表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
四部・第二章 人間関係のあれこれ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

233/437

どうにかしたい問題

「えー、ひとまずなんと言いますか、まずはリジーをどうにかしたほうがいいと思います」

「それに関しては同感です。ひとまず侍女という立場から降りてもらいたいのですが」


 エルノフィーレ殿下は今日までリジーの散々な行いについて目を瞑っていたらしい。


「基本的な礼儀作法を備えていないどころか、護衛の騎士や年若い貴族に色目を使うだけでなく、わたくしに付きそうことすらしない状態でして」


 侍女の仕事すらおろそかにしていたようだ。予想通りとしか言いようがない。


「すぐにリジーを解雇して、別の者を派遣するように頼んだのですが、毎回濁されてしまい……」


 なんでもリジーは大臣からの推薦があったらしい。


「大臣とリジーの父親であるツィルド伯爵が懇意にしていたようで」

「懇意、ですか」


 なんとも怪しい繋がりである。


「大臣とツィルド伯爵、双方の弱みでも握ったら、それを餌にリジーをエルノフィーレ殿下の侍女の座から引きずり下ろすこともできるのですが」


 エルノフィーレ殿下はしばし考え込むような仕草を取る。何か心当りでもあるのだろうか?


「少し、大臣とツィルド伯爵の怪しいと思う行動を耳にしました」

「あるのですか?」

「ええ。非番の護衛騎士が話していた噂話に過ぎないのですが」


 貴賓として王城に滞在していたとき、エルノフィーレ殿下はひとり廊下を歩いていた。

 通常であればリジーが付き添わないといけないのだが、傍にはいなかったという。

 そんな状況でエルノフィーレ殿下は王城内で迷ってしまったらしい。


「いつの間にかわたくしは貴賓が行き来できる範囲からでてしまい、わたくしのためにソレーユ国から派遣された女性騎士達が寝泊まりしていた区画にきてしまったようで」


 そんな女性騎士達は、何やらげんなりした様子で話していたという。


「聞くつもりはなかったのですが、リジーの名前が聞こえてつい、盗み聞きをしてしまいました」


 女性騎士達はリジーの男性騎士との態度の違いに文句を言っていたようだ。

 なんでも女性騎士はほぼ無視しているのに、男性騎士には媚びるような態度でいたらしい。


「そんな会話の中に、ツィルド伯爵と血は争えない、なんて会話がありまして」


 それに関連して、ルームーン国の大臣もたいそうな女好きで、ツィルド伯爵と夜な夜な遊び回っている、という話をしていたという。


「ツィルド伯爵は大臣に取り入るために、とっておきの手を使ったようで」

「それが弱みになる、というわけですね」

「ええ」


 ただそれが何かまでは話していなかったという。

 具体的に話していなかったことから、女性騎士達もよく知らないのではないか、とエルノフィーレ殿下は思ったらしい。


「ただわたくし達はヴァイザー魔法学校に籍をおく身。校外へ調査しにいくことすら難しい話でしょう」

「それに関しては問題ないと思われます」


 近いうちに特別外出許可を賜る予定なので、外への調査は行えるだろう。


「エルノフィーレ殿下はご一緒できないでしょうけれど、調査はお任せください」


 ルームーン国の王女殿下を、調査だと言って危険があるかもしれない場所に連れ回すわけにはいかない。


「そんな、あなただけに危ない橋を渡らせるわけにはいきません」

「ご安心を。ひとりでするわけではありませんので」


 頼りになる使い魔がいると言うと、これまで気配を消していたジェムが姿を現す。それだけでなく、誇らしげな表情を浮かべながら淡い光を放っていた。


「あとはヴィルフリート先輩にも相談したいのですが、よろしいでしょうか?」

「ええ。彼に協力いただけるのであれば、とても心強いです」


 打倒リジーを目標に、私達は大臣とツィルド伯爵の弱みを握る調査を始めることにしたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ