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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
四部・第二章 人間関係のあれこれ

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問題は山積み

 お手上げかと思いきや、ヴィルは気になる集まりがあるという。


「ツィルド伯爵が経営する喫茶店が、連日盛況しているようで」


 会員制の喫茶店で、欠員がでずに新規で募集していないほど人気らしい。

 入店するためには二十歳以上という年齢制限があるようで、ヴィルは申し込む権利すらなかったという。


「知人を通してどうにか入会できないか動いてもらったのだが、無理だと断られたようだ」


 何か怪しいことをしているのではないか、とヴィルは疑っているようだが、調査できずに終わってしまったという。


「誰が会員かというのも徹底的に隠し、外に漏れていないのも気になる」

「怪しいの一言ですね」


 ぜひとも調査してみたい場所であるが、二十歳以上と年齢制限がある以上、上手く潜入できたとしても悪目立ちしてしまいそうだ。


「その前に、紛れ込む方法が悩みの種ですね」

「そうだな」


 リジーに頼んでなんとかできたとしても、私達が入店することをツィルド伯爵に知られてしまっては意味がない。


「最悪、陛下に頼み込んで強制調査もできるが、何もなかったときに逆に不利となってしまうだろう」


 これまでのツィルド伯爵の行いを考えると、騎士隊の立ち入り程度で何か見つかるとは思えない。


「ひとまず何かできないか、手段を探してみよう」

「お願いします」


 リジーを侍女から下ろすために、ヴィルも巻き込むこととなった。


「サーベルト大公子息が持ち込んだ問題だけでも厄介なのに、さらに問題を持ち込んでしまって、本当に申し訳ないです」

「ミシャのせいではない。気にするな」


 ヴィルは自らの出生についても調べているという。

 前世でいう遺伝子検査みたいな魔法があるらしく、ひとまず父親との関係を調べたらしい。


「父とは間違いなく血縁関係だった」


 問題は母親のほうである。

 調べるためには頭髪や血などの、魔力が感知できるものが必要となるらしい。


「父の頭髪は難なく入手できたのだが――」


 メイドが寝室を清掃する前に忍び込み、布団から髪を採取したという。

 けれどもヴィルの母親はすでに亡くなっているため、調べようがないという。


「さすがに墓を荒らすような真似はできない」


 そのため調査は早くも暗礁に乗り上げているようだ。


「いっそのこと、父君に聞いてみるのはいかがでしょうか?」

「素直に話すとは思えないのだが」

「お酒の力を使って自白させるとか」

「私が突然酒をしこたま飲ませたら逆に警戒するような気もするが――いや、いいかもしれない」


 酒の力でなく、自白魔法を使えばいい、とヴィルは言う。


「自白させる魔法まであるのですね」

「ああ。ただ術者が魔法使いであることに加え、自分よりも魔力値が高い相手には効果がないものだが、父は魔法使いではないし、私よりも魔力値が少ないから有効だろう」


 魔力値云々は頭髪を調べたさいに明らかになったようだ。


「ひとまず、私達の婚約報告と称して、父と食事会を開くしかないようだな」

「わ、私も同席するのですか?」

「そうだが?」


 なんでもヴィルは実の父親でさえ、食事を共にする機会はあまりないという。


「そういえばノアさんも、ヴィル先輩と食事をする機会は少ない、と言っていたような」

「言われてみればそうだな」


 家族団らんで食事をする、というのは一般的な貴族には当てはまらないことらしい。


「いつか父に改めてミシャを紹介しなければならない、と思っていたからちょうどいい」

「そ、そうですね……」


 なんというか、緊張するイベントが増えてしまったわけだ。

 婚約者として認めてもらえるような振る舞いをしないと、ヴィルが恥ずかしい思いをしてしまうだろう。

 エルノフィーレ殿下くらい美しく、教養に溢れ、冷静に振る舞えたら……というのはない物ねだりなのだ。


「が、頑張ります」

「別に頑張らなくてもいい。普段のミシャでいろ」


 そんなふうに言ってくれるのはヴィルだけだろう。

 なんとかして乗り越えなければ、と気合いを入れたのだった。

 

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