は缶の中に納められていた。


「包んでいた紙が変色しているように見えたので、缶に保管していたんです」

「あらあら、そうだったの~」


 ホイップ先生はテーブルに手を突いて、魔法を展開させる。もしも雪白石鹸にカビが発生することを想定し、菌が辺りに散らばらないよう結界を張ってくれたようだ。

 結界の上に缶を置き、ホイップ先生は手袋を嵌めて蓋を開く。


「――ひっ!!」


 思わず悲鳴をあげてしまう。なぜかといったら、雪白石鹸を包んでいる紙全体にカビが生えていたから。


「これは……」


 エルノフィーレ殿下も驚いているようだった。 

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