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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
四部・四章 調査、調査、そして調査

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尋問

 リジーは扉が開かないことに気付くと、ドンドン叩いて助けを求める。


「誰か! 助けてくれ! 悪い奴らに捕まっているんだ!」


 焦った様子のリジーにホイップ先生がにっこり微笑みながら物申す。


「ふふ、とっておきの魔法を展開しているから、いくら騒いでも、物音を立てても、部屋の外には聞こえないのよお」

「あ、悪魔……!!」

「あらあら。今日は淫魔だったり、悪魔だったり、酷い言われようねえ」


 ホイップ先生は柔和な笑みを浮かべているだけなのに、妙な迫力がある。その背後でジェムがナイフを振り回しているのも、怖さを増長させているのだろう。

 というかジェム、ナイフを振り回さないの!


「そこに座って、ゆーーーーっくりお話ししましょうねえ」

「み、身代金はいくら要求するんだい!?」

「ふふ、そんなの必要ないわ」

「あ、あたくしの命だけが目的ってこと!?」

「いいえ~、あなたに聞きたいことがあるだけよお」


 身構えるリジーに、ホイップ先生が質問を投げかける。


「あなた、雪白石鹸をいったい誰に売ったの~?」

「ゆ、雪白石鹸?」

「そう。三つ、売ったって聞いたわあ」

「そ、そうだけれど」

「どこの誰に? 知りたいの~」


 リジーはぷいっと顔を逸らして「そんなのいちいち覚えていないよ!」と言葉を返す。


「よ~~く思い出して。その石鹸は一刻も早く回収しないといけないのよお」

「まさか、買い占めたいとか言うんじゃないよね?」

「そうねえ、すべて欲しいわねえ」

「だったら金を用意しな! でないと渡せないよ!」

「あの、リジー。その雪白石鹸、本当に正規のルートで購入した物なの?」


 雑貨店のおかみさんが作った品だと聞いていたが、熟成していないものを売るとは思えない。おそらく息子が勝手にリジーへ送ったのだろう。


「知らないよ! あの男が欲しいって言ったら送ってくれたんだ!」

「代金は?」

「貢ぎ物だ!」


 やはりリジーは雪白石鹸のお代を払っていないようだ。

 元手タダで商売をしていたなんて商売人の風上にも置けない。


「あのね、リジー、よく聞いてほしいんだけれど、熟成していない雪白石鹸は肌荒れの原因になるの。肌が敏感な人が使ったら、火傷をしたようにただれることもあるのよ」

「なっ、石鹸なのにどうして!?」

「石鹸とはそういうものなの。劇薬を使って作っているのよ」

「嘘だ!!」


 私の言葉を信じないリジーに、ホイップ先生が小瓶を取りだす。中にはリジーからもらった雪白石鹸のサンプルが入っていた。


「未熟成の石鹸にそんな効果なんてないって思うんだったら、この雪白石鹸を使えるわよねえ? あなたの身で、安全だってことを証明していただける?」


 ホイップ先生が雪白石鹸のサンプルを差しだすと、リジーは「ヒッ!!」と悲鳴をあげながら後退った。


「危険な石鹸を使えだなんて、悪い教師だ!」

「あなたは危険な石鹸だと知らずに三名のお客様に売っていたのよお」


 ホイップ先生はリジーにぐっと接近し、「誰に売ったのお?」と詰め寄る。


「早く言わないと、自白魔法をかけちゃうわよお。自白魔法は言わなくてもいいこととか、聞いていないのにうっかり喋ってしまうこともあるから、なるべく使いたくないんだけれどお」


 子どものときのおねしょや、軽犯罪、人生における大失敗など、口にしたら一生の恥になるような秘密をついでに喋ってしまうという。


「ここでぶちまけてもいいのならば、自白魔法をかけて聞きだすけれど~」

「や、やめてくれ! 言う! 言うから!!」


 ホイップ先生の脅しによりリジーは誰に販売したか言う気になったらしい。


「では、どなたに販売したの~?」

「誰も」

「え?」

「誰にも売っていないんだよ!!」


 なんとまあ、リジーは見栄を張って三名に販売したと言ったようだ。

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