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婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
四部・第一章 衝撃の転校生

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リジーのやらかし

 平和を取り戻した教室で、私はアリーセとノアに感謝する。


「ふたりともありがとう! 助かったわ」

「ノアが先生を呼びにいこうって、わたくしを誘ってくれましたの」

「僕達が直接リジーを咎めたら、問題になると思ってね」


 的確な判断のおかげで、私は助かったというわけだ。


「今度、また変なふうにミシャに絡んだら、すぐにホイップ先生を呼びますので」

「僕達に任せてよ」


 なんていい友達を持ったのか。感激のあまり涙がでそうになる。

 改めてふたりに感謝したのだった。

 それにしても、リジーの暴走が酷い。どうやって止めたらいいものなのか、頭が痛くなる。

 はあ、とため息をついていたらエアがやってきた。


「おはよう、ミシャ」

「エア、おはよう」

「どうしたんだ? なんだか朝から疲れている様子だったけれど」

「リジーが朝から私に絡んできたの。もちろん、事実無根の件で」

「大変だったんだな。何かあったのか?」


 リジーとあったあれこれを二日分説明すると、エアは「気の毒だったな」と言って肩をぽんぽん叩いてくれた。


「例の転入生の侍女だから、いろいろ言いにくいよなあ」

「そうなのよ。リジーの訴えを信じる人がもしもでてきたら、それこそ一大事だから」


 リジーの気が収まるまで言わせておいたほうが、何事もなく終わるのだ。


「そうなると、ミシャが心配だな。あまりにもガミガミ言われたら、心労が溜まるんじゃないのか?」

「平気よ。幼い頃からずっとああだったから、右耳から入ってきた言葉は反芻することなく、左耳から垂れ流しているの。リジーの言葉なんて、深く耳を傾ける価値のないものばかりだから」

「さすが、達観している」

「任せて」


 私よりも傍にいたアリーセやノアのほうが精神的なダメージが多そうだ。

 今日みたいに先生を呼ぶような事態になるのも申し訳ない。


「でもまあ、自分達で解決するよりは、先生の介入があったほうがいい気がする」

「それもそうね」

「俺も何かあったら、即座に先生を呼びにいくから」


 エアはホイップ先生だけでなく、その辺にいる教師でも声をかけることができるという。


「屈強なアイン先生とかに詰め寄られたら、さすがにお手上げだろう」

「そうだといいけれど」


 〝レディ・バイオレット〟でも、リジーは体が大きい用心棒を恐れず、あれこれ文句を言っていた。きっとアイン先生を前にしても態度は変わらないだろう。


 リジーといるときは録画とか録音とかできたらいいのに、と思う。

 前世ではスマホで簡単にできるものが、ここにはないのだ。

 なんて考えていたら、登校早々壁に張り付いていたジェムが輝きを放つ。


「眩しっ、え、何?」

「ジェム、どうしたんだ?」


 光が収まると、ジェムの表面に映像と音声が映し出される。


『ねえ、これ、着たいんだけれど!』

「試着ができますのは、顧客のお客様のみとなっております」

「なんだって!? このあたくしが誰かわかっているの? ツィルド伯爵の娘、リジーの名を知らないとは言わせないよ!」


 ジェムが鮮明な映像と大音量で流したものは、昨日、〝レディ・バイオレット〟でのリジーの様子だった。

 クラスメイト達も集まって、興味津々とばかりに眺めている。


 私が証言したとおりの映像に、クラスメイト達は呆れた様子だった。


「やっぱりあの子の言っていることが嘘で、リチュオルが正しかったんだ」

「わかっていたけれど」


 他の生徒がやってきて、映像と音声を不思議がっていた。すると魔法に詳しいクラスメイトが記録用の魔法だと説明する。

 どうやらこの世界にも、録画や録音のような魔法が存在するようだ。


 ここでホームルームの開始を知らせる鐘が鳴り、ホイップ先生がやってきた。


「はいはいみんな、席についてえ~」


 ちらりとジェムのほうを見たらどや顔でいた。

 まさか録音と録画能力があったなんて。ジェムの可能性は無限大だ、と思ってしまった。


 放課後はアリーセとノア、エアをガーデン・プラントに招き、お茶会を開く。

 ビスケットで土台を作るアップルタルトをみんなで調理し、その辺で摘んだ薬草でお茶を淹れる。

 みんなで協力して作ったからか、とてもおいしく仕上がった。

 話題が途切れたタイミングで、私とヴィルの婚約について、アリーセとエアにも報告した。アリーセのほうは驚いた様子を見せることなく、いずれそうなるのではないか、と想像していたらしい。

 一方、エアは「ええ!?」と大きな声をあげ、びっくりしているようだった。

 何はともあれ、二人とも祝福してくれたのでよかった。

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