表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約者から「第二夫人になって欲しい」と言われ、キレて拳(グーパン)で懲らしめたのちに、王都にある魔法学校に入学した話  作者: 江本マシメサ
四部・第一章 衝撃の転校生

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

207/484

リジーと共に

「ねえミシャ、あんた、お付きでやってきたの?」


 それはリジーもだろう、と言いたいのをぐっと堪える。

 どういう返答をしたら私に対して興味をなくすのか、考えてみるもなかなか思い浮かばず。

 私自身がここのドレスを選ぶ権利がある、なんて言った日には、余計にしつこく絡んでくるに違いない。


「あ、そうだ! あんたに似合いそうなドレス、あたくしが選んであげようか?」

「別に必要ないわ」

「いいからいいから! あたくし達の仲じゃない」


 〝あたくし達の仲〟とはいったい?

 私の元婚約者を奪って捨てておいて、よくものうのうと接することができるものだ。


 リジーが私の腕をぐいっと引き、トルソに着せられたドレスが展示してあるほうへと誘う。

 眉間に皺を寄せたノアが一歩前にでてきたが、アリーセがそれを制す。

 入店前にリジーが何か生意気な発言をしても、言い返したり庇ったりしないでほしい、とお願いしておいたのだ。

 一応、リジーはエルノフィーレ殿下のお付きである。何か不興を買ったら国家間の問題に繋がりかねないから。

 なんでもかんでも好きに言わせておこう。それが私の作戦である。

 リジーに何か言われることは幼少期から慣れっこなのだ。別にわかり合いたい相手でもないので、言い返す価値なんてないとも言える。

 その考えをノアとアリーセは理解してくれた。

 ただあまりにも生意気なので、ノアはついつい物申したくなったのだろう。アリーセが止めてくれてよかった。


 リジーは私のドレスを選んであげるとか言いながら、瞳をキラキラ輝かせていた。


「さすが、社交界流行の最先端だ! こんなにきれいなドレスがあるなんて、信じられない!」


 〝レディ・バイオレット〟の店員さんも素敵なドレスを着ていて、にこにこと微笑んでいる。リジーがドレスのリボンやレースを遠慮なく触っても、眉のひとつも動かさない。さすがプロだ! と感心してしまった。私もこれくらいの寛大な心を持たなければ、と思った。


「ミシャ、あたくしは今度の夜会で、結婚相手を決めるの!」

「へえ、そう。上手くいくといいわね」

「上手くいくに決まっているじゃない。あたくしを好きにならなかった男なんて、これまでいなかったんだから!」


 それは領地のごくごく狭い中での話だろう。

 故郷であるラウライフではたしかに一、二を争うくらいの美人かもしれない。

 けれども魔法学校内にはきれいな人達が大勢いる。

 さらに、リジーは眩いばかりの美貌の持ち主であるエルノフィーレ殿下の隣にいるのだ。

 大輪の百合みたいに清楚で美しいお方の傍にいたら、リジーや私みたいなのなんてペンペン草にしか見えないだろう。


「学校内ではみんな、みーんなあたくしを振り返っているのよ」


 それは単に一緒にいるエルノフィーレ殿下を見ているだけだ。

 これまで学校内で何人に声をかけられたか、と聞きたかったものの、リジーのプライドを傷つけてしまいそうなのでやめておいた。


「実はあたくし、心に決めている男がいるの!」

「へえ、誰?」

「わからないわ。でも、転入してきた日に、講堂に集まって挨拶をしたでしょう? そのときに遅れてやってきた、いい男がいたのよ」

「へえ」


 リジーのお眼鏡に適う気の毒な男性がいたとは。

 これから彼がリジーのアプローチを受ける展開を考えると、気の毒になってしまう。


「一学年の生徒?」

「いいや、違う。大人っぽかったから、三学年だと思う」

「ふうん。どんなふうにかっこよかったの?」

「もう、見たこともないくらいのいい男だったんだ! 周囲の生徒達も一目おいている感じで、毛並みがよかったから、きっと良家のぼんぼんに違いない」

「毛並みって」


 犬猫ではあるまいし……。

 話を聞いているうちに、だんだんと相手の男性が気になってきた。


「髪色とか瞳の色とか、他の特徴でわかるものはある?」

「もちろん! 金色の髪に緑の目を持った、他の生徒とは違う格好をしていて、金のチェーンがついたブローチをつけていたよ」

「金の髪に緑の瞳、他の生徒とは違う格好で、金のチェーンがついたブローチ……?」

「あれ、絶対純金だった! お金持ちに違いないよ!」


 その金のチェーンがついたブローチというのは、監督生長の証ではないのだろうか?

 髪と瞳の色も、一目おかれている感じも、該当者はひとりしかいなかった。


 ヴィルに間違いない……。

 お気の毒に、と思うのと同時に、胸が嫌な感じに脈打っていた。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ